耐震構造学

科目基礎情報

学校 都城工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 耐震構造学
科目番号 0091 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 建築学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書なし(講義テキストはTeamsにアップロードされる)
担当教員 山本 剛

到達目標

1)建物の地震被害の特徴と被害要因を構造種別に説明することができる。
2)建物の応答性状を理解することができる。
3)応答スペクトルを理解し、最大応答を求めることができる。
4)建築基準法で規定されている耐震規定について説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安       A標準的な到達レベルの目安       B未到達レベルの目安     C(学生記入欄) 到達したレベルに〇をすること。
評価項目1木造住宅、RC造建物、S造建物の地震被害の特徴と被害の要因を説明でき、耐震設計上の留意点をあげることができる。木造住宅、RC造建物、S造建物の地震被害の特徴と被害の要因を説明できる。木造住宅、RC造建物、S造建物のいずれかの構造について、被害の特徴と被害要因を説明することができる。  A ・ B ・ C
評価項目2強震動による建物の応答波形を見て、固有周期と変位応答および絶対加速度との関係、減衰と変位応答の関係について考察することができる強震動による建物の応答波形を見て、変位応答および絶対加速度の最大値を求めることができる。強震動による建物の応答波形を見て、変位応答および絶対加速度に固有週と減衰が影響していることを里理解することができる。  A ・ B ・ C
評価項目3ハウスナーの平均応答スペクトル、梅村スペクトルについて説明することができ、梅村スペクトルを用いて最大応答を求めることができる。 ハウスナーの平均応答スペクトル、梅村スペクトルについて説明することができる。梅村スペクトルを用いて最大応答を求めることができる。 A ・ B ・ C
評価項目4我が国の耐震設計の目標と建築基準法の耐震規定で想定されている地震動のレベルを説明でき、建築基準法に地震発生の地域性、構造種別による地域性、ねじれ振動がどのように考慮されているかを説明することができる。 我が国の耐震設計の目標と建築基準法の耐震規定で想定されている地震動のレベルを説明することができる。 我が国の耐震設計の目標を説明することができる。  A ・ B ・ C

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B 説明 閉じる
JABEE c 説明 閉じる
JABEE d 説明 閉じる

教育方法等

概要:
大地震が頻繁に発生する我国においては、構造的に安全な建物を造るために地震動による建物の振動特性を反映した耐震設計が必要である。建築物の耐震設計を行うには、地震荷重の特性や建物の応答について理解することが必要となる。授業では、地震の基本パラメータから強震動の特性、建築物の動的特性、地盤の振動まで、地震学と構造学の境界領域の基本事項を学ぶ。また、地震時における建物の動的挙動を理解するために基本的な振動論についても学習する。更に、現在用いられている耐震設計法についても学習する。
授業の進め方・方法:
15回の授業すべてを遠隔授業で行う。出席管理用のレポートと成績評価用のレポートを出題する。

注意点:
評価方法は定期テストを70%、レポートを30%とし、総合評価で60%以上を合格とする。
講義資料はTeamsのチャネル「耐震構造学」にアップロードされているので各自ダウンロードすること。
講義前半(第6回~第9回)では1自由度系の自由振動を取り扱う。「振動学」の未受講者は自学学習として1自由度の自由振動について学習しておくこと。

ポートフォリオ

(学生記入欄)
【理解の度合】理解の度合について記入してください。
      (記入例)ファラデーの法則、交流の発生についてはほぼ理解できたが、渦電流についてはあまり理解できなかった。                                      
 ・後期中間試験まで:
                                       
 ・学年末試験まで :

                                       
【試験の結果】定期試験の点数を記入し、試験全体の総評をしてください。
       (記入例)ファラデーの法則に関する基礎問題はできたが、応用問題が解けず、理解不足だった。
 ・後期中間試験 点数:      総評:                                       

 ・学年末試験  点数:      総評:                                       


【総合到達度】「到達目標」どおりに達成することができたかどうか、記入してください。
 ・総合評価の点数:      総評:                                       


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(教員記入欄)
【授業計画の説明】実施状況を記入してください。
  
  
【授業の実施状況】実施状況を記入してください。
  ・後期中間試験まで:                                       

  ・学年末試験まで : 
        
                                
【評価の実施状況】総合評価を出した後に記入してください。
 
    

