建設振動学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 建設振動学
科目番号 R02C526 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 都市・環境工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 平井一男・水田洋司(共著),「耐震工学入門(第3版・補訂版)」,森北出版/(参考図書)必要に応じて紹介する
担当教員 名木野 晴暢

到達目標

(1) 線部材の剛性をばね定数で表すことができる.(定期試験)
(2) 1自由度系の運動方程式を立てることができる.(定期試験)
(3) 1自由度系の運動方程式から自由振動解を求めることができ,得られた式から自由振動(固有角速度,固有振動数,固有周期,減衰定数)を理解することができる.(定期試験)
(4) 1自由度系の運動方程式から定常振動解を求めることができ,得られた式から共振現象を理解することができる.(定期試験)
(5) 時間積分法による1自由度系の時刻歴応答計算をすることができる.(課題)
(6) 地震による被害を理解することができる.(定期試験)
(7) 耐震設計法の基礎を理解することができる.(定期試験)
(8) これまでに学んできた知識を深めることができる.(課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標(1)骨組構造物の剛性をばね定数で表すことができる.線部材の剛性をばね定数で表すことができる.線部材の剛性とばね定数の関係を理解できない.
到達目標(2)1自由度系および多自由度系の運動方程式を作ることができる.1自由度系の運動方程式を作ることができる.1自由度系の運動方程式を作ることができない.
到達目標(3)1自由度系の運動方程式から自由振動解を求めることができ,得られた式から自由振動(固有角速度,固有振動数,固有周期,減衰定数)を理解することができる.1自由度系の運動方程式から自由振動解を求めることができる.自由振動を理解できない.
到達目標(4)1自由度系の運動方程式から定常振動解を求めることができ,得られた式から共振現象を理解することができる.1自由度系の運動方程式から定常振動解を求めることができる.定常振動と非定常振動を理解できない.
到達目標(5)Euler法とNewmark beta法による1自由度系の時刻歴応答計算をすることができる.Euler法による1自由度系の時刻歴応答計算をすることができる.時間積分法による1自由度系の時刻歴応答計算をすることができない.
到達目標(6)耐震設計法の基礎を理解することができ,例題や演習問題を解くことができる.耐震設計法の基礎を理解することができる.耐震設計法の基礎を理解できない.
到達目標(7)地震による各種社会基盤構造物の直接被害と二次災害を理解できる.地震による橋梁の直接被害を理解できる.地震による社会基盤構造物の被害を理解できない.
到達目標(8)地震,エネルギ原理やLaplace変換などの知識を深めることができ,建設振動の問題の解決に応用することができる.地震,エネルギ原理やLaplace変換などの知識を深めることができる.地震,エネルギ原理やLaplace変換などの知識を深められない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B2) 説明 閉じる
JABEE 1(2)(g) 説明 閉じる
JABEE 2.1(1)① 説明 閉じる

教育方法等

概要:
構造力学Iと構造力学IIでは,静的荷重を受ける構造部材(棒,梁および柱)およびこれらの部材からなる骨組構造の力学について学んできた.しかし,各種の社会基盤に作用する荷重は動的である.土木構造物は鉄鋼やコンクリートを主材料とし,工業数学,材料力学や構造力学を基礎とした解析手法に基づいて設計される.そのため,人工的な交通荷重,地震や台風などの動的荷重による土木構造物の挙動の基礎を理解することは極めて重要である.本授業では構造動力学を学ぶ上での基礎となる1自由度系で理想化された構造物の動力学を地震動を対象として学ぶ.また,総合理科Ⅱ(31C305)で学んだ地震の基礎についても復習する.更に,構造力学II(31C412)で学んだエネルギ原理(Clapeyronの定理,補仮想仕事の原理,Castiglianoの第二定理)や応用数学で学んだLaplace変換(31C410)などの道具を積極的に使う.本授業を通して,エネルギ原理とLaplace変換が如何に便利であるか,またそれらの欠点も感じることで,これまでの知識を深めてほしい.なお,本科目は,アグリエンジニアリング教育及び災害レジリエントマインド教育の対応科目である.(AE科目)(RM科目)

(科目情報)
教育プログラム第2学年 〇科目
授業時間23.25時間
AE科目/RM科目

授業の進め方・方法:
本授業は,主に,次の流れで実施する.
(1) 教科書を用いて,構造動力学として新しく学ぶ内容について説明する.
(2) その後は演習とし,各自が自らの手を動かし,頭で考えることで到達目標の達成を目指す.
(3) 動力学に関わらず,得られた結果(数式)を可視化することは極めて重要である.よって,情報演習室での演習も行う.
なお,演習には,授業担当教員が独自に作成した課題や教科書の例題,章末問題を用いる.

(総合評価)
総合評価は,次式によって算出する.
総合評価 = (前期末試験の素点)× 0.6 +(授業中の課題の平均点)× 0.2 +(時間積分法の課題の平均点)× 0.2

(再試験について)
再試験は実施しない.単位修得の計画には十分に注意されたい.

