到達目標
(1) 物体に作用する荷重に対する物体の変形を理解できる.(課題)
(2) 応力とひずみの定義を理解できる.(課題)
(3) 弾性体の基礎方程式(応力のつり合い方程式,変位ーひずみの関係式,構成方程式およびLameの方程式)と境界条件(応力の境界条件,変位の境界条件)を理解できる.(定期試験・課題)
(4) 三次元弾性問題から一次元弾性問題(棒の単純引張問題)を導出することができ,これを閉じた形式で解くことができる.(定期試験・課題)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
物体に作用する荷重と,これに対する物体の変形についての理解 | 物体に作用する荷重に対する物体の変形を理解できる. | 物体に作用する荷重は理解できるが,これ対する物体の変形を理解できない. | 物体に作用する荷重に対する物体の変形を理解できない. |
応力とひずみの定義についての理解 | 応力とひずみの定義を理解でき,基本的な問題を解くことができる. | 応力とひずみの定義を理解できる. | 応力とひずみの定義を理解できない. |
弾性体の基礎方程式と境界条件についての理解 | 弾性体の基礎方程式とLameの方程式,および境界条件を理解できる. | 弾性体の基礎方程式とLameの方程式は理解できるが,境界条件を理解できない. | 弾性体の基礎方程式と境界条件を理解できない. |
三次元弾性問題と一次元弾性問題との関係性についての理解 | 三次元弾性問題から一次元弾性問題を導出することができ,これの厳密解や解析解を求めることができる. | 三次元弾性問題から一次元弾性問題を導出できる. | 三次元弾性問題から一次元弾性問題を導出することができない. |
| | | |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 (E1)
説明
閉じる
JABEE 1(2)(d)(1)
説明
閉じる
JABEE 1(2)(g)
説明
閉じる
教育方法等
概要:
近年の構造物や構造材料の高機能化・高性能化に伴い,構造力学や材料力学のような巨視的な視点のみによる問題の解決が難しくなってきている.構造物を安全かつ合理的に設計するためには,さらに微視的な視点から応力とひずみなどを用いて問題を解決していくことが必要になる.また,有限要素法は,産業界における有力な問題解決手法の一つであるが,これにより得られる結果を正しく判断し,問題解決に活用するためには,応力とひずみの知識が必要になる.
本講義では,弾性学の基礎理論を修得することを目的としている.弾性問題は,連立偏微分方程式の境界値問題に帰着するため,解を得る上での問題点とその解決方法についても学ぶ.さらに,既に学んでいる構造力学・材料力学は,三次元弾性論を出発点とし,その延長線上にある高度かつ実用的な学問であることについても説明する.なお,本科目は,アグリエンジニアリング(AE)教育及び災害レジリエントマインド(RM)教育の対応科目である.
(科目情報)
教育プログラム第3学年 ○科目
授業時間 23.25時間
関連科目 材料力学Ⅰ・Ⅱ(M科),構造力学Ⅰ・Ⅱ(C科)など
授業の進め方・方法:
まず,授業を通して基礎的な知識を修得する.次に,教科担当教員が作成した演習問題や教科書の章末問題などを解くことで理解を深める.
(再試験について)
再試験は実施しない.
注意点:
(履修上の注意)
(1) 本講義は,本科で学んだ数学(偏微分,重積分,微分方程式,ベクトル解析,複素関数,Fourier解析など),物理系科目(基礎物理,解析力学など),材料力学(M科)および構造力学(C科)の基礎知識を踏まえて実施する.また,本講義では単に問題が解けることを目的とはしていないため,定義や基礎をきちんと身につけるように努めること.授業中にわからなくなったら積極的に質問すること.質問は歓迎する.また,こちらからも理解を促すような質問するように心掛けるので,間違いを気にせずに自分の考えを答えること.議論を交えながら理解を深めていくことを期待する.
(2) 授業時間外の質問も歓迎する.ALH等を利用して質問にくる際には,教科書と授業ノートを必ず持参すること.
(自学上の注意)
(1) 授業前に予習をし,授業後には十分な復習に努めること.
