電子物性

科目基礎情報

学校 大分工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 電子物性
科目番号 R04AES108 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科電気電子情報工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 (教科書)なし/(参考図書) 松澤剛雄ら「新版 電子物性」,電子情報通信学会(森北出版)
担当教員 田中 大輔

到達目標

(1) 電子の運動とエネルギーの取り扱いについて理解する.(課題/定期試験)
(2) 量子力学的に固体中の電子のふるまいを理解する.(課題/定期試験)
(3) 固体内の電子の散乱機構について学び,金属,絶縁体,半導体中の電子の運動を理解する.(課題/定期試験)
(4) 物質の磁気的,誘電的性質,光学的性質を理解する.(課題/定期試験)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
目的・到達目標(1)の評価指標電子の運動とエネルギーの取り扱いについて理解することができ,それらについての問題が解ける.電子の運動とエネルギーの取り扱いについて理解することができ,それらについての問題の一部が解ける.電子の運動とエネルギーの取り扱いについて理解することができない.
目的・到達目標(2)の評価指標量子力学的な電子の取扱い方について理解することができ,問題が解ける.量子力学的な電子の取り扱いについて理解することができ,それらについての問題の一部が解ける.量子力学的な電子のふるまいについて理解するができない.
目的・到達目標(3)の評価指標 固体内の電子の散乱機構にういて学び,金属,絶縁体,半導体中の電子の運動を理解し,問題が解ける. 固体内の電子の散乱機構について学び,金属,絶縁体,半導体中の電子の運動を理解することができ,それらについての問題の一部が解ける. 固体内の電子の散乱機構について学び,金属,絶縁体,半導体中の電子の運動を理解することができない.
目的・到達目標(4)の評価指標物質の誘電的性質,光学的性質を理解することができ,問題が解ける.物質の誘電的性質,光学的性質を理解することができ,それらについての問題の一部が解ける.物質の誘電的性質,光学的性質を理解することができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (E1) 説明 閉じる
JABEE 1.2(d)(1) 説明 閉じる
JABEE 1.2(g) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電子材料が示す種々の性質には,材料内での電子の振る舞いが大きな役割を果たしている.材料開発やデバイス設計には,材料内における電子の振る舞いを理解することが重要である.本教科では,電子状態を記述するシュレディンガー方程式,固体中の電子伝導,比熱,量子サイズ効果などについて学び,種々の電子物性を理解するための基礎知識を得る.また,誘電的,光学的な物性について電子のふるまいから理解する.
(科目情報)
教育プログラム第3学年 〇科目
授業の進め方・方法:
(講義の進め方)
配布資料と板書ベースに講義を進める.適宜,課題を設ける.
(事前学習)
前回学んだことを復習すること.ほとんどの講義後に課題を設けるので,次回の講義開始まで課題をすませ,開始時に提出すること.
注意点:
(履修上の注意)
講義は配布資料を基本に進めるため,各自ファイリングをしておくこと.また,必要事項は適宜,資料に書き込むこと.
(自学上の注意)
本科で学修した電子工学や電磁気学,電気材料について事前に復習すること.
講義までに前回の内容について復習すること.

評価

(総合評価)
総合評価=(学年末試験の評点)×0.7+(レポート課の平均点)×0.3
(再試実施条件)
総合評価が60点未満の学生に対し再試験を実施し,60点以上で合格とする.
正当な理由なく定期試験を欠席した学生,不正行為で不合格となった学生,レポート課題が未提出の学生には,再試験の受験資格を与えない.
※課題の6割以上の提出が単位取得の条件

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 電子の電荷とエネルギー 電気素量等について復習し,クーロンブロッケード現象について学ぶ.
2週 熱エネルギー 熱エネルギー,エネルギー等分配則,ボルツマン因子等について学ぶ.また,材料ごとの電気抵抗率と温度の関係について学ぶ.
3週 電子に働く力と運動 真空中の電子について考え,空間電荷制限電流等について学ぶ.併せて電子ビームの応用例について知る.
4週 結晶構造と結合 結合種と結晶構造,X線回折による構造解析について学ぶ.
5週 格子振動と格子比熱 格子振動と格子比熱について考え,デュロンプティの法則などについて学ぶ.
6週 不確定性関係とシュレディンガー方程式 不確定性関係について学ぶ.また,シュレディンガー方程式について,無限に深い井戸型ポテンシャルを例にその性質について学ぶ.
7週 演算子と期待値 演算子,期待値,自乗揺らぎ,交換関係について学ぶ.
8週 原子核に束縛された電子 水素原子モデルをもとに束縛された電子について学ぶとともに,量子力学のための基礎を身につける.
4thQ
9週 エネルギーバンド理論 自由電子モデルから出発し,クローニッヒペニーモデルについて学ぶ.
10週 同上 同上
11週 物質の誘電的性質 局所電界の概念から分極機構を理解し,周波数依存性を考察する.
12週 物質の光学的性質 光子の性質,光の放出と吸収の過程を理解し,エレクトロルミネセンス等の原理を理解する.非線形光学やプラズモニクスについて学ぶ.
13週 同上 同上
14週 固体の量子効果(超電導,量子ドット) 超電導材料や量子ドットなど,量子効果を利用した材料について学ぶ.
15週 期末試験
16週 期末試験の解答と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力000
専門的能力7030100
分野横断的能力000