熱力学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 熱力学
科目番号 10018 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 小山敏行著,熱力学きほんの「き」,森北出版 2010.10 240ページ 3024円:https://www.morikita.co.jp/books/book/1503
担当教員 小西 忠司

到達目標

熱分野は、熱の基本法則、熱的諸量の求め方、伝熱現象などについて理解し、熱機器を設計・製造・使用するさいに必要な能力を養うことを目標とする。熱力学に関する事物・現象に関わり,工学的な見方・考え方を働かせ,見通しをもって学習することなどを通して,熱力学に係わる事物・現象を工学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す.
(1) 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。
(2) 熱力学の第一法則を説明できる。閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。閉じた系および開いた系が外界にする仕事量をp-V線図で説明できる。
(3) 理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。定容比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。等圧変化、等容変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。
(4) 熱力学の第二法則を説明できる。サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数を計算できる。カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。固体、液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。サイクルをT-s線図で表現できる。熱の有効エネルギーを説明できる。
(5) 水の等圧蒸発過程を説明できる。飽和蒸気、湿り蒸気、過熱蒸気の状態量を計算できる。蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
(6) 冷凍サイクル,蒸気圧縮式冷凍サイクル,蒸気線図の読み方について理解できる。空気冷凍サイクル,吸収冷凍サイクルについて理解できる
(7) 空気と空気調和,湿り空気の性質について理解できる。絶対湿度と相対湿度,乾球温度,湿球温度,露点温度について理解できる。空気線図の読み方,空気調和について理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安 総合評価80点以上標準的な到達レベルの目安 総合評価60点以上未到達レベルの目安 総合評価60点未満
評価項目1 熱力学の基礎教員の説明で以下の項目が自力でできる。熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目2 熱力学の第一法則教員の説明で以下の項目が自力でできる。熱力学の第一法則を説明できる。閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。閉じた系および開いた系が外界にする仕事量をp-V線図で説明できる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目3 理想気体の性質と状態変化教員の説明で以下の項目が自力でできる。理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。定容比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。等圧変化、等容変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目4 熱力学の第二法則教員の説明で以下の項目が自力でできる。熱力学の第二法則を説明できる。サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数を計算できる。カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。固体、液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。サイクルをT-s線図で表現できる。熱の有効エネルギーを説明できる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目5 蒸気の性質教員の説明で以下の項目が自力でできる。水の等圧蒸発過程を説明できる。飽和蒸気、湿り蒸気、過熱蒸気の状態量を計算できる。蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目6 冷凍サイクル教員の説明で以下の項目が自力でできる。冷凍サイクル,蒸気圧縮式冷凍サイクル,蒸気線図の読み方について理解できる。空気冷凍サイクル,吸収冷凍サイクルについて理解できる教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。
評価項目7 湿り空気と空気調和教員の説明で以下の項目が自力でできる。空気と空気調和,湿り空気の性質について理解できる。絶対湿度と相対湿度,乾球温度,湿球温度,露点温度について理解できる。空気線図の読み方,空気調和について理解できる。教員追加指導や学習支援者の指導で左記ができる左記の目標が達成できない。

学科の到達目標項目との関係

(分野別要件(工学(融合複合・新領域))基礎工学の知識・能力 JABEE基準2.1(1) 説明 閉じる
情報技術、専門工学の基礎を身につける 大分高専学習教育目標(B2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械工学科は,機械工学を中心とした幅広い学問と豊富な実験実習により,先端技術を含んだ多分野に対応できる人材の養成を目的とする。この目的を達成するために本科目は,④熱やエネルギーを利用する技術を中心とした学問・技術を教授し,これらを統合して社会に役立つものを設計・製作できる能力を培う。熱は,エネルギーや仕事がどのように変化するかを解き明かす学問である.エネルギーについては,省エネルギーや太陽エネルギーのように日常でよく使われ
ているが,熱力学におけるエネルギーとは物体に仕事をさせる能力と主義されている.熱と仕事はエネルギーの一つの形態であり,私たちの身のまわりにある自動車のエンジンや冷蔵庫,エアコンなどの機械・機器はこのエネルギーによって仕事をしている.
授業の進め方・方法:
1. 原則として1コマ完結型とした講義を展開する
2. 教科書と併用して,思考を整理したり促したり,思考の過程を振り返ることができる,到達目標達成評価課題(以下「課題」)を使用する
3. 主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)を創造する学習を導入する
注意点:
機械工学科 4年(教育プログラム 第1学年 ◎科目)必修,教育プログラム必修科目, 2単位(前期1コマ,後期1コマ,授業時間46.5時間)大分高専目標(B2),JABEE目標(2.1④)
1. 学生は本講義の受講に際して「学問的誠実性に対する約束」に署名して担当教員に提出すること
2. 「課題」は原則として講義終了時に提出すること
3. 総合評価は課題および試験で行う
4. 講義を欠席した場合,未到達レベルの目安(不可)の場合は,その講義の到達目標を達成するために補講および課題を行うこと

