概要:
構造力学は土木構造物の力学的特性を把握し,合理的かつ経済的に設計・建設するための基礎となる学問である。この応用分野は,コンクリート構造学や橋梁工学など極めて広く,土木工学における重要な基礎科目である。本授業では,構造物の設計の基礎となる力学の考え方と計算方法に関して,基礎的な知識を修得することを目的としている.
授業の進め方・方法:
まず,授業を通して基礎的な知識を修得し,教科書の例題を解説する.次に,演習として授業担当教員が独自に作成した課題や教科書の章末問題などを解くことで理解を深める.
(再試験について)
再試験は実施しない.
注意点:
(履修上の注意)
(1) 原則として,1年次の建設工学基礎のノートを使用する.ALH等で質問にくる際には,教科書と授業ノートを必ず持参すること.
(2) 構造力学は土木構造物の設計にあたって欠かすことのできない重要な基礎知識であり,学んだ内容を段階的に積み重ねて習得するものである.よって,常日頃から予習・復習をすることが大切である.また,本授業では単に問題が解けることを目的としていない.各自がしっかりと考え,定義や基礎をきちんと身に付けていくことを期待する.
(3) 授業中に疑問に思うことや分からないことがあれば質問してよい.質問は歓迎する.また,こちらからも理解を促すような質問を心掛けるので,間違いを気にせずに自分の考えを答えること.必要に応じてクラス全員で議論し,理解を深めていくことを期待する.
(自学上の注意)
(1) 授業前に予習をし,授業後には十分な復習に努めること.特に,授業内容はノートに纏めて要点を整理しておくこと.
(2) 与えられた課題を通じて理解度を深めること.
(3) わからないことは,ALHなどを利用して質問にくること.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
(1) ガイダンス(前期の授業計画)・ 建設工学基礎と物理(力学)の復習(線部材、荷重)と同一平面内にある物体のつり合い条件 (2) 構造物の安定性と単純化 |
(1) 前期の授業計画と評価方法を理解できる. (2) 1年次の建設工学基礎とこれまでに学んだ物理系(力学)科目の復習(線部材、荷重、力の基本事項)・同一平面内にある物体のつり合いとその条件式を理解できる. (3) 構造物の安定性と単純化を理解できる.
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2週 |
(1) 曲げを受ける直線部材の支点と支点反力との関係 (2) 単純梁と片持梁と支点反力 |
(1) 曲げを受ける直線部材(梁)と曲げ変形を理解する(建設工学基礎の復習).梁の支点と支点反力を理解する. (2) 単純梁と片持梁と支点反力の求め方を理解でき,これらを計算することができる.
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3週 |
(1) 静定梁の支点反力(演習) (2) 断面力とその計算方法 |
(1) 演習を通して,任意の面外荷重を受ける静定梁の支点反力を求めることができるようになることを目指す. (2) 梁の断面力を理解する.梁の断面力の求め方を理解する.
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4週 |
(1) 単純梁の断面力 (2) 片持梁の断面力 |
(1) 集中荷重または等分布荷重を受ける単純梁の断面力を求め,断面力図を描くことができる. (2) 集中荷重または等分布荷重を受ける片持梁の断面力を求め,断面力図を描くことができる.
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5週 |
(1) 静定梁の断面力(演習) (2) ゲルバー梁の支点反力と断面力 |
(1) 任意の面外荷重を受ける静定梁の断面力を求め,断面力図を描けるようになることを目指す. (2) ゲルバー梁のメカニズムを理解できる.ゲルバー梁の支点反力と断面力式を求め,断面力を描くことができる.
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6週 |
(1) 間接荷重を受ける単純梁の断面力 (2) 梁部材のつり合いの微分方程式 |
(1) 間接荷重を理解できる.間接荷重を受ける単純梁の断面力を求め,断面力図を描くことができる.
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7週 |
(1) 前期中間試験 (2) 前期中間試験の解説・トラス構造(単純圧縮・引張を受ける骨組構造)の基本的特徴とその安定性
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(1) これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. (2) わからなかった部分を理解を理解できる.引張を受ける直線部材(棒)と引張変形を理解する(建設工学基礎).トラス構造の基本的な特徴とその安定性を理解できる.
