高電圧工学

科目基礎情報

学校 都城工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 高電圧工学
科目番号 0052 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 日高邦彦:「高電圧工学」,新・電気システム工学,数理工学社
担当教員 林 則行

到達目標

1.放電現象の基礎過程に関する説明や簡単な計算ができる。
2.気体/液体/固体/複合誘電体中における放電現象に関する説明や簡単な計算ができる。
3.高電圧・大電流の発生方法や測定方法に関する説明や簡単な計算ができる。
4.線路上のサージの伝搬に関する説明や簡単な計算ができる。
5.高電圧機器に関する説明や簡単な計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1右記に加えて,原子や分子の励起や電離,電子付着などの放電現象の基礎過程について,簡単な計算や説明ができる。簡単な電極系における電界の計算や説明ができる。さらに,気体原子や分子の運動や速度,電界中の電子の運動や速度,粒子との衝突について,簡単な計算や説明ができる。左記が不十分である。
評価項目2右記に加えて,液体,固体,複合誘電体中における放電現象を説明できる。気体中における定常放電現象について,簡単な計算や説明ができる。左記が不十分である。
評価項目3右記に加えて,インパルス電圧・電流の発生方法・測定方法について,簡単な計算や説明ができる。直流や交流の高電圧や大電流の発生方法・計測方法について,簡単な計算や説明ができる。左記が不十分である。
評価項目4右記に加えて、遮断器・避雷器に関する簡単な説明や計算ができる。ガイシ・ブッシング・電力ケーブルに関する簡単な説明や計算ができる。左記が不十分である。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
高電圧技術は,電力システムや人工衛星の太陽電池の機器・設備や線路の電気絶縁,環境改善や光源に使われるプラズマの発生,廃棄物処理や金属加工に使われる高温ガスの発生,エックス線の発生など,様々な産業分野で応用されている工学技術である。
 この授業では,高電圧技術に関する専門技術と実践能力を身に付けるために必要となる高電界,放電の基礎過程,気体・液体・固体・複合誘電体中の放電現象,高電圧・大電流の発生方法,高電圧・大電流の計測方法,パルス伝搬,そして高電圧機器・設備に関する基礎知識の習得を目的とする。
 上記目的を達成するために,授業方法は次のとおりとする。
・本シラバスで提示した教科書に沿って講義を行う。
・教科書を補足するスライド,映像,資料などを用いて,講義内容の理解を助ける。
・練習問題を解くことで,講義内容の理解を助ける。
・必要に応じレポート課題を課し、自己学習能力の育成を図る。
・期末試験だけでなく前後期ともに中間試験を実施し、学生の理解度を知るとともに,学生に達成状況を自覚させる。
授業の進め方・方法:
【履修上の注意】
1.遅刻や欠席をしないこと。
2.授業には指定した教科書や関数電卓を持参すること。
3.レポートはA4のレポート用紙を使い,表紙を付けて,指定した日時までに提出すること。
4.事前・事後学修として予習・復習,レポート作成,試験勉強などを行うこと。
【準備学習・自己学習】
1.電磁気,電気回路,電気機械,数学および物理学を理解しておくこと。
2.自己学習として,電磁気では電界の計算,電気回路では過渡現象の予習を行っておくこと。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・授業計画の説明 
・電界の基本的な性質
電界,電気力線,エネルギー,クーロンの法則,電界中の荷電粒子の運動,簡単な電極系の電界に関する簡単な計算や説明ができる。
2週 放電現象の基礎過程(気体・液体・固体の性質)
・気体原子・分子の速度分布や気体温度との関係に関する簡単な計算や説明ができる。
・粒子同士の衝突にかかわる衝突断面積、平均自由工程などの諸パラメータに関する簡単な説明や計算ができる。
3週 放電現象の基礎過程(気体中の放電基礎過程) 電子と粒子との衝突で起こる励起・電離・電子付着・再結合過程に関する簡単な説明や計算ができる。
4週 ・気体中における電気伝導
・放電開始理論(タウンゼント理論)
・空気中で火花放電に至る電圧ー電流特性に関する簡単な計算や説明ができる。
・タウンゼント理論に関する簡単な計算や説明ができる。
5週 ・放電開始理論(ストリーマ理論)
・気体放電に関する法則
・ストリーマ理論に関連する簡単な計算や説明ができる。
・タウンゼント理論とストリーマ理論との違いを説明でき、それぞれの理論に基づく火花電圧の計算ができる。
・パッシェンの法則,及び電極形状と放電特性に関連する簡単な計算や説明ができる。
6週 気体放電の諸特性 電圧波形と放電特性、放電のU特性、飽和特性、雷放電に関する簡単な計算や説明ができる。
7週 放電現象の基礎過程に関する演習 放電現象の基礎過程について習得した知識を活用できる。
