応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 R03S414 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (教科書)「第5版物理学基礎」(原康夫,学術図書)
担当教員 藤本 教寛

到達目標

(1)運動方程式から保存則を導くことができ,保存則を利用して問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(2)温度,圧力などの熱現象に現れる基本的概念や熱機関の働きなどを理解でき,簡単なエントロピーなどの計算をすることができる.(定期試験・課題)
(3)時間の遅れ,ローレンツ収縮,4元運動量など特殊相対性理論の基礎を理解し,簡単な問題が解ける.(定期試験・課題)
(4)光の粒子性・波動性や物質の粒子性・波動性など量子論の基礎を理解し,簡単な計算問題が解ける.(定期試験・課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1運動方程式,保存則の両方の観点から問題を解くことができる.運動方程式から保存則を導くことができ,保存則を利用して問題を解くことができる.運動方程式から保存則を導くことができ,保存則を利用して問題を解くことができない.
評価項目2温度,圧力などの熱現象に現れる基本的概念を理解でき,熱力学の法則を用いて問題を解くことができる.エントロピー増大の原理を,可逆過程と不可逆過程を合わせた熱機関の観点から説明できる.温度,圧力などの熱現象に現れる基本的概念を理解できる.基本的な熱機関はたらきが理解でき,エントロピーの簡単な計算をすることができる.温度,圧力などの熱現象に現れる基本的概念を理解できない.基本的な熱機関はたらきが理解でき,エントロピーの簡単な計算をすることができない.
評価項目3時間の遅れ,ローレンツ収縮,4元運動量など特殊相対性理論の基礎を理解することができ,問題が解ける.時間の遅れ,ローレンツ収縮,4元運動量など特殊相対性理論の基礎の簡単な問題が解ける.時間の遅れ,ローレンツ収縮,4元運動量について理解できない.
評価項目4光電効果や,ド・ブロイの物質波について,簡単な量子力学の問題を解くことが出来る.光の粒子性・波動性および物質の粒子性・波動性を理解できる.光の粒子性・波動性および物質の粒子性・波動性を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B1) 説明 閉じる
JABEE 1(2)(c) 説明 閉じる
JABEE 1(2)(g) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
前期は力学における基礎的な概念の1つであるエネルギーについて理解する.また,回転などを行う物体の運動方程式についても学び,慣性モーメントが計算できるようになることを1つの目的としている.後期は熱力学で,熱力学と力学をつなぐ分子運動論について理解し,最後には現代物理学の2大巨頭である,相対論と量子論についても概要を学ぶ.
(科目情報)
教育プログラム第1学年 ◎科目
授業の進め方・方法:
教科書を中心教材として,板書による授業を行う.教科書だけではどうしても理解が深まらないので,毎週出題される課題を利用して適宜演習を行い,授業で解説するなどを行う.
(事前学習)
教科書を読み予習してくることを前提として講義を進める.シラバスを参考に,予習をしっかり行うこと.
注意点:
(履修上の注意)
かなり高度な内容を含むため,講義中でもわからないことが出てきたらすぐに質問して,参考書なども使い解決すること.メールでの質問も受け付けるため,必ずわからないところは分かるまで粘ること.
(自学上の注意)
レポートは前日に適当に解くのではなく,必ず時間をかけて挑むこと.わからないところはメールを活用し,随時質問して解消をすること.

評価

(総合評価)
目的・到達目標の(1)〜(4)について4回の定期試験と課題で評価する.
ただし,新型コロナウイルス感染症対策により1/4以上のweb 授業を行った場合,web授業の内容(板書等)を書いたノートの提出を求め課題点の10%とする.
・総合評価【Web授業なし】=(定期試験の平均点)×0.70+(レポート課題の平均点)×0.30
・総合評価<Web授業あり>=(定期試験の平均点)×0.55+(レポート課題の平均点)×0.35+ノート提出課題×0.10
(単位修得の条件について)
総合評価が60 点以上を合格とする.
(再試験について)
再試験は,年度末の再試験期間に1回のみ実施する.受験資格は総合点が40点以上である者とする.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 仕事・仕事率
仕事・仕事率とについて理解する.
2週 保存力と位置エネルギー エネルギーの概念について学び,仕事との関係について理解する.
3週 運動エネルギー 保存力を用いて位置エネルギーが定義できる
4週 力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存則を理解し,導けるようになる.
5週 運動量と力積
運動量保存則
運動量について理解する.
6週 粒子系の運動 多粒子系の運動方程式を理解し,運動量保存則を導けるようになる.
7週 力のモーメント 力のモーメントについて学ぶ.
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 角運動量 角運動量について学ぶ.
10週 回転運動の方程式 回転の運動方程式について学ぶ.
11週 剛体のつりあい 剛体について,力のつりあいについて学ぶ.
12週 慣性モーメント 慣性モーメントについて学び,様々な形態の物体について慣性モーメントの計算方法を学ぶ.
13週 慣性モーメント 慣性モーメントについて学び,様々な形態の物体について慣性モーメントの計算方法を学ぶ.
14週 慣性モーメントを用いた回転運動 質点の回転の運動方程式について理解し,応用する.
15週 前期期末試験
16週 前期期末試験後の解答と解説 分からなかった部分を把握し理解できる.
後期
3rdQ
1週 熱と温度
内部エネルギー
熱現象を表す基本的な物理量である温度について,絶対温度を計算できる.さらに系の内部エネルギーについて学び,理想気体の内部エネルギーを計算できるようになる.
2週 熱の移動 熱平衡状態と熱量の保存則について学ぶ.
3週 状態方程式 気体の状態方程式を使って物理量を求めることができる.
4週 分子運動論 理想気体の内部エネルギーを,分子運動の観点から理解する.
5週 熱力学第一法則 理想熱力学第一法則について学び,内部エネルギーの変化と熱量,仕事の関係について理解する.気体の内部エネルギーを,分子運動の観点から理解する.
6週 さまざまな過程 熱力学における定圧過程,定積過程,等温過程,断熱過程について学ぶ.
7週 熱力学第二法則 熱力学第二法則について学び,エントロピーについて学ぶ.
8週 エントロピー エントロピーの計算方法について知る.
4thQ
9週 後期中間試験
10週 時間の遅れと長さの縮れ 慣性系によって,時間の進み方や物の長さが異なることを理解する.
11週 ローレンツ変換 慣性系同士をつなぐ,ローレンツ変換について理解する.
12週 4元運動量 エネルギーと運動量が4次元ベクトルとして統一されることを理解する.
13週 光の粒子性と物質の波動性 光電効果に見られる光の粒子性と,物質波に現れる波動性について理解できる.
14週 原子の構造 原子の構造と,素粒子について理解できる
15週 後期期末試験
16週 後期期末試験の解答と解説 分からなかった部分を把握し理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3

評価割合

定期試験レポート課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力402060
専門的能力301040
分野横断的能力000