非線形解析学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 非線形解析学
科目番号 30AMC206 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科機械・環境システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 平山修,「Excelで試す非線形力学」,コロナ社/ 参考図書:合原一幸,「カオスセミナー」,海文堂
担当教員 軽部 周

到達目標

(1) 非線形系に特有の現象(引き込み現象,周期倍分岐,カオスなど)を理解する.(定期試験)
(2) 離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解する.(定期試験)
(3) 計算機実験により,非線形系に生じる定常振動とその特徴をシミュレートできる.(課題)
(4) 振動データから系の性質を調べるための,各種の時系列解析手法について理解する.(定期試験と課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1非線形系に特有の現象を理解し,その特性について説明できる.非線形系に特有の現象を理解できる.非線形系に特有の現象の理解ができない.
評価項目2離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解し,実システムに応用できる.離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解できる.離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解できない.
評価項目3計算機実験により,非線形系に生じる定常振動とその特徴をシミュレートし,実システムとの比較および動的設計ができる.計算機実験により,非線形系に生じる定常現象とその特徴をシミュレートできる.計算機実験により,非線形系に生じる定常現象とその特徴をシミュレートできない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (E1) 説明 閉じる
JABEE 1(2)(d)(1) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本学5年までの機械力学Ⅰ,Ⅱでは,主に線形系について学習した.しかし実在の機械系には非線形性が存在し,カオス的挙動など予想困難な応答をする場合がある.本教科では,数値計算を利用して非線形系に生じる現象を計算機実験を通して学習し,更にそれらの現象の可視化・特徴抽出を行うための時系列解析手法について学ぶ.
授業の進め方・方法:
まず離散力学系(ロジスティック差分式)をエクセルで解くことで,カオスについての理解を深める.次に分岐図の作成,連続系(Duffing系)の数値シミュレーションをする準備として,Linuxの使い方を学ぶ.途中,素数ゼミのシミュレーションを素材に発表・討論を行う.最後に,連続系について数値シミュレーションを併用しながら学修する.カオスの工学的応用例については随時説明するが,不足の場合,試験解説時に追加説明をし,非線形解析の重要性を示す.
注意点:
講義の途中でも質問して良いこととする.
数値シミュレーション結果をレポート課題とする.討論もレポート課題に含む.
再試験は,総合評価30点以上60点未満で,課題を全て提出した者に対して実施する.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 線形系と非線形系
カオス概論
非線形系について説明することができる.
カオス的挙動の特徴および例を説明することができる.
2週 人口増加モデルから蛾の発生モデルへ 連続系,離散系を説明することができる.
ロジスティック差分式を導出することができる.
3週 ロジスティック差分式の挙動 ロジスティック差分式の挙動をエクセルでシミュレートすることができる.
4週 リターンマップ リターンマップについて理解することができる.
リターンマップの形状とロジスティック差分式の関係について説明することができる.
5週 LinuxとC言語による数値シミュレーション入門 UNIXシステムを操作(CUI)することができる.
C言語のプログラムをコンパイルし,実行することができる.
6週 ロジスティック差分式の分岐図と周期倍分岐 ロジスティック差分式の分岐図をC言語で描くことができる.
周期倍分岐について説明することができる.
7週 分岐図の観察 ファイゲンバウム普遍定数について説明することができる.
フラクタル構造について説明することができる.
8週 素数ゼミの謎(シミュレーション) 素数ゼミのモデルについて理解することができる.
エクセルでプログラムを組むことができる.
2ndQ
9週 素数ゼミの謎(発表・討論) 素数ゼミが生き残る条件について,自己のシミュレーション結果を踏まえ発表・討論することができる.
10週 連続系のカオス:Duffing系 Duffing系の運動方程式について説明できる.
運動方程式をベクトル形式に変形することができる.
11週 数値積分法と数値シミュレーション 4次のRKG法について説明することができる.
Duffing系の位相面軌道をC言語でシミュレートすることができる.
12週 ポアンカレ写像と分岐図 ポアンカレ写像の導出法について説明することができる.
Duffing系のポアンカレ写像と分岐図の関係について説明することができる.
13週 リアプノフ指数 局所的拡大率,最大リアプノフ指数について説明することができる.
最大リアプノフ指数を導出することができる.
14週 パワースペクトル解析 FFT,パワースペクトルについて説明することができる.
周期軌道,カオス的挙動におけるパワースペクトル形状の違いについて数値シミュレーションの結果を用い説明することができる.
15週 前期期末試験
16週 前期期末試験の解答と解説 カオスの工学的応用例について理解することができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合703000000100
基礎的能力20100000030
専門的能力50200000070
分野横断的能力00000000