到達目標
(1) 非線形系に特有の現象(引き込み現象,周期倍分岐,カオスなど)を理解する.(定期試験)
(2) 離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解する.(定期試験)
(3) 計算機実験により,非線形系に生じる定常振動とその特徴をシミュレートできる.(課題)
(4) 振動データから系の性質を調べるための,各種の時系列解析手法について理解する.(定期試験と課題)
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 非線形系に特有の現象を理解し,その特性について説明できる. | 非線形系に特有の現象を理解できる. | 非線形系に特有の現象の理解ができない. |
評価項目2 | 離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解し,実システムに応用できる. | 離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解できる. | 離散力学系,連続力学系に生じる非線形現象とその解析法について理解できない. |
評価項目3 | 計算機実験により,非線形系に生じる定常振動とその特徴をシミュレートし,実システムとの比較および動的設計ができる. | 計算機実験により,非線形系に生じる定常現象とその特徴をシミュレートできる. | 計算機実験により,非線形系に生じる定常現象とその特徴をシミュレートできない. |
学科の到達目標項目との関係
当該分野において必要とされる専門的知識とそれらを応用する能力 JABEE基準1(2)(d)
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専門工学の知識を獲得する 大分高専 学習教育目標(E1)
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教育方法等
概要:
本学5年までの機械力学Ⅰ,Ⅱでは,主に線形系について学習した.しかし実在の機械系には非線形性が存在し,カオス的挙動など予想困難な応答をする場合がある.本教科では,数値計算を利用して非線形系に生じる現象を計算機実験を通して学習し,更にそれらの現象の可視化・特徴抽出を行うための時系列解析手法について学ぶ.
授業の進め方・方法:
まず離散力学系(ロジスティック差分式)をエクセルで解くことで,カオスについての理解を深める.次に分岐図の作成,連続系(Duffing系)の数値シミュレーションをする準備として,Linuxの使い方を学ぶ.途中,素数ゼミのシミュレーションを素材に発表・討論を行う.最後に,連続系について数値シミュレーションを併用しながら学修する.カオスの工学的応用例については随時説明するが,不足の場合,試験解説時に追加説明をし,非線形解析の重要性を示す.
注意点:
講義の途中でも質問して良いこととする.
数値シミュレーション結果をレポート課題とする.討論もレポート課題に含む.
再試験は,総合評価30点以上60点未満で,課題を全て提出した者に対して実施する.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
線形系と非線形系 カオス概論 |
非線形系について説明することができる. カオス的挙動の特徴および例を説明することができる.
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2週 |
人口増加モデルから蛾の発生モデルへ |
連続系,離散系を説明することができる. ロジスティック差分式を導出することができる.
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3週 |
ロジスティック差分式の挙動 |
ロジスティック差分式の挙動をエクセルでシミュレートすることができる.
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4週 |
リターンマップ |
リターンマップについて理解することができる. リターンマップの形状とロジスティック差分式の関係について説明することができる.
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5週 |
LinuxとC言語による数値シミュレーション入門 |
UNIXシステムを操作(CUI)することができる. C言語のプログラムをコンパイルし,実行することができる.
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6週 |
ロジスティック差分式の分岐図と周期倍分岐 |
ロジスティック差分式の分岐図をC言語で描くことができる. 周期倍分岐について説明することができる.
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7週 |
分岐図の観察 |
ファイゲンバウム普遍定数について説明することができる. フラクタル構造について説明することができる.
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8週 |
素数ゼミの謎(シミュレーション) |
素数ゼミのモデルについて理解することができる. エクセルでプログラムを組むことができる.
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2ndQ |
9週 |
素数ゼミの謎(発表・討論) |
素数ゼミが生き残る条件について,自己のシミュレーション結果を踏まえ発表・討論することができる.
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10週 |
連続系のカオス:Duffing系 |
Duffing系の運動方程式について説明できる. 運動方程式をベクトル形式に変形することができる.
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11週 |
数値積分法と数値シミュレーション |
4次のRKG法について説明することができる. Duffing系の位相面軌道をC言語でシミュレートすることができる.
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12週 |
ポアンカレ写像と分岐図 |
ポアンカレ写像の導出法について説明することができる. Duffing系のポアンカレ写像と分岐図の関係について説明することができる.
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13週 |
リアプノフ指数 |
局所的拡大率,最大リアプノフ指数について説明することができる. 最大リアプノフ指数を導出することができる.
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14週 |
パワースペクトル解析 |
FFT,パワースペクトルについて説明することができる. 周期軌道,カオス的挙動におけるパワースペクトル形状の違いについて数値シミュレーションの結果を用い説明することができる.
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15週 |
前期期末試験 |
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16週 |
前期期末試験の解答と解説 |
カオスの工学的応用例について理解することができる.
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 10 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 |
専門的能力 | 50 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 70 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |