概要:
分子生態学は、環境中に存在する複合微生物の存在を把握するだけでなく、その環境動態、複合微生物の役割を知る上で重要である。本講義では以下の3点の目的を通じて、分子生態学への理解を深める。
1.最新の研究動向を基にして、環境中の微生物と土壌、海水、陸水等の環境因子との関連を学ぶ。
2.環境中の病原菌や有用微生物を分子生物学的手法を用いて解析する技術を実際の応用例から学ぶ。
3.微生物を利用した物質生産や環境浄化の具体例とその問題点を述べ、微生物の機能による地球環境問題解決への可能性について論じる。
授業の進め方・方法:
授業はアクティブラーニング型の講義形式で行い,各講義の理解度は授業内の問題及びレポート課題によって評価する。
注意点:
1)分子生態学の講義では、地球環境問題、微生物の系統、生育、生理機能に関する知識、分子生物学の基本原理を用いて行うため、微生物工学・生物工学・分子生物学・環境工学について理解を深めておくこと。
2)講義では、グループでの学習を行うため、自主的に講義に取り組む意識を持つこと。
3)日頃から地球環境問題について情報収集を行うなど、環境への意識を持つこと。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
授業計画の説明 土壌、海水、陸水、大気についてその構成因子、構造、地球環境における意義などを学ぶ。 |
分子生物学の全体像・重要性について説明できる。 地球環境における微生物生態の役割について説明できる。
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2週 |
地球上の生物の多様性(種類や数)、および相互関係、環境因子の影響を学ぶ。(1) |
地球上の生物多様性、相互関係について考察し、説明できる。
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3週 |
地球上の生物の多様性(種類や数)、および相互関係、環境因子の影響を学ぶ。(2) |
地球上の生物多様性、相互関係について考察し、説明できる。
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4週 |
現在の地球環境問題の例をあげ、その原因と現状での対策を学び、更なる改善方法をグループで考案する。(1) |
地球環境問題について把握し、その改善方法を提案できる。
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5週 |
現在の地球環境問題の例をあげ、その原因と現状での対策を学び、更なる改善方法をグループで考案する。(2) |
地球環境問題について把握し、その改善方法を提案できる。
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6週 |
環境中に生息する微生物の種類と機能、およびこれらの微生物と環境因子の関係を学ぶ。(1) |
環境中に生息する微生物の種類、機能と環境因子を結びつけて、環境動態を説明できる。
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7週 |
環境中に生息する微生物の種類と機能、およびこれらの微生物と環境因子の関係を学ぶ。(2) |
環境中に生息する微生物の種類、機能と環境因子を結びつけて、環境動態を説明できる。
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8週 |
後期中間試験 レポート課題。課題による評価。 |
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4thQ |
9週 |
課題についての解説及びポートフォリオの記入。 |
間違った問題を正し、説明できる
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10週 |
環境とは種々の生物が複合的に存在し、相互作用を及ぼしあう世界である。このような状態にある生物相の解析方法を理解する。 |
微生物群集構造解析の方法を把握し、説明できる。
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11週 |
環境中の微生物を分子生物学的手法で解析した例を紹介し、その有効性と問題点を把握する。また、特定の環境中の微生物相を解析するための実験方法を学生主体で考案する。(1) |
分子生物学的手法を用いた実際の解析例を学び、その有効性と問題点を説明できる。
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12週 |
環境中の微生物を分子生物学的手法で解析した例を紹介し、その有効性と問題点を把握する。また、特定の環境中の微生物相を解析するための実験方法を学生主体で考案する。(2) |
実際の分子生物学的手法による解析例を基に、その環境中で微生物がどのような働きを持っているか説明できる。
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13週 |
微生物による環境汚染物質の分解浄化(バイオレメデーション)の例をあげその有効性と問題点を理解する。(1) |
バイオレメディエーションの方法、有効性、問題点を説明できる。
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14週 |
微生物による環境汚染物質の分解浄化(バイオレメデーション)の例をあげその有効性と問題点を理解する。(2) |
バイオレメディエーションの方法、有効性、問題点を説明できる。
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15週 |
地球環境問題解決への微生物利用の可能性について議論し、解決策を論じる。 |
学生主体で地球環境問題解決に向けた微生物利用方法を提案できる。
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16週 |
学年末試験(レポート課題) 試験問題の解説及びポートフォリオの記入 |
間違った問題を正し、説明できる
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | ライフサイエンス・アースサイエンス | ライフサイエンス・アースサイエンス | 地球は大気と水で覆われた惑星であることを説明できる。 | 2 | |
地球上の生物の多様性について説明できる。 | 3 | |
生物の共通性と進化の関係について説明できる。 | 3 | |
生物に共通する性質について説明できる。 | 4 | |
大気の大循環を理解し、大気中の風の流れなどの気象現象を説明できる。 | 2 | |
海水の運動を理解し、潮流、高潮、津波などを説明できる。 | 2 | |
生態系の構成要素(生産者、消費者、分解者、非生物的環境)とその関係について説明できる。 | 2 | |
生態ピラミッドについて説明できる。 | 2 | |
生態系における炭素の循環とエネルギーの流れについて説明できる。 | 1 | |
熱帯林の減少と生物多様性の喪失について説明できる。 | 3 | |
地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 分析化学 | 特定の分析装置を用いた気体、液体、固体の分析方法を理解し、測定例をもとにデータ解析することができる。 | 1 | |
基礎生物 | DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 4 | |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 2 | |
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。 | 4 | |
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。 | 4 | |
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。 | 2 | |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 3 | |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 2 | |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 3 | |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 4 | |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 2 | |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 1 | |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 1 | |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 2 | |
各種の光合成色素の働きを説明できる。 | 2 | |
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。 | 2 | |
炭酸固定の過程を説明できる。 | 2 | |
生物工学 | 原核微生物の種類と特徴について説明できる。 | 2 | |
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。 | 2 | |
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。 | 2 | |
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。 | 2 | |