高電圧工学

科目基礎情報

学校 都城工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 高電圧工学
科目番号 0037 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 日高邦彦:「高電圧工学」,新・電気システム工学,数理工学社
担当教員 林 則行

到達目標

1.放電現象の基礎過程を説明や簡単な計算ができる。
2.気体/液体/固体/複合誘電体中における放電現象の説明や簡単な計算ができる。
3.高電圧・大電流の発生方法や測定方法の説明や簡単な計算ができる。
4.線路上のサージの伝搬の説明や簡単な計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1右記に加えて,原子や分子の励起や電離,電子付着などの放電現象の基礎過程について,簡単な計算や説明ができる。簡単な電極系における電界の計算や説明ができる。さらに,気体原子や分子の運動や速度,電界中の電子の運動や速度,粒子との衝突について,簡単な計算や説明ができる。左記が不十分である。
評価項目2右記に加えて,液体,固体,複合誘電体中における放電現象を説明できる。気体中における放電現象について,簡単な計算や説明ができる。左記が不十分である。
評価項目3右記に加えて,インパルス電圧や電流の発生方法・測定方法について,簡単な計算や説明ができる。直流や交流の高電圧や大電流の発生方法・計測方法について,簡単な計算や説明ができる。左記が不十分である。
評価項目4線路上のサージの伝搬について,インピーダンス整合の必要性が理解でき,さらに分岐線路など複雑な回路の計算や説明ができる。線路上のサージの伝搬について,開放端などの簡単な計算や説明ができる。左記が不十分である。

学科の到達目標項目との関係

JABEE (c) 説明 閉じる
JABEE (d) 説明 閉じる
JABEE B2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
高電圧技術は,電力システムや人工衛星の太陽電池の機器・設備や線路の電気絶縁,環境改善や光源に使われるプラズマの発生,廃棄物処理や金属加工に使われる高温ガスの発生,エックス線の発生など,様々な産業分野で応用されている工学技術である。
 この授業では,高電圧技術に関する専門技術と実践能力を身に付けるために必要となる高電界,放電の基礎過程,気体・液体・固体・複合誘電体中の放電現象,高電圧・大電流の発生方法,高電圧・大電流の計測方法,パルス伝搬,そして高電圧機器・設備に関する基礎知識の習得を目的とする。
 上記目的を達成するために,授業方法は次のとおりとする。
・本シラバスで提示した教科書に沿って講義を行う。
・教科書を補足するスライド,映像,資料などを用いて,講義内容の理解を助ける。
・練習問題を解くことで,講義内容の理解を助ける。
・必要に応じ小テストやレポート課題を課し、自己学習能力の育成を図る。
・期末試験だけでなく前後期ともに中間試験を実施し、学生の理解度を知るとともに,学生に達成状況を自覚させる。
授業の進め方・方法:
【履修上の注意】
1.遅刻や欠席をしないこと。
2.授業には指定した教科書や関数電卓を持参すること。
3.レポートはA4のレポート用紙を使い,表紙を付けて,指定した日時までに提出すること。
4.事前・事後学修として予習・復習,レポート作成,試験勉強などを行うこと。
【準備学習・自己学習】
1.電磁気,電気回路,電気機械,数学および物理学を理解しておくこと。
2.自己学習として,電磁気では電界の計算,電気回路では過渡現象の予習を行っておくこと。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業計画の説明・
1.高電圧工学の基礎・電界,電気力線,エネルギー,クーロンの法則,電界中の荷電粒子の運動,簡単な電極系の電界に関する基礎知識を習得し,高電界の基礎知識に関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
2週 1.高電圧工学の基礎・(続き)
3週 2.放電現象の基礎過程・
4週 (続き)気体/液体/固体の性質,気体原子・分子の速度,粒子の衝突,電子と粒子の衝突,励起と電離,電子付着,再結合,巨視的な粒子の運動に関する基礎知識に関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
5週 4.気体中の放電理論・
6週 (続き)空気中の電気伝導,気体中の放電理論,パッシェンの法則,電極形状と放電特性,電圧波形と放電特性に関する基礎知識を習得し,気体中の放電理論関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
7週 5.気体中の放電現象・雷放電,雷遮蔽,高周波放電,各種気体中の放電(高圧ガス,真空,負性気体,混合気体に関する基礎知識を習得し,気体中の放電現象に関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
8週 中間試験
2ndQ
9週 6.定常気体放電・
10週 気体放電の電圧ー電流特性,グロー放電の基礎と利用,アーク放電の基礎と利用に関する基礎知識を習得し,関連する説明ができるようにする。
11週 7.液体・固体中の放電・
12週 液体・固体の電気伝導,荷電粒子の発生要因,空間電荷効果,液体・固体の絶縁破壊に関する基礎知識を習得し,関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
13週 8.複合誘電体の放電・
14週 複合誘電体中の電界,三重点,沿面放電,汚損沿面フラッシュオーバ,ボイド放電,トリー,油浸絶縁,放電バリア効果に関する基礎知識を習得し,複合誘電体の放電に関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
15週 前期期末試験
16週
後期
3rdQ
1週 9.電気放電の応用・
2週 前期の内容を復習しながら,放電加工,環境改善,光源(照明用,表示用),プラズマ源,廃棄物処理,殺菌など,電気放電の応用に関する基礎知識を習得する。
3週 10.高電圧の発生・
4週 交流高電圧の発生,直流高電圧の発生,インパルス高電圧の発生,高電圧を扱う時の心得に関する基礎知識を習得し,高電圧の発生に関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
5週 (続き)
6週 (続き)
7週 11.高電圧・電界・磁界の測定・
8週 高電圧を測定時の心得,高電圧を分圧して測定する方法,電圧を電界や光の強度に変換して測定する方法,大電流を分流して測定する方法,大電流を磁界や光の強度に変換して測定する方法に関する基礎知識を習得し,高電圧・大電流の測定に関連する簡単な計算や説明ができるようにする。
4thQ
9週 (続き)
10週 12.パルスパワーの発生・
11週 サージの伝搬,インピーダンス整合に関する基礎知識を習得し,それらに関する簡単な計算や説明ができるようにする。
12週 (続き)
13週 13.高電圧機器・
14週 がいし,ブッシング,高電圧電力ケーブル,遮断機,避雷器,ガス絶縁開閉装置など,高電圧機器に関する基礎知識を習得する。
15週 学年末試験
16週 知識の基本的な理解
思考・推論・創造への適応力
汎用的技能
態度・志向性(人間力)
総合的な学習経験と創造的思考力

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

定期試験小テストレポート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合602020000100
知識の基本的な理解40101000060
思考・推論・創造への適応力20101000040