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業計画の説明
地震の発生と地震動の特性(1)
1.地震の発生
2.日本付近の地震の分布
3.マグニチュード
4.地震と断層
5.活断層
1)世界の地震分布、プレートテクトニクス、プレート
の運動を理解することができる。
2)日本付近のプレートの分布、日本付近で発生した地震
の空間分布の特徴を理解することができる。
3)マグニチュードの種類、定義およびマグニチュードと
エネルギーの関係を理解することができる。
4)断層の種類、断層パラメータ、断層の大きさと地震規
模の関係を理解することができる。
5)活断層の定義、活断層の分布、活断層の活動度を理解することができる。
2週 地震の発生と地震動の特性(2)
1.地震活動
2.地震の計測
3.地震波
1)前震・余震・本震と地震発生、断層の破壊と地震波の放射、地震空白域を理解することができる。
2)地震計の原理と種類、強震計、地震観測網、グーテンベルグ・リヒターの関係について理解することができる。
3)実体波と表面波の特徴、地震波の反射と屈折、地震波の減衰、押し波と引き波について理解することができる。
3週 地震の発生と地震動の特性(3)
1.地震波
2.震度
3.地震動
4.地震動と地震防災
1)地震波形の読み方、地震特性と地震波形、表面波の地震波形について理解することができる。
2)震度、計測震度の定義を理解することができる。
3)地震動が、震源特性、伝播特性、地盤の増幅特性について理解することができる。
4)海洋型地震と内陸型地震の地震の規模、振幅、継続時間、発生周期の傾向について理解することができる。
4週 1自由度系の自由振動(1)
1.自由振動
2.減衰
3.構造物の振動特性を表す指標
4.等価減衰定数の推定
1)自由振動の説明をすることができる。
2)減衰および減衰の原因を理解することができる。
3)構造物の振動特性に関連する専門用語の定義を理解し、説明することができる。
4)自由振動の波形から減衰定数を推定することができる。
5週 1自由度系の自由振動(2)
1.水平剛性と固有周期
2.固有周期と固有円振動数および減衰定数
3.等価減衰定数の推定
4.1自由度の応答
1)RC造片持ち柱の水平剛性を求めることができ、高層ビルの階高と固有周期の関係について考察することができる。
2)1層ラーメンの固有周期、固有円振動数、減衰定数を求めることができる。
3)自由振動の波形から減衰定数を推定することができる。
4)1自由度の振動方程式の解を導出することができる。
6週 調和振動を受ける1自由度系の強制振動(1)
1.1自由度系の強制振動
2.1自由度系の定常応答
3.動的応答倍率
4.過渡応答
1)過渡応答が定常応答と自由振動の和となることを理解することができる。
2)動的応答倍率を理解し、1自由度系の強制振動の応答の特性を説明することができる。
3)共振時の振動数比と動的応答倍率を求めることができる。
4)過渡応答の一般式、初期変位と初期速度が与えられたときの過渡応答を導出することができる。
7週 調和振動を受ける1自由度系の強制振動(2)
1.1自由度系の定常応答
2.地震計の原理
1)正弦波地動の作用する1自由度系の建物モデルの動的応答倍率を求め、動的応答倍
率を用いて最大変位応答と最大復元力を求めることができる。
2)加速度地震計、速度地震計、変位地震計の原理を動的応答倍率と振動数比の関係を用いて説明することができる。
8週 地震動を受ける建物の応答
1.強震計と強震記録
2.強震記録と建物の応答
1)強震計で記録される波形の読み方を理解することができる。
2)強震動による建物の応答波形を見て、固有周期と変位応答および絶対加速度との関係、減衰と変位応答の関係について考察することができる。
4thQ
9週 地震動を受ける建物の最大応答(1)
1.応答スペクトルの定義
2.応答スペクトルと地震力
3.応答スペクトルの特性
1)変位応答スペクトル、速度応答スペクトル、加速度応答スペクトルの定義とこれらの応答スペクトの関係を理解することができる。
2)El CentroとTaftの応答スペクトルを用いて地震動、減衰定数等の影響を分析して応答スぺクトルの特性を理解することができる
3)3重応答スペクトルに集約される応答スペクトルの特性を理解することができる。
4)ベースシヤー、ベースシヤー係数、層せん断力係数について説明することができる。
10週 地震動を受ける建物の最大応答(2)
1.平均応答スペクトルと設計用応答スペクトル
2.建築基準法における応答スペクトルの活用
1)応答スペクトルを耐震設計に用いる際の問題点を理解することができる。
2)ハウスナーの平均応答スペクトル、梅村スペクトルについて説明することができる。
3)梅村スペクトルを用いて最大応答を求めることができる。
4)建築基準法に応答スペクトルが反映されている点について説明することができる。
11週 建物の弾塑性応答
1.建築物の復元力特性
2.地震動を受ける1自由度の弾塑性応答
3.地震動を受ける1自由度系建物の損傷
1)S造とRC造のせん断力と水平変位の関係について弾性域および塑性域に見られる特徴を説明することができる。
2)復元力特性のモデル化の必要性と種々のモデルについて説明することができる。
3)時刻歴応答解析法によるバイリニア復元力特性を持つ1自由度系の地震応答解析例の変位応答とせん断力の応答の特徴を理解することができる。
3)エネルギー一定則と変位一定則について説明することができる。
4)塑性率と累積塑性変形倍率について説明することができる。
12週 地震荷重と耐震設計
1.耐震設計の目標
1)我が国の耐震設計の目標について説明することができる。
2)地震動の特性と建物の安全性と機能確保について説明することができる。
解することができる.
13週 地震荷重と耐震設計
2.日本の耐震設計
3.建築基準法の耐震規定
3)耐震設計法の種類、日本の耐震規定の変遷、静的震度法、修正震度法の考え方を理解することができる.
4)建築基準法の設計ルート、許容応力度計算、地震動のレベルと耐震設計の基本的な考え方について説明することができる。
5)建築基準法の耐震規定で想定されている地震動のレベルを説明することができる。
6)建築基準法ではベースシヤー係数、応答スペクトル、地震発生の地域性、構造種別による地域性、ねじれ振動、層崩壊の危険性等がどのように考慮されているかを説明することができる。
7)重要度係数について説明することができる。
14週 地震作用による建物被害
1.木造住宅の被害
2.RC造建物の被害
3.S造建物の被害
1)木造住宅、RC造建物、S造建物の地震被害の特徴と被害の要因を説明できる。
2)木造住宅、RC造建物、S造建物の耐震設計上の留意点を説明することができる。
15週 建物の耐震化
1.免振と制振
2.耐震診断と耐震補強
1)免振構造と制振構造の原理を説明できる。
2)耐震診断の概要を理解でき、耐震補強の事例をあげることができる。
16週 試験答案の返却及び解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建築系分野構造地震被害を受けた建物の破壊等の特徴について説明できる。3後1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力3500001550
専門的能力3500001550
分野横断的能力0000000