生物反応工学実験

科目基礎情報

学校 都城工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 生物反応工学実験
科目番号 0093 科目区分 専門 / コース必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 所定の実験書【参考資料:日本生物工学会編「生物工学実験書」培風館  等】
担当教員 高橋 利幸,野口 太郎,黒田 恭平

到達目標

1)微生物や酵素を用いた物質の工業生産に必須な基本技術および理論を習得できる。
2)培養中の微生物や環境微生物の検出に関する基本的な技術を習得できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1他の実験者の実験結果と比較し、結果の差異を理論的に説明できる。実験の理論から、結果を推論し、実験結果の妥当性を考察できる。実験の手法と理論を理解し説明できる。
評価項目2実験の結果を考察し、結論を提示した上で、その実験の応用を提案できる。実験結果から、用いた試料の特性を考察し、結論を提示できる。実験書に従って実験を行い結果を出すことができる。
評価項目3研究事例や異なる実験方法も検討し、当実験結果を対比させたレポートを作成できる。専門用語や参考資料を適切に配置したレポートを作成できる。一定の形式でレポートを作成できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1)酵素・微生物を用いた物質生産の原理と方法を習得する。                                      
2)バイオリアクターの運転に欠かせない化学工学実験も行い、バイオプロセスにおける必須の基礎技術を習得する。
授業の進め方・方法:
1)実験概略を説明後、グループで実験操作を行います。
2)事前準備が必要だったり、授業時間外に操作や観察を行う必要のある実験テーマもあります。各実験テーマの担当者の指示に従い、安全かつ確実に実験操作を行う。
3)1テーマあたり3週間の期間がありますが、実験テーマにより事前準備、実験計画作成やデータ整理の時間に使うことがあります。各実験テーマの担当者の指示に従い、各時間を使って下さい。
注意点:
1)白衣を着用する等、実験書に記載された注意事項を厳守して行うこと。
2)担当教員の指示に従い、安全に実験を行うこと。
3)実験後、速やかにレポートを完成し期限内に提出すること。
4)実験開始前に実験書を熟読し、不明な点は調べておくこと。
5)自己学習では担当教員と相談の上、実験書、専門書、URL等を利用して行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業計画・達成目標・成績の評価方法等の説明と生物反応工学工学実験準備 生物反応工学実験を行うための諸注意、準備実験、安全教育を理解できる。
2週 遺伝子組換え技術を用いたGFPの生産1 遺伝子組換え技術による物質生産とタンパク質の精製に必要な原理を理解し、実験準備及びその操作を行うことができる。
3週 遺伝子組換え技術を用いたGFPの生産2 遺伝子組換え技術による物質生産とタンパク質の精製操作を行い、必要なデータを取得できる。
4週 遺伝子組換え技術を用いたGFPの生産3 遺伝子組換え技術による物質生産とタンパク質の精製を通して、バイオプロセスの上流プロセスの一端を理解し、レポートにまとめることができる。
5週 固定化酵素によるグルコースの選択的定量1 酵素固定化法と糖の定量法の原理を理解し、実験準備及びその操作を行うことができる。
6週 固定化酵素によるグルコースの選択的定量2 酵素固定化法と糖の定量法の操作を行い、必要なデータを取得できる。
7週 固定化酵素によるグルコースの選択的定量3 酵素固定化法と糖の定量法から、酵素を用いた糖の定量法を理解し、レポートにまとめることができる。
8週 固定化酵母によるエタノール発酵1 微生物固定化法と糖からのエタノール生産の原理を理解し、実験準備及びその操作を行うことができる。
2ndQ
9週 固定化酵母によるエタノール発酵2 微生物固定化法と糖からのエタノール生産の操作を行い、必要なデータを取得できる。
10週 固定化酵母によるエタノール発酵3 微生物固定化法と糖からのエタノール生産により得られたデータを整理し、レポートにまとめることができる。
11週 固定化酵素のバイオリアクター1 酵素固定化法を用いた簡単なバイオリアクターを作製する原理を理解し、実験準備及びその操作を行うことができる。
12週 固定化酵素のバイオリアクター2 酵素固定化法を用いた簡単なバイオリアクターを作製する操作を行い、必要なデータを取得できる。
13週 固定化酵素のバイオリアクター3 酵素固定化法を用いた簡単なバイオリアクターを作製することを通して、工業における中流プロセスの考え方を理解し、レポートにまとめることができる。
14週 ゲル濾過による蛋白質の分離1 ゲル濾過法により蛋白質を分子量の大きさで分離・精製する技術の原理を理解し、実験準備及びその操作を行うことができる。
