工学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 工学実験Ⅱ
科目番号 R04E318 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 電気電子工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 (教科書) 本校教員作成の実験指導書 (参考書) 電気回路,電磁気学,電子回路のテキスト
担当教員 木本 智幸,石川 誠司,田中 大輔,常安 翔太,江田 喜好

到達目標

(1) 測定器や部品を扱うことで,座学で習った理論に対して現実的なイメージを持つ.(実験の取り組み状況)
(2) オシロスコープなどの基本的な測定器の操作法を身に付ける.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(3) 回路図を元に実際の配線が組めるようになる.(実験の取り組み状況とレポート)
(4) 身体および測定器にとって安全な実験法を習得する.(実験スキル評価)
(5) データ処理法を身に付ける.(レポート)
(6) 抵抗・インピーダンスの測定が実践できる.(実験スキル評価)
(7) キルヒホッフの法則を適用し,実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(8) ブリッジ回路の平衡条件を適用し,実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(9) 重ねの理を適用し,実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(10) インピーダンスの周波数特性を考慮し,実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(11) 共振について,実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(12) ダイオードの電気的特性の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(13) トランジスタの電気的特性の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(14) 電圧・電流・電力などの電気諸量の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(15) 分圧・分流の関係を適応し,実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)
(16) 増幅回路の動作に関する実験結果を考察できる.(実験の取り組み状況,実験スキル評価,レポート)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
目的・到達目標(1)の評価指標測定器や部品を扱うことで,座学で習った理論に対して現実的なイメージできる.測定器や部品を扱うことで,座学で習った理論に対して基本的な現実的なイメージできる.測定器や部品を扱うことで,座学で習った理論に対して基本的な現実的なイメージできない.
目的・到達目標(2)の評価指標オシロスコープなどの基本的な測定器を使って,複数の観測したい信号の大きさ,周波数,位相を確認できる.オシロスコープなどの基本的な測定器を使って,観測したい信号を確認できる.オシロスコープなどの基本的な測定器を使って,観測したい信号を確認できない.
目的・到達目標(3)の評価指標回路図を元に,実際の配線が効率的に組める.回路図を元に,実際の配線が組める.回路図を元に,実際の配線が組めない.
目的・到達目標(4)の評価指標身体および測定器にとって,常に安全な実験ができる.身体および測定器にとって,基本的に安全な実験ができる.身体および測定器にとって,基本的に安全な実験ができない.
目的・到達目標(5)の評価指標他者にもわかりやすく,考察に繋がるデータ処理法ができる.考察に繋がるデータ処理法ができる.考察に繋がるデータ処理法ができない.
目的・到達目標(6)の評価指標自ら抵抗・インピーダンスの測定が実践できる.教員等の若干の助言を受けながら,自ら抵抗・インピーダンスの測定が実践できる.抵抗・インピーダンスの測定ができない.
目的・到達目標(7)の評価指標自らキルヒホッフの法則を適用し,実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら,自らキルヒホッフの法則を適用し,実験結果を考察できる.キルヒホッフの法則を適用し,実験結果を考察できない.
目的・到達目標(8)の評価指標自らブリッジ回路の平衡条件を適用し,実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら,自らブリッジ回路の平衡条件を適用し,実験結果を考察できる.ブリッジ回路の平衡条件を適用し,実験結果を考察できない.
目的・到達目標(9)の評価指標自ら重ねの理を適用し,実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら,自ら重ねの理を適用し,実験結果を考察できる.重ねの理を適用し,実験結果を考察できない.
目的・到達目標(10)の評価指標自らインピーダンスの周波数特性を考慮し,実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら,自らインピーダンスの周波数特性を考慮し,実験結果を考察できる.インピーダンスの周波数特性を考慮し,実験結果を考察できない.
目的・到達目標(11)の評価指標自ら共振について,実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら,自ら共振について,実験結果を考察できる.共振について,実験結果を考察できない.
目的・到達目標(12)の評価指標自らダイオードの電気的特性の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら,自らダイオードの電気的特性の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.ダイオードの電気的特性の測定法を習得できず,その実験結果を考察できない.
目的・到達目標(13)の評価指標自らトランジスタの電気的特性の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら,自らトランジスタの電気的特性の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.トランジスタの電気的特性の測定法を習得できず,その実験結果を考察できない.
目的・到達目標(14)の評価指標自ら電圧・電流・電力などの電気諸量の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら電圧・電流・電力などの電気諸量の測定法を習得し,その実験結果を考察できる.電圧・電流・電力などの電気諸量の測定法を習得できず,その実験結果を考察できない.
目的・到達目標(15)の評価指標自ら分圧・分流の関係を適応し,実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら分圧・分流の関係を適応し,実験結果を考察できる.分圧・分流の関係を適応し,実験結果を考察できない.
目的・到達目標(16)の評価指標自ら増幅回路の動作に関する実験結果を考察できる.教員等の若干の助言を受けながら増幅回路の動作に関する実験結果を考察できる.増幅回路の動作に関する実験結果を考察できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (D1) 説明 閉じる
学習・教育目標 (D2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電子回路,電気回路,電気計測,電気機器の理論を実験を通して習得し理解する.具体的な機器の取り扱い方法の習得,配線の訓練,安全な実験法の習得,データの処理法,レポートのまとめ方について学ぶ.
授業の進め方・方法:
各サイクルの最初の時間に,安全教育を行う.本実験は,高電圧やモータなどを使う場合があるため,転倒防止のため靴を履き,巻き込み防止のため体にフィットした学科指定の服装を着るなど十分安全に配慮すること.
レポートの提出期限は厳守すること.

