(1)各種静定ばりの支点反力と着目断面に作用する内力としての断面力(軸力,せん断力,曲げモーメント)を計算することができ,断面力図(N図,Q図,M図)を描くことができる.(定期試験)
(2)トラスの種類、安定性、トラスの部材力(軸力)の意味を説明でき,静定トラスの支点反力と部材力を計算することができる.(定期試験)
(3)ラーメンを含む静定な剛結骨組構造物の支点反力、着目断面に生じる断面力(軸力,せん断力,曲げモーメント)を計算し、その断面力図(N図,Q図,M図)を描くことができる.(定期試験)
(4)静定ばりの支点反力と断面力の影響線図を描くことができ,これを用いて与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算することができる.(課題)
(5)断面諸量(断面積,図心点,断面一次モーメント,断面二次モーメント)の意味を理解でき,与えられた断面諸量を計算することができる.また,断面係数や断面二次半径を計算することができる.(定期試験)
(6)応力度とその種類(垂直応力度とせん断応力度)、ひずみ度とその種類(垂直ひずみ度とせん断ひずみ度)、応力度とひずみ度の関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算することができる.(定期試験)
(7)はりのたわみ曲線の微分方程式,はりの支配方程式,変位境界条件式(幾何学的境界条件式)および応力境界条件式(力学的境界条件式)を理解でき,境界値問題を解いて静定ばりのたわみ曲線とたわみ角を求めることができる.また,弾性荷重法を用いて静定ばりのたわみとたわみ角を計算することができる.(定期試験)
(8)圧縮荷重を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し,各種支持条件に対する長柱のEulerの 座屈荷重を計算することができる.(定期試験)
(9)演習および課題を通して学んだ内容を理解することができる.(課題)
概要:
(授業の概要)
構造力学は土木構造物の静力学的特性を把握し,合理的かつ経済的に設計・建設するための基礎となる学問である。この応用分野は,コンクリート構造学や橋梁工学など広範囲にわたる.本授業では,構造物の設計の基礎となる力学の考え方と計算方法(土木構造物に作用する荷重に対し,支点反力や構造物内部に生じる応力・合応力および変位・変形の計算)に関して,基礎的な知識を修得することを目的としている.なお,本科目は,アグリエンジニアリング教育及び災害レジリエントマインド教育の対応科目である.(AE科目)(RM科目)
(科目情報)
AE科目/RM科目
授業の進め方・方法:
(授業の進め方)
授業を通して基礎的な知識を修得し,教科書の例題を解説する.次に,演習として授業担当教員が独自に作成した課題や教科書の章末問題などを解くことで理解を深める.
(事前学習)
授業計画を確認し、教科書を活用して予習をしておくこと.
注意点:
(履修上の注意)
(1)原則として,1年次の建設工学基礎のノートを使用する.ALH等で質問にくる際には,教科書と授業ノートを必ず持参すること.
(2) 構造力学は土木構造物の設計にあたって欠かすことのできない重要な基礎知識であり,学んだ内容を段階的に積み重ねて習得するものである.よって,常日頃から予習・復習をすることが大切である.また,本授業では単に問題が解けることを目的としていない.各自がしっかりと考え,定義や基礎をきちんと身に付けていくことを期待する.
(3) 授業中に疑問に思うことや分からないことがあれば質問してよい.質問は歓迎する.また,こちらからも理解を促すような質問を心掛けるので,間違いを気にせずに自分の考えを答えること.必要に応じてクラス全員で議論し,理解を深めていくことを期待する.
(4)演習では電卓を用いることがあるため,準備しておくこと.
(5)BYODを認めるので,理解度を高めるために各自の端末を積極的に活用すること.
(自学上の注意)
(1)授業前に予習をし,授業後には十分な復習に努めること.特に,授業内容はノートに纏めて要点を整理しておくこと.
(2)与えられた課題を通じて理解度を深めること.
(3)わからないときは,ALHなどを利用して質問にくるなどの工夫をすること.
