電子工学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 電子工学
科目番号 R02E419 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 古川静二郎,荻田陽一郎,浅野種正,「電子デバイス工学」,森北出版
担当教員 大野 武雄,片山 健夫,大森 雅登

到達目標

(1) 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明できる.
(2) パウリの排他律について説明できる.
(3) 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いや各性質を説明できる.
(4) エネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し説明することができる.
(5) バンド理論を用いて,pn接合ダイオード,バイポーラトランジスタ,J-FET,MOS-FET,ショットキーダイオード,太陽電池,フォトダイオード,LEDなどの基本的電子デバイスの動作機構やデバイス特性を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目(1) 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明し,数値計算ができる. 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明できる. 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明できない.
評価項目(2) パウリの排他律について電子の取りうる量子状態まで含めて説明できる. パウリの排他律について説明できる. パウリの排他律について説明できない.
評価項目(3) 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いやバンドギャップの違いについて詳細に説明できる.また,導電率など物性値について数値計算ができる. 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いや各性質を説明できる.また,各導電率などの計算がおおよそできる. 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いや各性質を説明できない.また,数値計算もできない.
評価項目(4)エネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し正確に説明することができる.それらについての問題が解ける.エネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し説明することができるエネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し説明することができない.
評価項目(5)バンド理論を用いて,基本的な電子デバイスの動作機構を説明でき,それらについての問題が解ける.バンド理論を用いて,基本的な電子デバイスの動作機構を説明できる.バンド理論を用いて,基本的な電子デバイスの動作機構を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B2) 説明 閉じる
JABEE 2.1(1)③ 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電子デバイスを理解する上での基礎概念について学び,動作原理を知りその応用素子について学習する.pn接合ダイオードについて,動作機構を定量的に理解する.種々のトランジスタ,半導体応用素子について学習する.本講義ではバンド理論を通した理解に重点を置く.
授業の進め方・方法:
指定した教科書と板書をベースに講義を進める.適宜、プリントを配布し、教科書の内容が薄い箇所についてはカバーする.電子の基本的性質をはじめ、半導体中のキャリアの扱い方、バンド図、各種デバイスの構造と特性、それらの特性を示す式の導出、使い方について学び,最後に各種デバイスについて学ぶ.

コロナの影響で前期中間試験が実施できなかったことを考慮し,総合評価は
 前期期末試験、後期中間試験、後期期末試験を1:1:1
 前期期末試験、後期中間試験、後期期末試験を2:1:1
のいずれかの割合で評価を行い、高い方の点数を総合評価とする
総合評価が60点未満の学生に対して再試験を実施し,60点以上取得で合格とする.
正当な理由なく定期試験を欠席した者や不正行為により不合格となった者には再試験は実施しない.
注意点:
(履修上の注意)
教科書を補足するための配布資料に,大事な点を書き込むと良い.
(自学上の注意)
電磁気学,電気回路,電子回路についてよく復習をしておくこと.課題はしっかり自分で解説前に解いておくこと.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子の性質と物理現象 原子に束縛された電子のエネルギーレベルやパウリの排他律に則した量子状態について学び,固体結晶の電気的性質をエネルギーバンド構造によって理解する.不純物半導体のp型,n型,キャリア,フェルミレベルについて理解する.半導体中において主たる電気伝導を担うドリフト電流,拡散電流について学ぶ.
2週 水素原子模型とパウリの排他律 同上
3週 結晶構造とミラー指数 同上
4週 バンド理論 同上
5週 キャリア密度とフェルミ準位 同上
6週 同上 同上
7週 電気伝導 同上
8週 pn接合 pn接合におけるバンド構造を分析し,電流電圧特性がダイオード特性となる機構を学ぶ.接合の降伏,トンネル効果,空乏層容量などの重要な性質について学ぶ.
2ndQ
9週 同上 同上
10週 ダイオード特性 同上
11週 同上 同上
12週 拡散容量と空乏層容量 同上
13週 同上 同上
14週 前期期末試験
15週 試験解説
16週
後期
3rdQ
1週 バイポーラトランジスタの構造と動作機構 エレクトロニクスの中心的役割を担うトランジスタの中で,まずバイポーラトランジスタについて動作機構と特性を学ぶ.
2週 接地と特性 同上
3週 金属半導体接触 金属と半導体の接触によるショットキーダイオード及びオーミックコンタクトについて学ぶ.
4週 同上 同上
5週 接合形FET 電界効果トランジスタの種類や特徴について学び、接合型電界効果トランジスタ(J-FET)の動作原理について学ぶ.
6週 同上 同上
7週 MIS構造 MIS構造のバイアスによる特性について、バンド図を用いて学ぶ.
8週 MIS-FET(MOS-FET) MIS-FETの動作原理と特性について学ぶ.
4thQ
9週 後期中間試験
10週 後期中間試験の解答と解説
MIS-FET(MOS-FET)
MIS-FETの動作原理と特性について学ぶ.
11週 集積回路 エレクトロニクスを支える技術の一つである集積回路技術について学ぶ.
12週 同上 同上
13週 導体応用素子
(受光素子,発光素子,レーザー等)
種々の電子デバイスについて,その動作機構を学ぶ.半導体素子についてはバンド理論によるモデルを用いて統一的に議論し,電子デバイスの動作を理解する上での共通の指針を与える.
14週 同上 同上
15週 後期期末試験
16週 試験解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前1
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前2
原子の構造を説明できる。4前2
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前2
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4前3,前4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4前5,前6,前7
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前5,前6
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前4
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前8
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4後1,後2,後3
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後5,後6,後10

評価割合

試験合計
総合評価割合100100
基礎的能力00
専門的能力100100
分野横断的能力00