(事前学習)
実験指導書を予習し,目的や内容を十分理解して実験に望むこと.予習の際に,電気回路,電磁気学,電子回路の教科書を参考にすること.
注意点:
(履修上の注意)
データの整理やレポート作成,考察などに役立てるために,実験ノートを各自一冊作り,実験で得たデータや知見をメモすること.
(自学上の注意)
レポート作成時には,読んでわかる記述,論理的な記述を心がけること.

評価

(総合評価)
各実験の評価=レポート(70点分)+実験スキル評価および取り組み状況(30点分).
ただし,第1サイクルの実験レポートについては,レポート提出締切日に担当教員が内容を確認して不備があれば赤書きして当日中に返却する.返却後1週間以内に修正して再提出すること.再提出レポートに不備があっても2度目の返却は行わずに採点を行うので留意すること.第3サイクルでは実験ノートの記録がない場合は減点する.
総合評価は,各実験の評価の単純平均とし,60点以上を合格とする.

(単位修得の条件)
総合評価が60点以上を合格とする.

(再試験について)
再試験は行わない.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 安全教育,第1サイクル:オシロスコープによる波形観察 ディジタルオシロスコープの使用方法を習得し,特徴や用途について理解する.(MCC IV-C)
2週 第1サイクル:ダイオードの静特性 シリコンダイオードとゲルマニウムダイオードの電圧電流特性の測定を行い,特性を理解する.(MCC IV-C)
3週 第1サイクル:キルヒホッフの法則の検証 キルヒホッフの検証実験を通して,実験の有効桁および有効桁の数値処理方法を理解する.(MCC IV-C)
4週 第1サイクル:キャンベルブリッジとケリーフォスタブリッジ キャンベルブリッジとケリーフォスターブリッジを使って,周波数やインダクタンスが測定できる原理を理解する.(MCC IV-C)
5週 第1サイクル:電位分布の測定 水槽に張った水に交流電圧をかけて,電位分布を測定し,平行平板電極や点電極間の電位分布を理解する.また,電界シールドについて理解する.
6週 第1サイクル:変成器と理想変成器 相互インダクタンスの鉄芯の有無における性質の違いを測定し,理想変成器を理解する.(MCC IV-C)
7週 第1サイクル:電磁誘導と相互誘導回路 二つのインダクタを使って,電磁誘導と相互誘導回路の原理を理解する.
8週 第2サイクル:トランジスタ回路ガイダンス 電子回路の各種部品を知り,その性質を理解する.
2ndQ
9週 (前期中間試験)
10週 第2サイクル:お風呂センサーの作成 お風呂センサを題材とし,トランジスタでの直流増幅について理解する.
11週 第2サイクル:暗くなると点灯する回路の作成 暗くなると点灯する回路を題材とし,光センサーとトランジスタを組み合わせる方法について理解する.
12週 第2サイクル:A級小信号アンプの作成 トランジスタを使って,交流増幅を実現する方法を理解する.
13週 第2サイクル:光通信装置の作成 光通信を題材に,交流増幅回路の応用について理解する.
14週 第2サイクル:ゲルマニウムラジオの作成 ゲルマニウムラジオを題材に,AM変調回路とトランジスタ増幅回路を理解する.
15週 (前期期末試験)
16週 (前期期末試験の解答と解説)
後期
3rdQ
1週 第3サイクル ガイダンス
第4サイクル ガイダンス
第3サイクル
電気回路,電磁気学,電子回路で学んだ理論を実験を通して実際に経験する.併せて測定器の使用法を習得する.
第4サイクル
電気機器工学と電気回路で学んだ理論および技術を実験を通して経験し,技術を修得する.
2週 第3サイクル トランジスタの静特性と増幅回路 トランジスタ増幅回路の動作原理を理解する.(MCC IV-C)