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス
第1章 構造力学って何ですか?(建設工学基礎の復習) |
(1)前期の授業計画と評価方法を理解できる. (2)教科書第1章の内容を理解することができる.
|
2週 |
第2章 静力学から構造力学へ(建設工学基礎の復習) |
(1)第2章の内容を理解することができる. (2)分布荷重の合力の三要素を計算することができる.
|
3週 |
第3章 構造物を作るために必要なこと 支点と支点反力(3.1, 3.2) 構造物の安定・不安定および静定・不静定(3.3, 3.4) 構造物の分類(3.5) |
(1)支点と支点反力を理解することができる. (2)構造物の外的な安定・不安定および静定・不静定を理解することができる. (3)構造物の支え方および連結の仕方と構造物の関係を理解することができる.
|
4週 |
構造物を支える力の求め方(3.6) |
(1)静定ばりの支点反力を計算することができる. (2)演習を通して(1)の基礎を習得することができる.
|
5週 |
構造物の中にはたらく力の求め方(3.7) |
(1)静定ばりの着目断面に生じる断面力を計算することができる. (2)演習を通して(1)の基礎を習得することができる.
|
6週 |
構造物の内部にはたらく力を求めて図化(可視化)する方法 |
(1)静定ばりの断面力図を描くことができる. (2)演習を通して(1)の基礎を習得することができる.
|
7週 |
断面力の変化を表す図の性質(4.4) 荷重と構造物の内部にはたらく力との関係(4.5)
|
(1)断面力の変化を表す図の性質を理解することができる. (2)はりのつり合いの微分方程式を理解できることが望ましい.
|
8週 |
前期中間試験 ※ 1回補講が必要 ※ 前期中間試験が9週に実施される年度も試験範囲は1週から7週までの内容 |
これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. 目的・到達目標(1)
|
2ndQ |
9週 |
前期中間試験の解説
剛節構造(ラーメン) 剛節骨組構造の支点反力 |
分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.
(1)剛節構造(ラーメン)を理解することができ,その特徴を説明することができる. (2)静定なラーメンおよび一般的な剛節骨組構造物の支点反力を計算することができる.
|
10週 |
ラーメンの断面力図
|
(1)静定ラーメンの断面力を計算することができ,その断面力図を描くことができる. (2)演習を通して(1)の基礎を習得することができる.
|
11週 |
一般的な剛節骨組構造物の断面力図 |
(1)一般的な剛節骨組構造物の断面力を計算することができ,その断面力図を描くことができる. (2)演習を通して(1)の基礎を習得することができる.
|
12週 |
第5章 鉄橋にはたらく力を求める トラス(5.1) トラスの支点反力(5.2) 棒のつり合いの微分方程式 節点法によるトラスの部材力の計算(5.2) |
(1)滑節構造(トラス)を理解することができ,その特徴を説明することができる. (2)滑節構造と剛節構造(ラーメン)との相違を理解することができる. (3)トラスの支点反力を計算することができる. (4)棒のつり合いの微分方程式を理解できることが望ましい. (5)節点法を用いて静定トラスの部材力を計算することができる.
|
13週 |
断面法によるトラスの部材力の計算(5.2) |
(1)断面法を用いて静定トラスの部材力を計算することができる. (2)演習を通して静定トラスの支点反力の計算,節点法と断面法による部材力の計算の基礎を習得することができる.
|
14週 |
トラスの内的な安定・不安定および静定・不静定(5.3, 5.4)
第9章 影響線って何ですか?(9.1~9.2) |
(1)トラスの内的な安定・不安定を理解することができる. (2)トラスの内的な静定・不静定を理解することができる.
