電子工学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電子工学
科目番号 R04E420 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (教科書) 古川静二郎,荻田陽一郎,浅野種正,「電子デバイス工学」,森北出版/(参考図書) S. M. ジー(箸),南日 康夫,川辺 光央,長谷川 文夫 (訳)「半導体デバイス―基礎理論とプロセス技術」,産業図書
担当教員 田中 大輔

到達目標

(1) 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明できる(定期試験+小テスト)
(2) パウリの排他律について説明できる(定期試験+小テスト)
(3) 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いや各性質を説明できる(定期試験+小テスト)
(4) エネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し説明することができる(定期試験+小テスト+課題)
(5) バンド理論を用いて,pn接合ダイオード,バイポーラトランジスタ,J-FET,MOS-FET,ショットキーダイオード,太陽電池,フォトダイオード,LEDなどの基本的電子デバイスの動作機構やデバイス特性を説明できる(定期試験+小テスト+課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
目的・到達目標(1)の評価指標 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明し,数値計算もよくできる. 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明でき,計算もできる. 電子の基本性質およびエレクトロンボルトについて説明できない.
目的・到達目標(2)の評価指標パウリの排他律について電子の取りうる量子状態まで含めて詳細まで説明できる. パウリの排他律について,おおまかな説明できる. パウリの排他律について説明できない.
目的・到達目標(3)の評価指標 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いやバンドギャップの違いについて詳細に説明できる.また,導電率など物性値について数値計算がよくできる. 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いや各性質を説明できる.また,各導電率などの計算がおおよそできる. 原子構造,結晶構造を理解し,半導体,金属,絶縁体のバンド図の違いや各性質を説明できない.また,数値計算もできない.
目的・到達目標(2)の評価指標エネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し正確に説明することができる.それらについての問題がよく解ける.エネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し説明することができ,計算もできる.エネルギーバンド理論,拡散電流,ドリフト電流について理解し説明することができない.
目的・到達目標(5)の評価指標バンド理論を用いて,基本的な電子デバイスの動作機構をよく説明でき,それらについての問題がよく解ける.バンド理論を用いて,基本的な電子デバイスの動作機構を説明できる.バンド理論を用いて,基本的な電子デバイスの動作機構を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B2) 説明 閉じる
JABEE 1.2(d)(1) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
(授業の概要)
電子デバイスを理解する上での基礎概念について学び,動作原理を知りその応用素子について学習する.pn接合ダイオードについて,動作機構を定量的に理解する.種々のトランジスタ,半導体応用素子について学習する.本講義ではバンド理論を通した理解に重点を置く.
(科目情報)
教育プログラム:第1学年◎科目
授業の進め方・方法:
指定した教科書と板書をベースに講義を進める.適宜,プリントを配布し,教科書の内容が薄い箇所についてはカバーする.電子の基本的性質をはじめ,半導体中のキャリアの扱い方,バンド図,各種デバイスの構造と特性,それらの特性を示す式の導出,使い方について学び,最後に各種デバイスについて学ぶ.
(事前学習)
前回学んだことを必ず復習すること.また,次回の内容について教科書・ノートを読むことで事前学習を行うとともに,可能であれば演習にも取り組むこと.
前回の講義後に課題プリントが配布されている場合,講義までに自学習しておくこと.
注意点:
(履修上の注意)
教科書を補足するための配布資料に,大事な点を書き込むと良い.
(自学上の注意)
電磁気学,電気回路,電子回路についてよく復習をしておくこと.課題はしっかり自分で解説前に解いておくこと.

評価

(総合評価)
総合評価=4回の定期試験の平均点×0.9(90点分)+小テストおよび課題の平均点(10点分)
(再試験について)
総合評価が60点未満の学生に対して再試験を実施し,60点以上取得で合格とする.
正当な理由なく定期試験を欠席した者や不正行為により不合格となった者には再試験は実施しない.
(追認試験について)
追認試験は4年時に電子工学の総合評価が60点に満たない学生に対して実施し,60点以上取得で合格とする.
正当な理由なく欠席した学生,無断欠席した学生に対しての再試験は実施しない.
※小テストや課題の6割以上の受験・提出を単位取得の条件とする.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子の性質と物理現象 素電荷や電子の静止質量などの基本的な性質について理解できる.(MCC V-C)
2週 水素原子模型とパウリの排他律 ボーアの原子モデルからエネルギーと軌道(の量子性)を学び,パウリ排他律から軌道電子の性質を説明できる.(MCC V-C)
3週 結晶構造とミラー指数 結晶構造の種類,およびミラー指数による表現方法を身に着ける.(MCC V-C)
4週 バンド理論 結晶構造についての思考実験から,エネルギーバンドの形成について理解できる.また,eVの定義の説明と単位換算が出来る.(MCC V-C)
5週 キャリア密度とフェルミ準位 キャリア密度とフェルミ準位について理解し,金属,真性半導体,不純物半導体のバンド図の違いについて理解できる.(MCC V-C)
6週 同上 同上(MCC V-C)
7週 電気伝導 半導体中において主たる電気伝導を担うドリフト電流,拡散電流について学ぶ.(MCC V-C)
8週 前期中間試験 目的・到達目標(1)(2)(3)(4)
2ndQ
9週 pn接合 pn接合におけるバンド構造を分析し,電流電圧特性が整流性を示す機構を学ぶ.(MCC V-C)
10週 同上 同上(MCC V-C)
11週 ダイオードの電流 キャリア密度の式から電流の式を導出し,それらを用いた計算について学ぶ.
12週 ダイオードの実際構造 メサ型,プレーナ型などダイオードの構造と特徴について理解する.
13週 拡散容量と空乏層容量 pn接合ダイオードの静電容量の起源を理解し,数値計算手法を学ぶ.
14週 同上 同上
15週 前期期末試験 目的・到達目標(4)(5)
16週 試験解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.
後期
3rdQ
1週 バイポーラトランジスタの構造と動作機構 エレクトロニクスの中心的役割を担うトランジスタの中で,まずバイポーラトランジスタについて動作機構と特性を学ぶ.(MCC V-C)
2週 同上 同上(MCC V-C)
3週 金属半導体接触 金属と半導体の接触によるショットキーダイオード及びオーミックコンタクトについて学ぶ.
4週 同上 同上
5週 接合形FET 電界効果トランジスタの種類や特徴について学び,接合型電界効果トランジスタ(J-FET)の動作原理について学ぶ.(MCC V-C)
6週 同上 同上(MCC V-C)
7週 MIS構造 MIS構造のバイアスによる特性について,バンド図を用いて学ぶ.
8週 MIS-FET(MOS-FET) MIS-FETの動作原理と特性について学ぶ.(MCC V-C)
4thQ
9週 後期中間試験 目的・到達目標(4)(5)
10週 後期中間試験の解答と解説
MIS-FET(MOS-FET)
MIS-FETの動作原理と特性について学ぶ.(MCC V-C)
11週 集積回路 CMOSやメモリなどの構造や動作特性などについて学ぶ.
12週 パワーデバイス IGBTやサイリスタ,パワーMOSなどの特性や構造について学ぶ.
13週 光半導体デバイス1 LEDや太陽電池,フォトダイオードなどの光デバイスについて学ぶ.直接遷移型と間接遷移型の半導体についても取り上げる.
14週 光半導体デバイス1 県内企業の方を外部講師として招き、光デバイスに関する先端的な内容について学ぶ.
15週 後期期末試験 目的・到達目標(4)(5)
16週 試験解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4前1
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前4
原子の構造を説明できる。4前2
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。4前2
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。4前3,前4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。4前7
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前5,前6
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。4前1,前5
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前9,前10,前11
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4後1,後2
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。4後5,後6,後8,後10

評価割合

定期試験小テスト合計
総合評価割合9010100
基礎的能力000
専門的能力9010100
分野横断的能力000