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8週 |
(1) 静定トラスの支点反力(授業と演習) (2) 棒部材のつり合いの微分方程式 |
(1) 静定トラスの支点反力を求めることができる. (2) 棒部材のつり合いの微分方程式を理解できる.
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2ndQ |
9週 |
(1) 節点法によるトラスの部材力の計算(授業) (2) 節点法によるトラスの部材力の計算(演習)
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(1) 節点法によるトラスの部材力の求め方を理解できる.節点法によりトラスの部材力を求めることができる. (2) 節点法により様々なトラスの部材力を求めることができるようになることを目指す.
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10週 |
(1) 断面法によるトラスの部材力の計算(授業) (2) 断面法によるトラスの部材力の計算(演習) |
(1) 断面法によるトラスの部材力の求め方を理解できる.断面法によりトラスの部材力を求めることができる. (2) 断面法により様々なトラスの部材力を求めることができるようになることを目指す.
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11週 |
(1) ラーメン構造と曲げを受ける骨組構造の基本的特徴 (2) T形ラーメンの断面力(授業) |
(1) ラーメン構造と曲げを受ける骨組構造の基本的特徴を理解する. (2) T形ラーメンの支点反力と断面力を求め,断面力図を描く.
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12週 |
(1) 門形ラーメンの断面力(授業) (2) 静定ラーメンの断面力(演習) |
(1) 門形ラーメンの支点反力と断面力を求め,断面力図を描く. (2) 演習を通して様々な静定ラーメンの断面力を求め,断面力図を描けるようになることを目指す.
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13週 |
(1) 曲げを受ける骨組構造の断面力(演習) (2) 影響線の定義と単純梁の支点反力の影響線 |
(1) 演習を通して様々な曲げを受ける骨組構造の断面力を求め,断面力図を描けるようになることを目指す. (2) 影響線と断面力図の違いを理解できる.単純梁の支点反力の影響線を描くことができる.
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14週 |
(1) 単純梁の断面力の影響線 (2) 影響線による単純梁の支点反力と断面力の計算(授業) |
(1) 単純梁の断面力の影響線を描くことができる. (2) 影響線を用いて単純梁の支点反力と断面力を計算できる.
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15週 |
(1) 影響線による静定梁の支点反力と断面力の計算(演習) (2) 片持梁の支点反力と断面力の影響線とその応用
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(1) 影響線を用いて様々な面外荷重が作用する単純梁の支点反力と断面力を計算できる. (2) 片持梁の支点反力と断面力の影響線を描くことができる.これを用いて片持梁の支点反力と断面力を異計算できる.
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16週 |
前期期末試験 前期期末試験の解説 |
(1) これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. (2) わからなかった部分を理解できる.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
(1) ガイダンス(後期の授業計画)・断面零次モーメント(授業) (2) 断面零次モーメント(演習) |
(1) 後期の授業計画と評価方法が理解できる. (2) 断面諸量とは何かを理解できる. (3) 断面零次モーメントの定義を理解できる. (2) 積分により断面積を求めることができる.
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2週 |
(1) 断面一次モーメントと断面の図心(授業) (2) 断面一次モーメントと断面の図心の計算(演習) |
(1) 断面一次モーメントの定義と断面の図心を理解できる. (2) 単純な形の断面の任意の軸に回りの断面一次モーメントを計算でき,図心位置を求めることができる.
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3週 |
(1) 断面二次モーメント(授業) (2) 任意の軸回りの断面二次モーメント(授業) |
(1) 断面二次モーメントの定義を理解できる. (2) 単純な形の断面の任意の軸に回りの断面二次モーメントを求めることができる.
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4週 |
(1) T形およびI形断面の断面二次モーメント(演習) (2) 断面係数と断面二次半径 |
(1) T形およびI形断面の図心軸回りの断面二次モーメントを求めることができる. (2) 断面係数と断面二次半径の定義を理解し,これらの断面諸量を求めることができる.
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5週 |
(1) 軸力による応力とひずみ (2) せん断力による応力とひずみ |
(1) 軸力による棒部材の単純圧縮・引張変形,垂直応力と垂直ひずみ,ポアソン比を理解できる. (2) せん断力による部材のせん断変形,せん断応力とせん断ひずみを理解できる.
