量子力学

科目基礎情報

学校	大分工業高等専門学校	開講年度	2017
授業科目	量子力学
科目番号	1445	科目区分	専門 / 選択
授業形態	授業	単位の種別と単位数	履修単位: 1
開設学科	電気電子工学科	対象学年	5
開設期	後期	週時間数	2
教科書/教材	なし
担当教員	田中 大輔

到達目標

(1) 光や電子の二重性，物質波，不確定性原理や種々の量子効果について理解できる．(定期試験と課題)
(2) シュレディンガー方程式について学び，量子力学の基礎概念を理解できる．（定期試験と課題）
(3) 井戸型ポテンシャル，エネルギーバンド形成，バンドギャップの物理的意味を理解できる．（定期試験と課題）
(4) 演習課題を通して理解を深めると共に，継続的に学習できる．　(課題)

ルーブリック

	理想的な到達レベルの目安	標準的な到達レベルの目安	未到達レベルの目安
評価項目1	光や電子の二重性，物質波，不確定性原理や種々の量子効果についての説明ができ、基礎問題が解ける．	光や電子の二重性，物質波，不確定性原理や種々の量子効果について説明できる．	光や電子の二重性，物質波，不確定性原理や種々の量子効果について説明できない．
評価項目2	シュレディンガー方程式が記述、説明でき，基礎問題が解ける．	シュレディンガー方程式が記述、説明できる．	シュレディンガー方程式が記述、説明できず，問題も解けない．
評価項目3	井戸型ポテンシャル，エネルギーバンド形成，バンドギャップの物理的意味を深く理解し、問題が解ける．	井戸型ポテンシャル，エネルギーバンド形成，バンドギャップの物理的意味の基本部分を理解できる．	井戸型ポテンシャル，エネルギーバンド形成，バンドギャップの物理的意味を理解できない．
評価項目(4)	量子力学についての基礎・応用問題が解ける．	量子力学についての基礎問題が解ける．	量子力学についての問題が解けない．

教育方法等

概要:

原子／分子のミクロの世界では，古典力学，電磁気学，流体力学等はもはや成立せず，従来の考え方は適用できない．これを打破するために生まれたのが，量子力学であり，原子／分子の世界を記述する基本的法則と言える．レーザー発振，トンネル効果，超伝導等などの現象を解明できるのが量子力学である．本授業では，量子力学の基礎を学ぶ．

授業の進め方・方法:

講義は配布資料と板書をベースに進める．講義内で演習問題を解く時間を設けるほか適宜、課題を与える．量子力学が形成・発展してきた歴史的な流れを学び、古典物理でいうニュートンの運動方程式にあたるシュレディンガー方程式の導出と使い方について学ぶ．中間試験後には4年で学習した電子工学と関連付く内容(バンドギャップモデル等)について学ぶ．

注意点:

講義中に出題された課題・演習問題をしっかり解くこと．

授業計画

		週	授業内容	週ごとの到達目標
後期
	3rdQ
		1週	量子力学の成り立ち	古典力学では説明のつかない種々の現象の概要と量子力学の成り立ちを学ぶ．
		2週	空洞放射	レイリー・ジーンズの式，ヴィーンの式，プランクの式と空洞放射について学ぶ．
		3週	コンプトン散乱と光電効果	運動量保存則，エネルギー保存則からコンプトン散乱の式を導出し，現象について学ぶ．外部光電効果について学ぶ．
		4週	物質の波動性	物質波(ド・ブロイ波)の考え，粒子性と波動性の2重性について学ぶ．
		5週	不確定性原理	ハイゼンベルグの不確定性原理(位置と運動量，時間とエネルギーの関係)について学ぶ．
		6週	シュレディンガー方程式	シュレディンガー方程式の必要性と性質について理解を進めながら，複素数と観測量の関係，古典力学の解釈について学ぶ．
		7週	同上	同上
		8週	後期中間試験
	4thQ
		9週	後期中間試験の解答と解説
		10週	無限に深い井戸型ポテンシャル	無限に深い井戸型ポテンシャルの波動関数と期待値を導出し，規格化，直交関数，期待値について学ぶ．
		11週	一次元ポテンシャルとトンネル効果	調和振動確率密度分布古典論／井戸型ポテンシャルとの比較を行う．トンネル効果については波動方程式を解きながら，その性質を理解する．また，トンネル効果を利用した種々のデバイスについて学ぶ．
		12週	同上	同上
		13週	エネルギーバンド	自由粒子の波動関数，ブロッホの定理，クローニッヒ・ペニーモデル，バンドギャップについて演習問題を解きながら特性をつかむとともに、電子工学で学んだバンド理論と対比させ，理解を深める．
		14週	同上	同上
		15週	後期期末試験
		16週	後期期末試験の解答と解説

評価割合

	試験	課題	合計
総合評価割合	80	20	100
基礎的能力	0	0	0
専門的能力	80	20	100
分野横断的能力	0	0	0