3週 第3サイクル トランジスタ増幅回路の周波数特性 トランジスタ増幅回路の遮断周波数について実験を通じて学び,その設計方法を習得する.
4週 第3サイクル 過渡現象 RC回路における過渡現象と時定数を理解する.
5週 第3サイクル 鉄心のヒステリシス特性 軟鉄の磁化特性の測定から初期磁化特性とヒステリシス特性について理解する.
6週 第3サイクル 共振回路 RLC回路の共振現象を観察し理解を深める.特定周波数成分のみを取り出しうることを理解する.(MCC IV-C)
7週 第3サイクル LCRメータ LCRメータにより電気材料の物性評価手法を習得する.(MCC IV-C)
8週 (後期中間試験)
4thQ
9週 第4サイクル 直流機無負荷特性 電気機器工学と電気回路で学んだ理論および技術を実験を通して経験し,技術を修得する.(MCC IV-C)
10週 第4サイクル 直流機の外部特性 電気機器工学と電気回路で学んだ理論および技術を実験を通して経験し,技術を修得する.(MCC IV-C)
11週 第4サイクル 直流機の特性試験 電気機器工学と電気回路で学んだ理論および技術を実験を通して経験し,技術を修得する.(MCC IV-C)
12週 第4サイクル 三相電力の測定 電気機器工学と電気回路で学んだ理論および技術を実験を通して経験し,技術を修得する.(MCC IV-C)
13週 第4サイクル 単相変圧器の特性 電気機器工学と電気回路で学んだ理論および技術を実験を通して経験し,技術を修得する.(MCC IV-C)
14週 第4サイクル 単相変圧器の三相結線 電気機器工学と電気回路で学んだ理論および技術を実験を通して経験し,技術を修得する.(MCC IV-C)
15週 (学年末試験)
16週 (学年末試験の解答と解説)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前2,前3,前6,前7,前8,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13
専門的能力分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。3前6,後9,後10,後11,後12,後13,後14
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。3前4
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。3前1
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。3前1,後9,後10,後11,後12,後13,後14
キルヒホッフの法則を適用し、実験結果を考察できる。3前3
分流・分圧の関係を適用し、実験結果を考察できる。3前3
ブリッジ回路の平衡条件を適用し、実験結果を考察できる。3前4
重ねの理を適用し、実験結果を考察できる。3前3,後6
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。3後6,後7
共振について、実験結果を考察できる。3後6
増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。3後2
ダイオードの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3前2
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。3後2

評価割合

レポート実験スキル評価および取り組み状況合計
総合評価割合7030100
基礎的能力351550
専門的能力351550
分野横断的能力000