8週 気体の放電に関する演習 気体の放電について習得した知識を活用できる。
2ndQ
9週 中間試験 試験範囲:電界の基礎、放電現象の基礎過程、気体の放電
10週 試験答案の返却及び問題の解説          試験問題の解説及びポートフォリオの記入、まとめ
11週 定常気体放電 気体放電の電圧ー電流特性,グロー放電の基礎と利用,アーク放電の基礎と利用に関する説明や簡単な計算ができる。
12週 液体・固体の放電 ・液体・固体の放電に関する簡単な計算や説明ができる。
・液体・固体の放電と気体の放電の違いを簡単に説明できる。
13週 複合誘電体の放電 ・複合誘電体中の電界,三重点,沿面放電,汚損沿面フラッシュオーバ,ボイド放電,トリー,油浸絶縁,放電バリア効果に関する簡単な計算や説明ができる。
・様々な放電条件における代表的な放電電界の説明や計算ができる。
14週 定常気体放電及び複合誘電体の放電に関する演習 定常気体放電及び複合誘電体の放電について習得した知識を活用できる。
15週 期末試験 試験範囲:定常気体放電、液体・固体の放電、複合誘電体の放電
16週 試験答案の返却及び問題の解説 試験問題の解説及びポートフォリオの記入、まとめ
後期
3rdQ
1週 直流高電圧及び交流高電圧の発生 交流高電圧の発生や直流高電圧の発生方法に関する簡単な計算や説明ができる。
2週 インパルス高電圧や大電流の発生 インパルス高電圧や大電流の発生方法に関する基礎知識に関する簡単な計算や説明ができる。
3週 高電圧の直接測定 高電圧の直接測定法の基礎に関する簡単な計算や説明ができる。
4週 高電圧・大電流の間接測定(分圧・分流測定) 高電圧を分圧や分流によって間接的に測定する方法に関する簡単な計算や説明ができる。
5週 高電圧・大電流の間接測定(光学的測定) 高電圧・大電流をファラデー効果,カー効果,ポッケルス効果によって光学的に測定する方法に関する簡単な計算や説明ができる。
6週 サージ伝搬の基礎 サージの伝搬,インピーダンス整合に関する簡単な計算や説明ができる。
7週 インパルス電圧測定 サージ解析の応用例として、インパルス電圧の計測に関する簡単な計算や説明ができる。
8週 高電圧・大電流の発生法や測定法、及びサージ伝搬に関する演習 高電圧の発生法や測定法について習得した知識を活用できる。
4thQ
9週 中間試験 試験範囲:高電圧の発生と計測、サージ解析
10週 試験答案の返却及び問題の解説 高電圧・大電流の発生法や測定方法、サージ解析に関する知識を深める。
11週 がいし,ブッシング,高電圧電力ケーブル がいし,ブッシング,高電圧電力ケーブルに関する簡単な説明や計算ができるようにする。
12週 遮断機,避雷器,ガス絶縁開閉装置 遮断機,避雷器,ガス絶縁開閉装置に関する簡単な説明ができるようにする。
13週 避雷器のよるサージ抑制 避雷器によるサージの抑制に関する説明や簡単な計算ができる。
14週 高電圧機器に関する演習 高電圧機器や高電圧・大電流技術の応用について習得した知識を活用できるようにする。
15週 期末試験 試験範囲:高電圧機器、高電圧の応用技術
16週 試験答案の返却及び問題の解説 試験問題の解説及びポートフォリオの記入、まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
電磁気電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。4
自己誘導と相互誘導を説明でき、自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。4
磁気エネルギーを説明できる。4
電力三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。4
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。4
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。4
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。4
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。4
計測指示計器について、その動作原理を理解し、電圧・電流測定に使用する方法を説明できる。4
倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。4
A/D変換を用いたディジタル計器の原理について説明できる。4
有効電力、無効電力、力率の測定原理とその方法を説明できる。4
電力量の測定原理を説明できる。4

評価割合

定期試験小テストレポート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75025000100
知識の基本的な理解5001000060
思考・推論・創造への適応力2501500040