(1)影響線と断面力図の相違を理解することができる.
|
15週 |
第9章 影響線って何ですか?(9.3~9.4) |
(1)単純ばりの支点反力と断面力の影響線を描くことができる. (2)影響線を用いて与えられた荷重に対する単純ばりの支点反力と断面力を計算できる. (3)片持ばりの影響線や間接荷重の影響線も描けることが望ましい.
|
16週 |
前期期末試験 ※ 前期中間試験が9週に実施される年度も試験範囲は9週から15週までの内容
前期期末試験の解説 |
これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. 目的・到達目標(2),(3)
分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
断面の形の幾何学的性質(7.3) 断面積,断面一次モーメントと図心点 |
(1)断面諸量とは何かを理解することができる. (2)断面一次モーメントの定義と断面の図心点を理解することができる. (3)与えられた断面の任意の軸に回りの断面一次モーメントを計算することができる. (4)与えられた断面の図心点の座標を計算することができる. (5)演習を通して(3),(4)の基礎を習得することができる.
|
2週 |
断面二次モーメント 組み合わせ断面の図心軸まわりの断面二次モーメント |
(1)断面二次モーメントの定義を理解することができる. (2)与えられた断面の任意の軸まわりの断面二次モーメントを計算することができる. (3)与えられた断面の図心点を通る軸まわりの断面二次モーメントを計算することができる. (4)演習を通して(2),(3)の基礎を習得することができる.
|
3週 |
第6章 構造材料の力学的性質を知ろう 構造材料とその内部の組織構造(6.1) 弾性と塑性(6.2) 垂直応力とせん断応力(6.3) 垂直ひずみとせん断ひずみ(6.3) |
(1)構造材料とその内部の組織構造を理解できることが望ましい. (2)弾性と塑性の相違を理解することができる. (3)垂直応力とせん断応力を理解することができ,これらを計算することができる. (4)垂直ひずみとせん断ひずみを理解することができ,これらを計算することができる. (5)演習を通して(3),(4)の基礎を習得することができる.
|
4週 |
応力とひずみのHookeの法則と弾性係数(6.4) ポアソン効果とポアソン比(6.4) 応力-ひずみ図(6.5) |
(1)応力とひずみのHookeの法則を理解することができる. (2)弾性係数とポアソン比を理解することができる. (3)軟鋼の応力-ひずみ図を理解することができ,図の特徴的な点の名称とその意味を説明することができる. (4)軟鋼の応力-ひずみ図とコンクリートのそれとの相違を理解できることが望ましい.
|
5週 |
棒の引張問題 異種材料が直列された棒の引張問題 異種材料が並列された棒の引張問題
|
(1)真直ぐな棒の引張問題の支配方程式と境界条件式を理解できることが望ましい. (2)与えられた軸荷重に対する棒の変位を計算することができる. (3)異種材料が直列された棒の引張問題を解くことができる. (4)異種材料が並列された棒の引張問題も解けることが望ましい. (5)演習を通して(2),(3)の基礎を習得することができる.
|
6週 |
第7章 はりの内部にはたらく力の状態を知ろう はりの曲げ変形(7.1) 曲げにより生じる垂直応力(7.2) |
(1)はりの曲げ変形を理解することができる. (2)曲げ変形を生じさせている内力を理解することができる. (3)平面保持の仮定,Bernoulli-Eulerの仮定および断面形状不変の仮定に従うはりの曲げ変形を理解できることが望ましい. (4)はりの曲げ変形と中立軸および中立面の関係を理解することができる.
|
7週 |
静定はりの断面に生じる垂直応力(曲げ応力)分布 断面係数 |
(1)静定ばりの断面に生じる垂直応力分布を描き,最大の圧縮応力および引張応力を計算することができる. (2)断面係数を理解することができ,これを計算することができる. (3)演習を通して(1),(2)の基礎を習得することができる.
|
8週 |
第7章 はりの内部にはたらく力の状態を知ろう 曲げによって生じるせん断変形とせん断応力(7.4, 7.5) 静定はりの断面に生じるせん断応力分布(7.6, 7.7) |
(1)曲げによって生じるはりのせん断変形とせん断応力を理解することができる. (2)静定ばりの断面に生じるせん断応力分布を描き,最大のせん断応力を計算することができる. (3)はりを平面的に見たときの主応力分布も理解できることが望ましい. (4)演習を通して(2)の基礎を習得することができる.