(2) 理解を深めるために,式の導出は各自で行うこと.
(3) 演習問題を通して理解を深めること.
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 固体力学(弾性力学)の目的 数学モデル Verification and Validation (V&V) |
(1) 授業計画と評価方法を理解する. (2) 固体力学の目的を理解する. (3) 数学モデルを理解する. (4) V&Vの概念を理解する.
|
2週 |
荷重に対する物体の変形(第1章) 応力とひずみの関係(第2章) 応力ベクトルと応力テンソル |
(1) 作用する荷重に対する物体の変形を理解できる(第1章). (2) 材料力学(M科),構造力学(C科)で学んだ応力とひずみの関係を復習する.これを理解できる(第2章).
|
3週 |
応力ベクトルと応力テンソル 三次元弾性体の応力のつり合い方程式 Cauchyの式 |
(1) 応力ベクトルを理解できる. (2) 微小直方体の各面に作用する応力成分を理解できる. (3) 三次元弾性体の応力のつり合い方程式(平衡方程式)を導出し,これを理解できる(導出は演習にて各自が行う). (4) Cauchyの式を理解できる.
|
4週 |
座標変換による応力成分の変換 主応力と主軸 |
(1) 座標変換による応力成分の変換を理解できる. (2) 主応力と主軸を理解できる.
|
5週 |
三次元弾性体の変位とひずみの関係式 ひずみの適合条件式 |
(1) 三次元弾性体の変位と垂直ひずみの関係式を理解できる. (2) 三次元弾性体の変位とせん断ひずみの関係式を理解できる. (3) ひずみの適合条件式を理解できる(導出は演習にて各自が行う).
|
6週 |
三次元弾性体の構成方程式 弾性定数 |
(1) 三次元弾性体の構成方程式を理解できる. (2) 弾性定数の意味を理解できる.
|
7週 |
Lameの方程式の導出 |
(1) Lameの方程式を導出できる(導出は演習にて各自が行う).
|
8週 |
Lameの方程式(続き) 境界条件 応力の適合条件式
|
(1) 応力の境界条件と変位の境界条件を理解できる. (2) 応力の境界条件とCauchyの式との関係を理解できる. (2) 弾性問題が三元連立偏微分方程式の境界値問題であることを理解できる. (3) 応力の適合条件式を理解できる.
|
2ndQ |
9週 |
解の唯一性 弾性問題の解析方法(厳密解,解析解) |
(1) 弾性問題の解の唯一性を理解できる. (2) 弾性問題の解析方法を理解できる. (3) 厳密解,解析解,数値解の違いを理解できる.
|
10週 |
弾性問題の解析方法(数値解) Saint-Venantの原理 |
(1) 厳密解,解析解,数値解の違いを理解できる(第8週からの続き). (2) 数値解析手法として,Rayleigh-Ritz法と有限要素法を紹介する. (3) Saint-Venantの原理を理解できる.
|
11週 |
Helmholtz分解 ポテンシャル関数 |
(1) ポテンシャル関数の概念を理解できる. (2) Helmholtz分解を紹介する. (3) Papkovich-Neuberの変位関数とGalerkinベクトルを紹介する.
|
12週 |
三次元弾性論と棒の単純引張理論 |
(1) 弾性基礎方程式にいくつかの仮定を設けることで棒の単純引張理論を導出できる.また,この仮定を理解できる. (2) 三次元弾性論と一次元理論(近似理論)との関係を理解できる.
|
13週 |
棒の単純引張問題の厳密解 |
棒の単純引張問題の厳密解を求め(演習),直線部材の引張変形挙動を数理的に理解できる.
|
14週 |
棒の単純引張問題の解析解 |
棒の単純引張問題のFourier級数解を求め,厳密解と解析解の関係を考察する(演習).
|
15週 |
前期期末試験 |
1週から14週までの授業内容の理解度を確認するために定期試験を実施する.
|
16週 |
前期期末試験の解答と解説 |
分からなかった部分を把握し,それを理解することができる.
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 0 | 20 |
専門的能力 | 50 | 30 | 80 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 |