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1章 熱力学を学ぶための準備
pp.1-14
熱力学定義,系について理解できる
2週 第1章 熱力学を学ぶための準備
pp.15-28
熱力学で扱う物理量,その他の諸準備事項について理解できる
3週 第2章 熱力学第1法則 その1
pp.29-39
エネルギーの形態,各種仕事の計算式,熱力学第1法則, 閉じた系の熱力学第1法則について理解できる
4週 第2章 熱力学第1法則 その2
pp.40-50
準静的過程, 移動境界仕事, エンタルピー, 比熱と内部エネルギー,エンタルピーの関係について理解できる
5週 第2章 熱力学第1法則 その3
pp.51-61
開いた系の熱力学第1法則,定常流動系の各種機械・機器,閉じた系の仕事と開いた系の仕事について理解できる
6週 第3章 理想気体 pp.62-66 作動流体の種類,理想気体の内部エネルギー,エンタルピー,比熱について理解できる
7週 アクティブラーニング1
課題解決的な学習,既習事項を活用する学習
8週 アクティブラーニング2 自分の考えを発表・交流する機会
2ndQ
9週 前期中間試験 第1章〜第3章の範囲から出題する
10週 前期中間試験の解答と解説
第3章 理想気体
pp.67-75
理想気体の状態変化について理解できる
11週 第4章 熱力学第2法則
pp.76-85
熱力学第2法則,熱機関について理解できる
12週 第4章 熱力学第2法則
pp.86-96
冷凍機とヒートポンプについて理解できる
13週 第4章 熱力学第2法則
pp.96-105
カルノーサイクル,エントロピーについて理解できる 熱の有効エネルギーを説明できる
14週 アクティブラーニング3 「できたこと」「わかったこと」の振り返り,日常生活、社会生活への広がり
15週 前期期末試験 第3章〜第4章の範囲から出題する
16週 前期期末試験の解答と解説 第3章〜第4章の範囲の前期期末試験の解答と解説をする
後期
3rdQ
1週 第5章 ガスサイクル
pp.106-121
熱機関の種類,ガスサイクルの検討の前提条件,往復式内燃機関の概要,オットーサイクルについて理解できる
2週 第5章 ガスサイクル
pp.122-137
ディーゼルサイクル,サバテサイクル,スターリングサイクルについて理解できる
3週 第5章 ガスサイクル
pp.138-152
ブレイトンサイクル,ブレイトン再生サイクル,ブレイトン中間冷却・再熱・再生サイクル,エリクソンサイクル,ジェット推進サイクルについて理解できる
4週 第6章 蒸気サイクル
pp.153-165
蒸気の一般的性質,蒸気表の読み方,線形補間法について理解できる
5週 第6章 蒸気サイクル
pp.166-175
ランキンサイクル,再熱ランキンサイクル,再生ランキンサイクルについて理解できる
6週 アクティブラーニング1 課題解決的な学習、既習事項を活用する学習
7週 アクティブラーニング2 自分の考えを発表・交流する機会
8週 後期中間試験 第5章〜第6章の範囲から出題する
4thQ
9週 第7章 冷凍サイクル
pp.176-182
冷凍サイクル,蒸気圧縮式冷凍サイクル,蒸気線図の読み方について理解できる
10週 第7章 冷凍サイクル
pp.183-187
空気冷凍サイクル,吸収冷凍サイクルについて理解できる
11週 第8章 湿り空気と空気調和
pp.188-194
空気と空気調和,湿り空気の性質について理解できる
12週 第8章 湿り空気と空気調和
pp.195-201
絶対湿度と相対湿度,乾球温度,湿球温度,露点温度について理解できる
13週 第8章 湿り空気と空気調和
pp.202-206
空気線図の読み方,空気調和について理解できる
14週 アクティブラーニング3 「できたこと」「わかったこと」の振り返り,日常生活、社会生活への広がり
15週 後期期末試験 第7章〜第8章の範囲から出題する
16週 後期期末試験の解答と解説 第6章〜第10章の範囲の後期期末試験の解答と解説をする

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4前1,前2
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4前3
熱力学の第一法則を説明できる。4前4
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前5
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4前5
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4前6
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4前6
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4前6
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4前6,前10
熱力学の第二法則を説明できる。4前11
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4前12
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4前13
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4前13
固体、液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。4前13
サイクルをT-s線図で表現できる。4後1,後2,後3
熱の有効エネルギーを説明できる。4後1,後2,後3
水の等圧蒸発過程を説明できる。4後4
飽和蒸気、湿り蒸気、過熱蒸気の状態量を計算できる。4後4
蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。4後4

評価割合

課題試験合計
総合評価割合0100100
基礎的能力000
専門的能力0100100
分野横断的能力000