到達目標
現代数学において,もはや多様体なしでは語れない研究対象があふれかえる中,この講義ではもう少し対象を単純なもの,つまり曲線や曲面に限定し,それらをベースに微分幾何学を展開する.
微分幾何学を理解することを目標とするが,Gauss‐Bonnet の定理など,美しく深みのある定理などを具体的に探究できることが望ましい.数学的背景を理解し,問題意識を身に着けることができるとなおよい.具体的な目的・到達目標は以下の(1)~(4)とする:
(1)曲線の概念が理解でき定義方程式から形を想像できること.(定期試験・課題)
(2)空間内の曲面の小域的概念が理解できる.(定期試験・課題)
(3)物理的にも幾何学的にも重要な三つの概念であるベクトル場の勾配,発散,回転について理解できること.(定式試験・課題)
(4)曲面上の微分幾何が理解できる.(定期試験・課題)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
目的・到達目標(1)の評価指標 | 曲線の概念が理解でき定義方程式から形を想像できること. | 曲線の概念が理解できること. | 曲線の概念が理解できない. |
目的・到達目標(2)の評価指標 | 空間内の曲面の小域的概念が理解できる. | 空間内の曲面の概念が理解できる. | 空間内の曲面の概念が理解できるない. |
目的・到達目標(3)の評価指標 | 物理的にも幾何学的にも重要な三つの概念であるベクトル場の勾配,発散,回転について理解できること. | 物理的にも幾何学的にも重要な概念であるベクトル場の勾配について理解できている. | 物理的にも幾何学的にも重要な三つの概念であるベクトル場の勾配,発散,回転について理解できていない. |
目的・到達目標(4)の評価指標 | 曲面上の微分幾何が理解できる. | 曲面上のRiemann計量,構造方程式,測地線等が理解できる. | 曲面上のRiemann計量が理解できない. |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育目標 (B1)
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JABEE 1.2(c)
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JABEE 1.2(g)
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教育方法等
概要:
この講義は,簡単な微分積分と2次元,3次元の行列を学んできた学生,つまり難解な数学をまだ勉強していない,触れたことがない,これからしたいという者に向ける入門的な講義である.ただし専門的な内容であることを書き添える.
多様体なしでは現代数学はもはや語れないのが実際ではあるが,話をもう少し単純な対象つまり曲線や曲面に限定して(これらを例として)その構造の美しさを読み解く訓練をすることが目標である.数学が美しく深みのある対象であると感じる,味わってみたいという学生に受講を勧める.大学院へ進学する者も歓迎する.テキスト「曲線と曲面の微分幾何」小林昭七著 は名著であり,一読の価値はある.(隣に中内氏著,「幾何学は微分しないと」を携えることが望ましい.)
(科目情報)
教育プログラム第3学年 ◯科目
授業の進め方・方法:
基本的にはテキストに沿って講義を進める.参考図書を携えることが望ましい.講義中に問題を当てられた者は次回黒板に板書すること.
黒板を用いた対面授業の手法をとる.空間曲線,平面曲線,ベクトル値関数の積分を学ぶことで,力学や物理への応用例も身につける.
(事前学習)
シラバスを参照し,教科書の該当ページを熟読して予習を行うこと.
注意点:
(履修上の注意)
予習・復習の習慣をつけること.特に復習に力を入れること.指名された問題は,次回の授業の前に解答を板書しておくこと.指名された問題は,次回の授業の前に解答を板書しておくこと.
(自学上の注意)
予習・復習をしておくこと. 特に復習に時間を十分かけること.
評価
(総合評価)
総合評価=(定期試験)×60%+(レポート)×40%
総合評価は 試験60% +レポート40% により行う.
(単位修得の条件について)
総合評価60点以上を合格とする.
(再試験について)
再試験は実施しない.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
曲線の概念 |
関数のグラフとしての曲線,逆関数等,曲線の定義の基本的な概念が理解できる.
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2週 |
平面上の曲線 |
平面曲線,平面曲線に関する大域的結果が理解できる.
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3週 |
空間内の曲線 |
空間曲線,空間曲線に関する大域的結果が理解できる.
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4週 |
空間内の曲面の小域的理論Ⅰ |
空間内の曲面の概念,基本形式と曲率が理解できる.
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5週 |
空間内の曲面の小域的理論Ⅱ |
実例について基本形式,曲率の計算ができる.正規直交標講を使い方が理解できる.
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6週 |
空間内の曲面の小域的理論Ⅲ |
2変数の外微分形式が理解できる.外微分形式を使い方が理解できる.
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7週 |
曲面上の幾何Ⅰ |
曲面上のRiemann計量,曲面の構造方程式が理解できる.
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8週 |
曲面上の幾何Ⅱ |
ベクトル場,共変微分と平行移動が理解できる.
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2ndQ |
9週 |
曲面上の幾何Ⅲ |
測地線,局所最短線としての測地線をとらえることができる.
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10週 |
Gauss‐Bonnet の定理Ⅰ |
平均曲率と極小曲面,極小曲面の例について理解できる.
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11週 |
Gauss‐Bonnet の定理Ⅱ |
等温座標系,Weierstrass-Enneper の表現が理解できる.
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12週 |
Gauss‐Bonnet の定理Ⅲ |
随伴極小曲面について理解できる.
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13週 |
Gauss‐Bonnet の定理Ⅳ |
極小曲面の曲率について理解できる.
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14週 |
Gauss‐Bonnet の定理Ⅴ |
Gaussの球面表示について理解できる.
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15週 |
前期末試験
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上記の問題について試験を行う. 目的・到達目標(1)(2)(3)(4)の 評価指標.
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16週 |
前期末試験の解答と解説 |
試験で理解度を測り,誤った点を復習する.
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 40 | 100 |
基礎的能力 | 60 | 40 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |