固体力学

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 固体力学
科目番号 R02AMC112 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科機械・環境システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 教科書:園田佳臣・島田英樹,「工学基礎 固体力学」,共立出版/参考図書:Timoshenko, S.P. and Goodier, J.N., "Theory of Elasticity (THIRD EDITION)", McGraw-Hill Book Company; 石井 建樹・只野 裕一・加藤 準治・車谷 麻緒 (共著),非線形CAE協会 (編集),「例題で学ぶ連続体力学」,森北出版
担当教員 名木野 晴暢

到達目標

(1) ものづくりと固体力学・CAEの関係を理解できる.(小テスト)
(2) 弾性基礎方程式(応力のつり合い方程式,ひずみー変位の関係式,線形弾性体の構成方程式)と境界条件式(応力の境界条件式(Cauchyの式)と変位の境界条件式)を理解できる.(定期試験・課題)
(3) 弾性問題の解の唯一性を理解でき,厳密解,解析解と数値解の違いを理解できる.(定期試験)
(4) 三次元弾性問題から二次元弾性問題(平面ひずみ状態と平面応力状態)や一次元弾性問題(棒の単純引張問題)を導出することができる.(課題)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ものづくりと固体力学・CAEの関係性ものづくりと固体力学(材料力学)およびCAEとの関係を理解でき,CAEの不確かさやモデルV&Vの概念を理解できる.ものづくりと固体力学(材料力学)およびCAEとの関係を理解できる.ものづくりと固体力学(材料力学)との関係が理解できない.
弾性基礎方程式と境界条件式弾性基礎方程式と境界条件を理解でき,与えられた弾性問題の数理モデルを記述することができる.弾性基礎方程式は理解できるが,境界条件式を理解できない.弾性基礎方程式と境界条件を理解できない.
弾性問題の解の唯一性と厳密解,解析解と数値解弾性問題の唯一性を理解できる.また,弾性問題の厳密解,解析解と数値解を理解でき,CAEにおけるそれぞれの解の特徴を説明できる.弾性問題の解の唯一性を理解できる.また,厳密解と数値解(有限要素解)は理解できるが,解析解を理解できない.弾性問題の解の唯一性を理解できない.
三次元弾性問題と二次元弾性問題または一次元弾性問題との関係性三次元弾性問題から一次元弾性問題および二次元弾性門を導出できる.三次元弾性問題から一次元弾性問題を導出できる.三次元弾性問題から一次元弾性問題を導出するための仮定を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (E1) 説明 閉じる
JABEE 1(2)(d)(1) 説明 閉じる
JABEE 1(2)(g) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近年の機械・構造設計には,設計の合理化・効率化やコストダウンを狙いとしてCAE (Computer Aided Engineering) ツールが活用されるようになりつつあり,設計を担当する技術者には主に有限要素法の基礎知識が求められる.有限要素法の基礎となる力学理論の一つが固体力学である.固体力学は対象とする材料の力学的性質によって弾性力学,塑性力学や粘弾性力学などに分類されるが,専攻科では材料強度学と塑性力学の講義が開講されている.本授業では,固体力学の最も基本となる弾性体の力学の線形理論について学ぶこととする.弾性問題は連立偏微分方程式の境界値問題に帰着するため,解を得る上での問題点とその解決方法やCAEとの関係についても概説する.さらに,既に学んでいる構造力学・材料力学は三次元弾性論を出発点とし,その延長線上にある高度かつ実用的な学問であることについても説明する.なお,本科目は,アグリエンジニアリング教育及び災害レジリエントマインド教育の対応科目である.(AE科目)(RM科目)

(科目情報)
教育プログラム第3学年 ○科目
授業時間 23.25時間
AE科目/RM科目

授業の進め方・方法:
まず,授業を通して基礎的な知識を修得する.次に,教科担当教員が作成した演習問題や教科書の章末問題などを解くことで理解を深める.

(総合評価)
総合評価は,次式によって算出する.
総合評価 = (前期期末試験の点数)× 0.7 +(小テストおよび課題の平均点)× 0.3

(再試験について)
再試験は実施しない.

注意点:
(履修上の注意)
(1) 本講義は,本科で学んだ数学と物理系科目,材料力学(M科)および構造力学(C科)の基礎知識を踏まえて実施する.また,本講義では単に問題が解けることを目的とはしていないため,定義や基礎をきちんと身につけるように努めること.授業中にわからなくなったら積極的に質問すること.質問は歓迎する.また,こちらからも理解を促すような質問するように心掛けるので,間違いを気にせずに自分の考えを答えること.議論を交えながら理解を深めていくことを期待する.
(2) 授業時間外の質問も歓迎する.ALH等を利用して質問にくる際には,教科書と授業ノートを必ず持参すること.

(自学上の注意)
(1) 授業前に予習をし,授業後には十分な復習に努めること.
(2) 理解を深めるために,式の導出は各自で行うこと.
(3) 演習問題を通して理解を深めること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
数理モデルと工学シミュレーション
(1) 授業計画と評価方法を理解する.
(2) 授業で学ぶことを概説する.
(3) 数理モデルと工学シミュレーションの関係を理解することができる.
2週 ものづくりとCAE(計算力学)
Verification and Validation (V&V)
(1) ものづくりとCAE(計算力学)の関係を理解することができる.
(2) モデルV&Vの概念を理解することができる.
3週 集合(復習)
スカラとベクトル(復習)
ベクトルの和と差・ベクトルの積(復習)
場の微分
(1) 本科で学んだ数学を復習し,理解を深めることができる.
(2) 場の微分を理解することができる.
(3) 時間があれば場の積分公式についても説明する.
4週 荷重に対する物体の変形(第1章)
応力とひずみの関係(第2章)
(1) 作用する荷重に対する物体の変形を理解することができる(第1章).
(2) 材料力学(M科),構造力学(C科)で学んだ応力とひずみの関係を復習する.これを理解することができる(第2章).
5週 右手系の直交直線座標系
応力ベクトル
三次元弾性体の応力のつり合い方程式
(1) 応力ベクトルを理解することができる.
(2) 微小直方体の各面に作用する応力成分を理解することができる.
(3) 三次元弾性体の応力のつり合い方程式(平衡方程式)を導出し,これを理解することができる.
6週 点の回転と座標変換(復習)
線形空間と固有値問題(復習)
方向余弦とテンソル
Cauchyの式
主応力と主軸
(1) 線形空間と固有値問題を理解することができる.
(2) 方向余弦を理解することができる.
(3) Cauchyの式を理解することができる.
(4) 主応力と主軸を理解することができる.
7週 微小変形をする三次元弾性体の変位とひずみの関係式
ひずみの適合条件式
(1) 微小変形をする三次元弾性体の変位成分と垂直ひずみの関係式を理解することができる.
(2) 微小変形をする三次元弾性体の変位成分とせん断ひずみの関係式を理解することができる.
(3) ひずみの適合条件式を理解することができる.
8週 線形弾性体の構成方程式
等方な線形弾性体の構成方程式
弾性定数
(1) ポアソン効果を考慮したHookeの法則(一般化したHookeの法則)を理解することができる.
(2) 等方な三次元線形弾性体の構成方程式を理解することができる.
(3) 弾性定数の意味を理解することができる.
2ndQ
9週 Laméの方程式(Navierの方程式)
(1) 3つの弾性基礎方程式からLaméの方程式(Navierの方程式)を導出することができる.
10週 境界条件
応力の適合条件式
(1) 応力の境界条件と変位の境界条件を理解することができる.
(2) 弾性問題が三元連立偏微分方程式の境界値問題であることを理解できる.
(3) 応力の適合条件式を紹介する.
11週 Saint-Venantの原理
解の唯一性
弾性問題の解析方法
(1) Saint-Venantの原理を理解することができる.
(2) 弾性問題の解の唯一性を理解することができる.
(3) 弾性問題の解析方法を理解することができる.
(4) 厳密解,解析解,数値解の違いを理解することができる.
12週 三次元弾性論と二次元弾性理論 (1) 平面ひずみ状態と平面応力状態の違いを理解できる.
(2) 三次元弾性問題から二次元弾性問題(平面問題)の基礎方程式と境界条件を導出することができる.
(3) 平面問題の解法を紹介する.
13週 三次元弾性論と棒の単純引張理論
場の積分公式
(1) 弾性基礎方程式にいくつかの仮定を設けることで棒の単純引張理論の基礎方程式と境界条件を導出することができる.
(2) (1)の仮定の意味を理解することができる.
(3) 応力の平衡方程式を断面にわたって積分することでも棒の単純引張問題を導出できることを紹介する.
14週 常微分方程式の厳密解の探し方(復習)
棒の単純引張問題の厳密解
※ 令和2年度は実施しない
(1) 常微分方程式の厳密解の求め方を復習し,理解を深めることができる.
(2) 棒の単純引張問題の厳密解を求め(演習),直線棒の引張変形挙動と棒の内部に作用する垂直ひずみと軸力の分布を理解することができる.
(3) 時間があれば固有関数展開による理論解析とRayleigh-Ritz法または有限要素法による数値解析についても説明する.
※ 令和2年度は実施しない
15週 前期期末試験 1週から14週までの授業内容の理解度を確認するために定期試験を実施する.
16週 前期期末試験の解説 分からなかった部分を理解することができる.また,今後同様の問題が出題されたときは,正しい考え方に基づいて解答することができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力201030
専門的能力502070
分野横断的能力000