分子生物学

科目基礎情報

学校 都城工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 分子生物学
科目番号 0057 科目区分 専門 / コース必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 基礎分子生物学第4版、田村隆明・村松正實著(東京化学同人)/Life:The Science of Biology/ 分子細胞生物学 第6版/細胞の分子生物学 第7版
担当教員 野口 太郎

到達目標

1)分子生物学の成り立ちについて理解し、説明できるようになる。
2)セントラルドグマの各過程(複製、転写、翻訳)について理解し、説明できるようになる。
3)遺伝子工学の基礎知識および高次生命現象の原理を理解し、説明できるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1分子生物学における重要な多くの実験を紹介、説明できる。分子生物学発展の経緯を説明できる。分子生物学がどのような学問かは理解できる。
評価項目2セントラルドグマの過程に関わるタンパク質群の各々の役割と全体の反応を総合的に理解し、説明できる。セントラルドグマにおける各過程が生体分子により行われることを説明できる。セントラルドグマにおける各過程がどのような現象を指すのかは説明できる。
評価項目3遺伝子やDNAを用いた技術を理解し、遺伝子組換え実験の作業工程を提案できる。遺伝子操作とその利用方法について一通り説明できる。遺伝子が工学利用できることは理解できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
  分子生物学とは「生物における諸過程や種々の生命現象を、単なる現象論的な視点にとどまらず、分子レベルでの実体的な把握に立脚した立場から解明しようとする現代生物学の一分野」である。本講義では、生物を構成している分子(特にDNA、RNA、蛋白質を中心に)の構造、性質、機能を学ぶ事で、生命現象を分子レベルで理解することを目標とする。また、分子生物学の工学への応用について、その原理を紹介する。
授業の進め方・方法:
・授業内容を予習し、内容が分からない箇所があった場合は授業で確認できるようにしておくこと。
・自己学習では教科書のみならず、参考書も利用すること。
・授業で説明した内容をまとめ、自分の言葉で説明出来るようにすること。
注意点:
生物化学を十分に理解しておく。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業計画の説明
生物学を理解するための基礎知識1
授業計画・達成目標・成績の評価方法等の説明
分子生物学の概要、生物の分類について理解する。
2週 生物学を理解するための基礎知識2 水や生体分子間にはたらく力について理解する。
3週 細胞とその構成物質 細胞の構造や構成物質を理解する。
細胞構成物質の機能について理解する。
4週 細胞の膜輸送 細胞膜の構造と細胞膜で起こる物質輸送について理解する。
5週 遺伝物質DNAの発見 DNAが遺伝情報を伝達する物質であることが証明された経緯を理解する。
6週 DNAの構造 DNAの構造と性質について理解する。
7週 DNAの半保存的複製と複製機構1 DNAの複製機構と半保存的について理解する。
8週 生物学を理解するための基礎知識1〜DNAの構造の復習 生物学を理解するための基礎知識1〜DNAの構造の内容について理解する。
2ndQ
9週 DNAの半保存的複製と複製機構2 DNAの複製機構と半保存的について理解する。
10週 DNAの変異と修復 DNAの変異の種類と修復機構について理解する。
11週 DNAからタンパク質への情報の流れ DNAからタンパク質への情報の流れについて理解する。
12週 遺伝子発現と転写 遺伝子の発現と転写の原理について理解する。
13週 転写の調節 転写調節の分子機構について理解する。
14週 蛋白質の翻訳 リボソームにおける翻訳機構について理解する。
15週 前期内容の復習 これまでの講義内容(前期分)について理解する。
16週
後期
3rdQ
1週 細菌の分子遺伝学1 細菌の遺伝現象や遺伝学的手法について理解する。
2週 細菌の分子遺伝学2 細菌の遺伝現象や遺伝学的手法について理解する。
3週 ウイルス 遺伝学の手法を理解する。
4週 DNAの取り扱い DNAの取り扱いについて理解する。
5週 PCR法とDNA塩基配列の分析 PCRとサンガー法について理解する。
6週 クローニング クローニングの技術について理解する。
7週 細菌の分子遺伝学〜クローニングまでの復習 細菌の分子遺伝学〜クローニングまでの内容について理解する。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 試験答案の返却及び解説 試験問題の解説及びポートフォリオの記入
10週 細胞周期1 細胞周期とそれぞれの期間における特徴について理解する。
11週 細胞周期2 細胞周期とそれぞれの期間における特徴について理解する。
12週 免疫1 特異的防御と非特異的防御について理解する。
13週 免疫2 細胞性免疫、液性免疫のメカニズムについて理解する。
14週 分化 発生や分化について理解する。
15週 後期内容の復習 これまでの講義内容(後期分)について理解する。
16週 授業の振り返り 授業の振り返り及びポートフォリオの記入

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4前3
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。4前1
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。4前11,後1
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4前13,前14
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。4前5
細胞周期について説明できる。4後11
分化について説明できる。4後14,後15
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。4前5
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4前4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4前4
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。4前4
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。4後12,後13
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4前7,前8
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前2
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前8
タンパク質の高次構造について説明できる。4前8
ヌクレオチドの構造を説明できる。4前7
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前7
DNAの半保存的複製を説明できる。4前11
RNAの種類と働きを列記できる。4前8
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後1,後2
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。3前1,後3

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合2575100
知識の基本的な 理       知識の基本的な 理       解206080
思考・推論・創造 へ の 適 応 力51520
汎用的技能000
態度・志向性 (人間力)000
総合的な学習経験 と創造的思考力000