注意点:
(履修上の注意)
(1) 授業中に疑問に思うことや分からないことがあれば質問してよい.質問は歓迎する.また,こちらからも理解を促すような質問を心掛けるので,間違いを気にせずに自分の考えを答えること.必要に応じてクラス全員で議論し,理解を深めていくことを期待する.
(2) 演習では電卓を用いることがあるため,準備しておくこと.
(3) 時刻歴応答解析の課題は,Microsoft Word, Excelなどを活用して電子データで提出する.
(4) (3)の提出は電子メールとするので,Office365にて電子メールの送受信をできるようにしておくこと.個人のアカウントからの電子メールは受け付けないので注意すること.

(自学上の注意)
(1) 授業前に予習をし,授業後には十分な復習に努めること.特に,授業内容はノートに纏めて要点を整理しておくこと.
(2) 与えられた課題を通じて理解度を深めること.
(3) わからないことは,ALHなどを利用して質問にくること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス(前期の授業計画)

第I編 地震
第1章 地震発生のメカニズム
第2章 地震の強さ
※ 主に総合理科IIの復習
(1) 前期の授業計画と評価方法を理解することができる.
(2) 地震発生のメカニズムを理解することができる.
(3) 地震の強さを理解することができる.
2週 第3章 地震による被害

第II編 振動
第4章 振動工学の役割
(1) 地震による被害を理解することができる.
(2) 振動工学の役割を理解することができる.
3週 第5章 構造物の振動要素
※ 授業後に演習
(1) 構造物の振動要素を理解することができる.
4週 自由度
1自由度系の運動方程式と初期条件
多自由度系の運動方程式と初期条件
(1) 自由度を理解することができる.
(2) 1自由度系の運動方程式を作ることができる.
(3) 多自由度系の運動方程式を作ることができる.
(4) 初期条件を理解することができる.
(5) 多自由度系の運動方程式を解くためには,線形代数の知識が必要になることを理解できる.
5週 第6章 1自由度系の自由振動
※ 授業後に演習
(1) Laplace変換法を用いて,1自由度系の自由振動解を求めることができる.
(2) 1自由度系の自由振動を理解することができる.
6週 第7章 粘性減衰をもつ1自由度系の自由振動
※ 授業後に演習
(1) Laplace変換法を用いて,粘性減衰をもつ1自由度系の自由振動解を求めることができる.
(2) 粘性減衰をもつ1自由度系の自由振動を理解することができる.
7週 第8章 粘性減衰をもつ1自由度系の定常振動
(1) Laplace変換法を用いて,粘性減衰をもつ1自由度系の定常振動解を求めることができる.
(2) 粘性減衰をもつ1自由度系の定常振動と共振現象を理解することができる.
8週 第12章 逐次積分法による構造物の振動応答
地震(地表面震動)による構造物の運動方程式と初期条件
強震記録
時間の離散化と数値積分法
(1) 地震による構造物の強制振動の運動方程式を作ることができる.
(2) 地震動による構造物の動的挙動を予測するためには数値積分法が必要になることを理解できる.
(3) 強震記録の入手方法とその取り扱いを理解することができる.
2ndQ
9週 前期中間試験
※ 令和2年度は前期中間試験を実施せずに授業を実施
これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する.
10週 前期中間試験の解説

Euler法(HRにて授業)
※ 授業後,演習(手計算)
(1) 分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.
(2) Euler法を理解することができる.
11週 Euler法による1自由度系の時刻歴応答解析(情報演習室にて演習) (1) 表計算ソフトまたはプログラム言語を用いて,Euler法による1自由度系の時刻歴応答計算をすることができる.
(2) Euler法の近似解の精度と離散化量の関係をつかむことができる.
12週 Newmark beta法(HRにて授業)
※ 授業後,演習(手計算)
(1) Newmark beta法を理解することができる.
(2) Gamma parameterとbeta parameterにより変化する解法の特性を理解できる.
(3) 平均加速度法を理解することができる.
(4) 線形加速度法を理解することができる.
13週 Newmark beta法による1自由度系の時刻歴応答解析(情報演習室にて演習)
※ 第12週と第14週の演習内容を纏めて電子データにて提出
(1) 表計算ソフトまたはプログラム言語を用いて,Newmark法による1自由度系の時刻歴応答計算をすることができる.
(2) Newmark beta法の近似解の精度と離散化量,Gamma parameterとbeta parameterの関係をつかむことができる.
14週 第III編 耐震設計
第13章 耐震設計の基礎
(1) 我が国の耐震設計がどのように変化してきたかを理解することができる.
(2) 耐震設計法の種類と選択を理解することができる.
15週 前期期末試験 これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する.
16週 前期期末試験の解説 分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

定期試験課題(授業)課題(時刻歴応答解析)合計
総合評価割合602020100
基礎的能力30101050
専門的能力30101050
分野横断的能力0000