応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 R06C411 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 都市・環境工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (教科書)原康夫,「第5版物理学基礎」,学術図書
(参考図書)永田一清, 「基礎 物理学演習I」, サイエンス社
担当教員 倉持 凜人

到達目標

(1)微分を用いて記述されたニュートンの運動方程式を理解し,微分方程式の知識を用いて運動方程式を解くことで, 力学の典型的で簡単な問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(2)運動方程式から種々の保存則を導くことができ,保存則を利用して簡単な問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(3)慣性モーメントを求めることができ, 剛体に対して並進運動の運動方程式と回転運動の運動方程式を理解し,簡単な問題を解くことができる.(定期試験・課題)
(4)時間の遅れ・ローレンツ収縮・4元運動量など特殊相対性理論の基礎を理解し,簡単な問題が解ける.(定期試験・課題)
(5)光の粒子性や物質の波動性など初期量子論の基礎を理解し,簡単な問題が解ける.(定期試験・課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標(1)の評価指標運動方程式を理解し, 単振動や速度に比例した抵抗力がある運動について微分を用いたニュートンの運動方程式を立てて解くことができる.自由落下や斜方投射のような一定の力が働く基本的な運動について,運動方程式を立てて解くことができる.運動方程式を立式することができず,基本的な運動について,運動方程式を解くことができない.
到達目標(2)の評価指標運動方程式から保存則を導くことができ,保存則を利用して問題を解くことができる.運動方程式から保存則を導くことができ, 種々の保存則を利用して簡単な問題を解くことができる.運動方程式から保存則を導くことができず, 種々の保存則を利用して問題を解くことができない.
到達目標(3)の評価指標円筒や球殻など,様々な形の剛体について慣性モーメントを求めることができ,並進の運動方程式と回転の運動方程式を立てて解くことができる.円板や球の方な基本的な物体に対して慣性モーメントを求めることができ,並進の運動方程式と回転の運動方程式を立てることができる.基本的な物体に対して慣性モーメントを求めることができず,並進の運動方程式と回転の運動方程式を立てて解くことができない.
到達目標(4)の評価指標時間の遅れ・ローレンツ収縮・4元運動量など特殊相対性理論の基礎を理解することができ, 問題を解くことが出来る.時間の遅れ・ローレンツ収縮・4元運動量など特殊相対性理論の基礎に関する簡単な問題を解くことが出来る.時間の遅れ,ローレンツ収縮,4元運動量について理解できない.
到達目標(5)の評価指標ニュートン力学の適用限界を理解し,光電効果や,ド・ブロイの物質波についての初期量子論の問題を解くことができる.光の粒子性・波動性および物質の 粒子性・波動性に関する初期量子論の簡単な計算問題が解ける.光の粒子性・波動性および物質の粒子性・波動性を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B1) 説明 閉じる
JABEE 1.2(c) 説明 閉じる
JABEE 1.2(g) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
微分を用いたニュートンの運動方程式について学び,微分を用いた質点の運動方程式を立て, 解くことについて学習する.また, そこから導かれる力学的エネルギー保存則など,種々の保存則について学ぶ.さらに,大きさを無視した質点の運動方程式だけではなく, 大きさをもつ剛体について,“回転のしにくさ”を表す概念である“慣性モーメント”を学び,並進運動と回転運動の運動方程式について学習する.最後に,現代物理学の基礎である特殊相対性理論や初期量子論についても概要を学ぶ.
授業の進め方・方法:
教科書を中心教材として,板書による授業を行う. 空気抵抗のある物体の投げ上げ運動や,単振り子などの単振動など基本的な運動について実際に微分を用いた質点の運動方程式を立て解くことを実践し,解法を解説する.後半では剛体の運動について学習し,積分を用いた慣性モーメントの計算などを身につける.
教科書だけではどうしても理解が深まらないので,毎週出題される課題を利用して適宜演習を行い,自ら解析し問題を解く力を養う.
(事前学習)
教科書・問題集を読み, 予習してくることを前提として講義を進める. シラバスを参考に予習をしっかり行うこと.
注意点:
(履修上の注意)
かなり高度な内容を含むため,講義中でもわからないことが出てきたらすぐに質問して,参考書なども使い解決すること.メールでの質問も受け付けるため,必ず復習し, わからないところは分かるまで粘ること.微積分学が必須となるので,これらの科目を復習すること.
(自学上の注意)
レポートは前日に適当に解くのではなく,必ず時間をかけて挑むこと.わからないところはメールを活用し,随時質問して解消をすること.

評価

(総合評価)
総合評価=(定期試験の平均点)×0.70+(レポート課題の平均点)×0.30
(単位修得の条件について)
総合評価が60 点以上を合格とする.
また、全課題60%以上の提出を単位修得の条件とする.
(再試験について)
再試験は,年度末の再試験期間に1回のみ実施する.受験資格者は、課題が全て提出済みであり、総合点が50点以上60点未満の者とする。また、再試を受ける場合は全ての定期試験を自分で解きなおし,課題の見直しをすることも条件とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 質点と座標系 質点と座標系について理解できる.
2週 変位・速度・加速度 質点の変位に微分を用いて,速度・加速度を定義することを理解できる.
3週 ニュートンの運動の法則と運動方程式 ニュートンの運動の三法則を学び,微分を用いたニュートンの運動方程式を理解できる.
4週 力と運動(1) 自由落下や斜方投射,斜面を滑る拘束系の運動など,一定の力が働いている時の質点について,ニュートンの運動方程式を立てて解くことができる.
5週 力と運動(2) 空気抵抗がある場合の質点の運動について,ニュートンの運動方程式を立てて,解くことができる.
6週 単振動(1) 調和振動子(ばねの運動)や単振り子について運動方程式を立てて,解くことができる.
7週 単振動(2) 調和振動子(ばねの運動)や単振り子について運動方程式を立てて,解くことができる.摩擦や空気抵抗のある場合に単振動の運動方程式を立てて解くことができる.
8週 仕事と運動エネルギー 仕事と力の関係を理解できる. 運動エネルギーについて理解し,仕事と運動エネルギーの変化の関係を導くことができる.(MCC II-A)
2ndQ
9週 前期中間試験 到達目標(1)
10週 前期中間試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.
11週 保存力と位置エネルギー 位置エネルギーの定義と保存力ついて,理解できる.(MCC II-A)
12週 力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存則を理解し,ニュートンの運動方程式から導くことができる.
13週 運動量と力積 運動量と力積の関係について理解できる.
14週 運動量保存則 運動量保存則を理解し,ニュートンの運動方程式から導くことができる.
15週 前期期末試験 到達目標(2)
16週 前期期末試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.
後期
3rdQ
1週 力のモーメントと角運動量 力のモーメントと角運動量の定義を,外積を用いて理解できる.(MCC Ⅱ-A)
2週 回転運動の方程式と角運動量保存則 質点の回転は,回転の運動方程式を使って記述できることを理解し, 中心力のみが働く場合には角運動量保存則が成り立つことを理解できる. 角運動量の保存について具体的な例を挙げて説明できる.
3週 質点系・剛体の重心の運動 質点系と剛体における重心を理解でき,重心の運動方程式を導くことができる.
4週 質点系・剛体の角運動量と回転運動の方程式 質点系と剛体における角運動量を理解でき,回転の運動方程式を導くことができる.
5週 慣性モーメント(1) 慣性モーメントという概念について理解できる.
6週 慣性モーメント(2) 様々な形態の物体について慣性モーメントを計算することができる.
7週 剛体のつり合い 剛体について,剛体が静止するための条件を理解することができる.
8週 慣性モーメントを用いた剛体の回転運動 物体の回転運動の運動方程式と,重心の並進運動の運動方程式を理解し,斜面を滑らずに転がる球などの運動方程式を解くことができる.
4thQ
9週 後期中間試験 到達目標(3)
10週 後期中間試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.
11週 時間の遅れとローレンツ収縮 慣性系によって,時間の進み方や物の長さの測定値が異なることを理解できる.
12週 ローレンツ変換と4元運動量 慣性系同士をつなぐローレンツ変換について理解できる.エネルギーと運動量が4次元ベクトルとして統一されることを理解できる.
13週 光の粒子性 光電効果などに見られる光の粒子性について理解できる.
14週 物質の波動性 物質波に現れる物質の波動性について理解できる.
15週 後期期末試験 到達目標(4)
到達目標(5)
16週 後期期末試験の解答と解説 わからなかった部分を把握し,理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理物理物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前1,前2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前3,前4,前5,前6,前7
力のモーメントを求めることができる。3後1,後2,後4,後7,後8
角運動量を求めることができる。3後1,後2,後4,後7,後8
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3後2,後4
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3後7
重心に関する計算ができる。3後3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後5,後6,後8
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後7,後8

評価割合

定期試験レポート課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力7030100
専門的能力000
分野横断的能力000