応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 R05S414 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (教科書)「第5版物理学基礎」(原康夫,学術図書)
担当教員 倉持 凜人

到達目標

(1)微分を用いて記述されたニュートンの運動方程式を理解し,微分方程式の知識を用いて運動方程式を解くことができる.(定期試験・課題)
(2)運動方程式から種々の保存則を導くことができ,保存則を利用して問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(3)剛体に対して並進運動の運動方程式と回転運動の運動方程式を理解し,問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(4)時間の遅れ・ローレンツ収縮・4元運動量など特殊相対性理論の基礎、光の粒子性や物質の波動性など量子論の基礎を理解し,簡単な計算問題が解ける.(定期試験・課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標(1)の評価指標運動方程式を理解し,強制振動や減衰振動などの問題について,運動方程式を解くことができる.運動方程式を立式でき,自由落下や斜方投射のような基本的な運動について,運動方程式を解くことができる.運動方程式を立式することができず,自由落下や斜方投射のような基本的な運動について,運動方程式を解くことができない.
到達目標(2)の評価指標運動方程式から保存則を導くことができ,保存則を利用して問題を解くことができる.種々の保存則を利用して問題を解くことができる.保存則を利用して問題を解くことができない.
到達目標(3)の評価指標円筒や球殻など,様々な形の剛体について慣性モーメントを求めることができ,並進の運動方程式と回転の運動方程式を立てて解くことができる.円板や球の方な基本的な物体に対して慣性モーメントを求めることができ,並進の運動方程式と回転の運動方程式を立てて解くことができる.円板や球の方な基本的な物体に対して慣性モーメントを求めることができ,並進の運動方程式と回転の運動方程式を立てて解くことができない.
到達目標(4)の評価指標時間の遅れ・ローレンツ収縮・4元運動量など特殊相対性理論の問題や、光電効果や・ド・ブロイの物質波などについての量子力学の問題を解くことが出来る.時間の遅れ・ローレンツ収縮・4元運動量など特殊相対性理論に現れる固有現象、光電効果や・ド・ブロイの物質波など量子力学に現れる固有現象を説明することが出来る.時間の遅れ・ローレンツ収縮・4元運動量など特殊相対性理論に現れる固有現象、光電効果や・ド・ブロイの物質波など量子力学に現れる固有現象を説明することができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B1) 説明 閉じる
JABEE 1.2(c) 説明 閉じる
JABEE 1.2(g) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
微分を用いたニュートンの運動方程式について学び,そこから導かれる力学的エネルギー保存則など,種々の保存則について学習する.また,(大きさを無視した質点の運動方程式だけではなく)大きさを加味した剛体について,“回転のしにくさ”を表す概念である“慣性モーメント”を学び,並進運動と回転運動の運動方程式について学習する.最後に,現代物理学の2大巨頭である,相対論と量子論についても概要を学ぶ.
授業の進め方・方法:
教科書を中心教材として,板書による授業を行う.教科書だけではどうしても理解が深まらないので,毎週出題される課題を利用して適宜演習を行い,授業で解説するなどを行う.
(事前学習)
教科書を読み予習してくることを前提として講義を進める.シラバスを参考に,予習をしっかり行うこと.
注意点:
(履修上の注意)
かなり高度な内容を含むため,講義中でもわからないことが出てきたらすぐに質問して,参考書なども使い解決すること.メールでの質問も受け付けるため,必ずわからないところは分かるまで粘ること.
(自学上の注意)
レポートは前日に適当に解くのではなく,必ず時間をかけて挑むこと.わからないところはメールを活用し,随時質問して解消をすること.

評価

(総合評価)
総合評価=(定期試験の平均点)×0.70+(レポート課題の平均点)×0.30
(単位修得の条件について)
総合評価が60 点以上を合格とする.
(再試験について)
再試験は,年度末の再試験期間に1回のみ実施する.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 変位・速度・加速度① デカルト座標系において,質点の変位に微分を用いて,速度・加速度を定義することを理解できる.
2週 運動の法則と力の法則 ニュートンの運動の三法則を学び,微分を用いたニュートンの運動方程式を理解できる.
3週 力と運動① 自由落下や斜方投射,斜面を滑る拘束系の運動など,一定の力が働いている時の質点について,ニュートンの運動方程式を立てて解くことができる.
4週 力と運動② 空気抵抗がある場合の質点の運動について,ニュートンの運動方程式を立てて,解くことができる.
5週 単振動① 調和振動子(ばねの運動)について運動方程式を立てて,解くことができる.
6週 減衰振動・強制振動 空気抵抗や,外力がある場合の調和振動子の運動について,運動方程式を立てて解くことができる.
7週 変位・速度・加速度② 極座標系において,質点の変位に微分を用いて,速度・加速度を定義することを理解できる
8週 単振動② 単振り子の運動方程式を立てて,解くことができる.
2ndQ
9週 前期中間試験 到達目標(1)
10週 前期中間試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.
11週 仕事とエネルギー エネルギーと仕事の概念を理解し,運動エネルギーと位置エネルギー(および保存力)について理解できる.
12週 力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存則を理解し,地球からの脱出速度などを求めることができる.
13週 質点の角運動量と回転運動の方程式 力のモーメントや,回転運動する質点の角運動量について理解し,回転の運動方程式を立てることができる.
14週 角運動量保存則 中心力が働く場合には角運動量保存則が成り立つことを理解でき,ケプラーの法則を理解することができる.
15週 前期期末試験 到達目標(2)
16週 前期期末試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.
後期
3rdQ
1週 質点系・剛体の重心の運動 質点系と剛体について重心を理解でき,重心の運動方程式を導くことができる.
2週 質点系の運動量と,運動量保存則 質点系における全運動量を理解できる.質点系における衝突などについて,運動量保存則を考えることができる.
3週 質点系の角運動量と,角運動量保存則 質点系における全角運動量を理解でき,回転の運動方程式や角運動量保存則を導くことができる.回転の運動方程式から,重心周りの回転の方程式を分離することができる.
4週 剛体のつり合い 剛体について,剛体が静止するための条件を理解することができる.
5週 慣性モーメント① 慣性モーメントという概念について理解できる.
6週 慣性モーメント② 様々な形態の物体について慣性モーメントを計算することができる.
7週 慣性モーメントを用いた回転運動① 物体の回転の運動方程式について理解し,剛体振り子などの運動について,運動方程式を解くことができる.
8週 慣性モーメントを用いた回転運動② 物体の回転運動の運動方程式と,重心の並進運動の運動方程式を理解し,斜面を滑らずに転がる球などの運動方程式を解くことができる.
4thQ
9週 後期中間試験 到達目標(3)
10週 後期中間試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.
11週 時間の遅れとローレンツ収縮 慣性系によって,時間の進み方や物の長さが異なることを理解する.
12週 ローレンツ変換 慣性系同士をつなぐ,ローレンツ変換について理解する.
13週 光の粒子性と物質の波動性 光電効果などに見られる光の粒子性と,物質波に現れる物質の波動性について理解できる.
14週 原子の構造と素粒子 原子の構造と,素粒子について理解できる.
15週 後期期末試験 到達目標(4)
16週 後期期末試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学力のモーメントを求めることができる。3前13
角運動量を求めることができる。3前13,後3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前14,後3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3後4
重心に関する計算ができる。3後1,後2,後3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後5,後6
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後7,後8

評価割合

定期試験レポート課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力000
分野横断的能力000