酵素工学

科目基礎情報

学校 都城工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 酵素工学
科目番号 0096 科目区分 専門 / コース必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 配布資料【参考資料:「酵素の科学」藤本大三郎(裳華堂)(ISBN: 9784785350765);「微生物工学入門」新家龍・今中忠行(朝倉書店)(ISBN: 9784254430479);「生物反応工学」山根恒夫(産業図書)(ISBN: 9784782826102)】
担当教員 高橋 利幸

到達目標

1)酵素の構造および反応の基本的性質について理解し、説明できる。
2)酵素の固定化およびバイオリアクタオーの原理を理解し、説明できる。
3)酵素の実用化例の原理を理解し、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(A)標準的な到達レベルの目安(B)未到達レベルの目安(C)(学生記入欄) 到達したレベルに〇をすること。
評価項目1酵素の構造および反応の基本的性質を理解し、その生理的な意義を説明できる。酵素の構造および反応の基本的性質を理解し、説明できる。酵素の構造および反応の基本的性質の一部を理解し、説明できる。A ・ B ・ C
評価項目2酵素の固定化およびバイオリアクタオーの原理を理解し、その工学的な意義を説明できる。酵素の固定化およびバイオリアクタオーの原理を理解し、説明できる。酵素の固定化およびバイオリアクタオーの原理の一部を理解し、説明できる。A ・ B ・ C
評価項目3酵素の実用化例の原理を理解し、その現代社会における重要性を説明できる。酵素の実用化例の原理を理解し、説明できる。酵素の実用化例の原理の一部を理解し、説明できる。A ・ B ・ C

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B 説明 閉じる
JABEE c 説明 閉じる
JABEE d 説明 閉じる

教育方法等

概要:
酵素は常温常圧下で働く基質特異性の高い触媒であり、様々な産業分野で生産設備のコンパクト化・省エネルギー化・環境汚染の低減などに貢献している。本講義では、酵素の構造・性質に関する基礎知識および固定化酵素やバイオリアクター等の酵素利用法の原理を学び、様々な実用化技術の理解を目的とする。
授業の進め方・方法:
1)配布資料を中心に授業を行います。
2)授業内容の理解を確認するために、課題問題を実施します。
3)事後学習としての授業内容の課題問題は、オンラインクイズ形式で行います。
4)この科目は学修単位制であるため、事前・事後学習として、レポートやオンラインテストを実施します。
注意点:
1)生物化学、分子生物学の関連項目を十分に理解しておくこと。
2)自己学習としては、授業中に配布したプリントや紹介図書などを熟読すること。
3)復習に重点をおいて学習すること。
4)指定された課題レポートは提出期限日までに提出すること。

ポートフォリオ

(学生記入欄)
【理解の度合】理解の度合について記入してください。
      (記入例)ファラデーの法則、交流の発生についてはほぼ理解できたが、渦電流についてはあまり理解できなかった。
 ・前期中間試験まで: 
                                      
 ・前期末試験まで :
                                       
 ・後期中間試験まで:
                                       
 ・学年末試験まで :

                                       
【試験の結果】定期試験の点数を記入し、試験全体の総評をしてください。
       (記入例)ファラデーの法則に関する基礎問題はできたが、応用問題が解けず、理解不足だった。
 ・前期中間試験 点数:      総評:                                       

 ・前期末試験  点数:      総評:                                       

 ・後期中間試験 点数:      総評:                                       

 ・学年末試験  点数:      総評:                                       


【総合到達度】「到達目標」どおりに達成することができたかどうか、記入してください。
 ・総合評価の点数:      総評:                                       


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(教員記入欄)
【授業計画の説明】実施状況を記入してください。
  
  
【授業の実施状況】実施状況を記入してください。
  ・前期中間試験まで:  
                                     
  ・前期末試験まで :                                       

  ・後期中間試験まで:                                       

  ・学年末試験まで : 
        
                                
【評価の実施状況】総合評価を出した後に記入してください。
 
    