|
4thQ |
9週 |
後期中間試験 ※ 1回補講が必要 |
これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. 目的・到達目標(5),(6)
|
10週 |
後期中間試験の解説
第8章 はりがたわみすぎると恐い はりのたわみ曲線の微分方程式とはりの支配方程式(8.1~8.2) はりの境界点での幾何学的境界条件と力学的境界条件(8.1~8.2) 静定はりのたわみ曲線の求め方(8.3, 8.4) |
分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.
(1)はりのたわみ曲線を理解することができる.また,たわみ曲線とたわみ角の関係も理解することができる. (2)はりのたわみ曲線の微分方程式と変位境界条件を理解することができる. (3)はりの支配方程式と応力境界条件を理解することができる. (4)はりのたわみ曲線の微分方程式の一般解を求めることができる. (5)等分布荷重を受ける単純ばりと片持ばりのたわみ曲線を求め,これを用いてはりのたわみとたわみ角を計算することができる. (6)連続条件も理解できることが望ましい. (7)演習を通して(5)の基礎を習得することができる.
|
11週 |
第8章 はりがたわみすぎると恐い Mohrの定理と共役ばり(8.5) 弾性荷重法と共役ばり(8.6) ・弾性荷重法による集中荷重または集中モーメントが作用する静定ばりのたわみとたわみ角の求め方 |
(1)Mohrの定理と共役ばりを理解することができる. (2)弾性荷重法を用いて集中荷重および集中モーメントが作用する静定ばりのたわみとたわみ角を計算することができる. (3)演習を通して(2)の基礎を習得することができる.
|
12週 |
(11週の続き) ・弾性荷重法による集中荷重または集中モーメントが作用する変断面を有する静定ばりのたわみとたわみ角の求め方 ・弾性荷重法による分布荷重を受ける静定ばりのたわみとたわみ角の求め方 |
(1)弾性荷重法を用いて集中荷重および集中モーメントが作用する変断面静定ばりのたわみとたわみ角を計算することができる. (2)弾性荷重法を用いて分布荷重が作用する静定ばりのたわみとたわみ角を計算できることが望ましい. (3)演習を通して(1),(2)の基礎を習得することができる.
|
13週 |
第10章 圧縮部材にご用心! 長柱の座屈(10.1~10.3) |
(1)短柱と長柱の相違を理解することができる. (2)長柱の座屈を理解することができる. (3)両端ヒンジ支持された長柱のEulerの座屈荷重と座屈モードを理解することができる.
|
14週 |
第10章 圧縮部材にご用心! 長柱の座屈(10.4~10.5) |
(1)断面二次半径,細長比、座屈応力、有効座屈長と座屈係数を理解することができる. (2)各種支持条件を有する長柱のEulerの座屈荷重と座屈応力,細長比を計算することができる. (3)偏心圧縮荷重を受ける長柱の座屈についても理解できることが望ましい. (4)演習を通して(2)の基礎を習得することができる.
|
15週 |
第10章 圧縮部材にご用心! 短柱の垂直応力と核点(10.6) |
(1)偏心軸圧縮力を受ける短柱の垂直応力と核点を理解することができる.
|
16週 |
後期期末試験
後期末試験の解説 |
これまでの授業の理解度を確認するために,試験を実施する. 目的・到達目標(6),(7),(8)
分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | 後1 |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 4 | 後2,後7,後14 |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 4 | 前3,前4,前5,前6,前7 |
トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。 | 4 | 前12,前13 |
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。 | 4 | 前12,前13 |
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | 前14,前15 |
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | 前14,前15 |
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。 | 4 | 前9,前10,前11 |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 4 | 後3,後4,後5,後6,後7,後9 |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 4 | 後3,後4,後5,後6,後7,後9 |
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。 | 4 | 後10,後11,後12 |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 4 | 後13,後14,後15 |