15週 ゲル濾過による蛋白質の分離2 ゲル濾過法により蛋白質を分子量の大きさで分離・精製する操作を行い、必要なデータを取得できる。
16週 ゲル濾過による蛋白質の分離3 ゲル濾過法により蛋白質を分子量の大きさで分離・精製する操作を通して、工業における下流プロセスの一端を把握し、レポートにまとめることができる。
後期
3rdQ
1週 蛍光色素の特異的吸着による細菌細胞の検出1 環境中の微生物を検出する技術や水質浄化等におけるプロセスで特定の微生物を計数する技術の原理を理解し、実験準備及びその操作を行うことができる。
2週 蛍光色素の特異的吸着による細菌細胞の検出2 環境中の微生物を検出する技術や水質浄化等におけるプロセスで特定の微生物を計数する操作を行い、必要なデータを取得できる。
3週 蛍光色素の特異的吸着による細菌細胞の検出3 環境中の微生物を検出する技術や水質浄化等におけるプロセスで特定の微生物を計数する操作に必要な技術を理解し、レポートにまとめることができる。
4週 二重管式熱交換機の総括電熱係数1 バイオリアクター制御に関連する必須技術(二重管式熱交換機の総括電熱係数)、実験準備及びその操作を行うことができる。
5週 二重管式熱交換機の総括電熱係数2 バイオリアクター制御に関連する必須技術(二重管式熱交換機の総括電熱係数)の操作を通し、必要なデータを取得できる。
6週 二重管式熱交換機の総括電熱係数3 バイオプロセスの中流プロセスにおいて、バイオリアクター制御に関連する必須技術(二重管式熱交換機の総括電熱係数)に必要な操作・原理を理解し、レポートにまとめることができる。
7週 管・流量計等の圧力損失1 バイオリアクター制御に関連する必須技術(圧力損失)、実験準備及びその操作を行うことができる。
8週 管・流量計等の圧力損失2 バイオリアクター制御に関連する必須技術(圧力損失)の操作を通し、必要なデータを取得できる。
4thQ
9週 管・流量計等の圧力損失3 バイオプロセスの中流プロセスにおいて、バイオリアクター制御に関連する必須技術(圧力損失)に必要な操作・原理を理解し、レポートにまとめることができる。
10週 滞留時間分布1 バイオリアクター制御に関連する必須技術(滞留時間分布)、実験準備及びその操作を行うことができる。
11週 滞留時間分布2 関連する必須技術(滞留時間分布)の操作を通し、必要なデータを取得できる。
12週 滞留時間分布3 バイオプロセスの中流プロセスにおいて、バイオリアクター制御に関連する必須技術(滞留時間分布)に必要な操作・原理を理解し、レポートにまとめることができる。
13週 単蒸留1 バイオリアクター制御に関連する必須技術(単蒸留)、実験準備及びその操作を行うことができる。
14週 単蒸留2 関連する必須技術(単蒸留)の操作を通し、必要なデータを取得できる。
15週 単蒸留3 バイオプロセスの中流プロセスにおいて、バイオリアクター制御に関連する必須技術(単蒸留)に必要な操作・原理を理解し、レポートにまとめることができる。
16週 総合評価(レポート解説)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前2,前3,前5,前6,前7,前8,前9,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前2,前3,前5,前6,前8,前9,前11,前12,前14,前15,前16,後1,後2,後3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前4,前6,前7,前10,前12,前13,前16,後3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前4,前5,前6,前7,前10,前11,前12,前13,前16,後3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。3
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4後1,後2
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。3前2,前3
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4前2,前3,前4,前14,前15,後1,後2
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4前6,前12,前15
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4前2,前3,前4,前12,前14,前15
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。4前6,前12

評価割合

試験発表相互評価態度レポートその他合計
総合評価割合000108010100
基礎的能力000020020
専門的能力0000501060
分野横断的能力0001010020