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業計画・達成目標・成績の評価方法等の説明および序論:環境問題と酵素工学の関係 酵素工学を取り巻く社会状況や環境問題等を整理できる。
2週 酵素の基礎知識(酵素の構造) 遺伝子情報から開始し、酵素(タンパク質)の1次構造~4次構造形成までの仕組みを説明できる。
3週 酵素の基礎知識(酵素反応1) 酵素反応の特徴(基質特異性、反応特異性)を説明できる。
4週 酵素の基礎知識(酵素反応2) 酵素反応の特徴(最適温度、最適 pH)を説明できる。
5週 酵素利用方法の原理(工業用酵素の市場と展望) 現在工業的に利用されている酵素を挙げることができる。
6週 酵素利用方法の原理(酵素の固定化1) 酵素の固定化法について事前学習し、その方法の概略を調べることができる。
7週 酵素利用方法の原理(酵素の固定化2) 事前に調べてきた酵素の固定化法について理解を深め、その原理を説明できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 酵素(タンパク質の精製法1) 遺伝子組換え技術利用の流れとPCR法の原理を説明できる。
10週 酵素(タンパク質の精製法2) タンパク質単離法(透析、塩析、ゲルろ過)に関する事前学習として、各方法の原理を調べることができる。
11週 酵素(タンパク質の精製法3) タンパク質単離法(透析、塩析、ゲルろ過)に関して、事前学習を通して、その理解を深め、原理を説明できる。
12週 酵素(タンパク質の精製法4) タンパク質単離法(電気泳動【SDS-PAGE、Native PAGE、等電点電気泳動】)に関する事前学習として、各方法の原理を調べることができる。
13週 酵素(タンパク質の精製法5) タンパク質単離法(電気泳動【SDS-PAGE、Native PAGE、等電点電気泳動】)に関して、事前学習を通して、その理解を深め、原理を説明できる。
14週 酵素(タンパク質の精製法6) タンパク質単離法(二次元電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー)に関する事前学習として、各方法の原理を調べることができる。
15週 酵素(タンパク質の精製法7) タンパク質単離法(二次元電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー)に関して、事前学習を通して、その理解を深め、原理を説明できる。
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 酵素利用の実用化例(デンプン加工技術) 各種デンプン分解酵素の機能を説明できる。
2週 酵素利用の実用化例(デンプン加工製品の生産1) 異性化糖とサイクロデキストリンの生産方法を説明できる。
3週 酵素利用の実用化例(デンプン加工製品の生産2) その他のデンプン加工製品の代表例を挙げることができる。
4週 酵素利用の実用化例(デンプン加工製品の生産3) その他のデンプン加工製品の生産方法を説明できる。
5週 酵素利用の実用化例(デンプン加工製品の生産4) デンプン加工製品の生産における酵素の利用を総括できる。
6週 酵素利用の実用化例(乳製品の加工1) 乳製品加工への酵素の利用原理を説明できる。
7週 酵素利用の実用化例(乳製品の加工2) 乳製品加工への酵素の利用方法を説明できる。
8週 酵素利用の実用化例(アルコールの生産1) 固定化酵母によるエタノール生成の原理を説明できる。
4thQ
9週 酵素利用の実用化例(アルコールの生産2) バイオエタノールなど固定化酵母によるエタノール利用の状況を挙げることができる。
10週 酵素利用の実用化例(アミノ酸と医薬品の生産1) アミノ酸生産への酵素の利用方法を説明できる。
11週 酵素利用の実用化例(アミノ酸と医薬品の生産2) 医薬品生産への酵素の利用方法を説明できる。
12週 酵素利用の実用化例(化学工業への応用1) 酵素の化学工業(試薬など化学製品)への応用について、その例を挙げ、その原理を説明できる。
13週 酵素利用の実用化例(化学工業への応用2) 酵素の化学分析(バイオセンサーなど)への応用について、その例を挙げ、測定原理を説明できる。
14週 酵素利用のまとめ1 デンプン加工など食品産業への酵素の利用について概説できる。
15週 酵素利用のまとめ2 医薬品、化学製品や物質生産への酵素の利用について概説できる。
16週 卒業試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3前2,後1,後6,後9,後10,後11
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。3前2,前3,前4,前7,前12,前13,前14,前15,後6
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。3前2,後10
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。2前2,前4,前11,前12,前13,前14,前15
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。2前2
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。2
高分子化合物がどのようなものか説明できる。3前2,前3,前4,前6,前7,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後6,後14
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。3前2,前3,前4,前6,前7,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後6,後14
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。3前2,前3,前4,前12,前13,前14,前15
高分子の熱的性質を説明できる。3前3,前4,前7,前12,前13
重合反応について説明できる。3前2,前6,前7,後1,後2,後6,後14
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。3前2,前6,前7,後1,後2,後6,後14
無機化学イオン結合と共有結合について説明できる。2前2,前3,前4,前6,前12,前13,前14,前15
水素結合について説明できる。2前2,前3,前4,前9,前11,前12,前13
分析化学緩衝溶液とpHの関係について説明できる。2前3,前4,前12,前13
光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。2
Lambert-Beerの法則に基づく計算をすることができる。1
イオン交換による分離方法についての概略を説明できる。3前14
クロマトグラフィーの理論と代表的な分析方法を理解している。3前10,前14
特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。2前10,前11,前12,前13,前14,前15
化学工学吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。2前6,前7,前14,前15
基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。1
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。3前1,前2
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。3前2
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4前2,前9
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。2前2
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。3前2,後1,後2,後3,後4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。3前2,前3,前12,前13,前14,前15
単糖と多糖の生物機能を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後14
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。2後1,後2,後3,後4,後5,後14
グリコシド結合を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後14
多糖の例を説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後14
脂質の機能を複数あげることができる。2後6,後7,後14
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。2後6,後7,後14
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。3前2
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。3前2,前12,前13,前14,前15
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前2
タンパク質の高次構造について説明できる。4前2,前3,前4,前12,前13,前14,前15
ヌクレオチドの構造を説明できる。3前9
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。3前9
RNAの種類と働きを列記できる。3
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。3
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前1,前3,前4,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後6,後7,後10,後13,後14
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前3,前4,前9
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。2
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。2前9
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。2
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3
食品加工と微生物の関係について説明できる。3後8,後9,後14
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4後11,後15
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。2

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他(レポートなど)合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力800000585
専門的能力0000033
分野横断的能力100000212