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6週 |
(1) 応力とひずみの関係(Hookeの法則) (2) 棒部材に生じる応力,ひずみとその変形 |
(1) 垂直応力と垂直ひずみ,せん断応力とせん断ひずみの関係(Hookeの法則)および縦弾性係数,せん断弾性係数,鋼材のSSカーブの基礎を理解する. (1) 棒部材に生じる応力,ひずみとその変形を求めることができる.
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7週 |
後期中間試験 後期中間試験の解説・直線部材の曲げ変形 |
(1) これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. (2) わからなかった部分を理解できる.直線部材の曲げ変形を復習し,曲げ変形を生じさせている内力を理解できる.また,中立軸と中立面も理解できる.
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8週 |
(1) 曲げによる応力とひずみ(曲げひずみ) (2) 曲げによる応力とひずみ(曲げ応力) |
(1) 微小要素の曲げ変形状態を理解し,Bernoulli-Eulerの仮定に従う垂直ひずみと曲率半径との関係と,この公式を理解できる. (2) 曲げモーメントと垂直応力の関係式を理解できる.また,この関係を用いることで曲率半径を消去した曲げ応力式が得られることと,この公式の意味を理解できる.
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4thQ |
9週 |
(1) 静定梁の断面に生じる曲げ応力分布(授業と演習) (2) 曲げによって断面に生じるせん断応力 |
(1) 静定梁の断面に生じる曲げ応力分布図を描き,最大の圧縮応力と引張応力を求めることができる.また,断面係数を後期第4週の授業よりも深く理解できる. (2) 曲げによって断面に生じるせん断応力を理解する.
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10週 |
(1) 梁のたわみ曲線の微分方程式と幾何学的境界条件 (2) 等分布荷重を受ける単純梁と片持梁のたわみ曲線 |
(1) 梁のたわみ曲線の微分方程式と幾何学的境界条件を理解できる.梁のたわみ曲線の微分方程式の一般解を求めることができる. (2) 等分布荷重を受ける単純梁と片持梁のたわみ曲線を求め,これを用いて梁のたわみとたわみ角を求めることができる.
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11週 |
(1) 弾性荷重法と共役梁 (2) 弾性荷重法による集中荷重を受ける単純梁のたわみとたわみ角の計算(授業と演習) |
(1) 弾性荷重法と共役梁を理解できる. (2) 弾性荷重法を用いて集中荷重を受ける単純梁のたわみとたわみ角を求めることができる.
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12週 |
(1) 弾性荷重法による集中荷重を受ける片持梁のたわみとたわみ角の計算(授業と演習) (2) 弾性荷重法による等分布荷重を受ける片持梁のたわみとたわみ角の計算 |
(1) 弾性荷重法を用いて集中荷重を受ける片持梁のたわみとたわみ角を求めることができる. (2) 弾性荷重法による等分布荷重を受ける片持梁のたわみとたわみ角の計算方法を理解できる.
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13週 |
(1) 柱の分類と中心軸圧縮力を受ける合成断面短柱に生じる垂直応力 (2) 偏心軸圧縮力を受ける短柱の垂直応力と核 |
(1) 柱の分類を理解できる.中心軸圧縮力を受ける合成断面短柱に生じる垂直応力を求めることができる. (2) 偏心軸圧縮力を受ける短柱の垂直応力と核を理解できる.
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14週 |
(1) 長柱と座屈、単純支持された長柱の微分方程式と幾何学的境界条件 (2) 単純支持された長柱の座屈荷重と座屈モード |
(1) 長柱と座屈、単純支持された長柱の微分方程式と幾何学的境界条件を理解できる. (2) 単純支持された長柱の座屈荷重と座屈モードを理解できる.
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15週 |
(1) 細長比、座屈応力、有効座屈長と座屈係数 (2) 長柱の座屈荷重の計算(演習) |
(1) 細長比、座屈応力、有効座屈長と座屈係数を理解できる. (2) 長柱の座屈荷重と座屈応力,細長比を求めることができる.
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16週 |
後期期末試験 後期末試験の解説 |
(1) これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. (2) わからなかった部分を理解できる.
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | 後1,後2 |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 4 | 後3,後4 |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,前4,前5,前6 |
トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。 | 4 | 前7,前8 |
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。 | 4 | 前9,前10 |
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | 前13,前14,前15 |
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | 前14,前15 |
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。 | 4 | 前11,前12,前13 |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 4 | 後5,後6,後8,後9 |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 4 | 後5 |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 4 | 後13,後14,後15 |