生物物理化学

科目基礎情報

学校 都城工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 生物物理化学
科目番号 0036 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 配布資料【参考資料:生物物理化学、近藤保ら著(三共);講座:生物物理、大沢文夫著(丸善);細胞の分子生物学第3版、Albertsら著、中村桂子ら訳(Newton Press)】
担当教員 高橋 利幸

到達目標

1)生気論と生物機械論について理解し、説明できる。
2)生物の基本構造について理解し、説明できる。
3)生物物理に関する計算問題を解くことができる。
4)細胞運動と生体分子モーターについて理解し、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生気論と生物機械論および生物の基本構造について理解し、その内容を適切な専門学術用語を用いて的確に説明できる。生気論と生物機械論および生物の基本構造について理解し、説明できる。生気論と生物機械論および生物の基本構造の一部について理解し、説明できる。
評価項目2生物物理に関する計算問題を解くことができ、またその生理的な意義を理解している。生物物理に関する計算問題を解くことができる。生物物理に関する計算問題の一部を解くことができる。
評価項目3細胞運動と生体分子モーターについて理解し、その内容を適切な専門学術用語を用いて的確に説明できる。細胞運動と生体分子モーターについて理解し、説明できる。細胞運動と生体分子モーターの一部を理解し、説明できる。

学科の到達目標項目との関係

JABEE (c) 説明 閉じる
JABEE (d) 説明 閉じる
JABEE B2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
複雑に見える生命現象も、原子や分子から構成される物質の相互作用により営まれている。本講義では、まず生物の基本構成成分である蛋白質、DNA、生体膜等の分子構造および熱力学、結合、酵素反応の基本を理解する。その後、どのような機構でエネルギー変換、形態形成、運動機能などの複雑な生命現象が機能するのか物理化学的に理解する。
授業の進め方・方法:
1)配布資料を中心に授業を行います。
2)授業中に課題を課すので、その課題について調査し、期日までにレポート作成を行うこと。なお、課題は、自己学習の事後学習として評価する。
注意点:
1)本科で履修した生物化学、分子生物学および専攻科1年次で履修した蛋白質工学を十分に理解しておくこと。
2)自己学習としては、授業中に配布したプリントや紹介図書などを熟読すること。
3)復習に重点をおいて学習すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業計画・達成目標・成績の評価方法等の説明及び「生気論と生物機械論」 生物は機械のように物質の複合体であることを説明できる。
2週 基礎知識(生物の基本構造1) 蛋白質、核酸、糖鎖の機能や特徴を説明できる。
3週 基礎知識(生物の基本構造2) 生体高分子としての蛋白質、核酸、糖鎖の構造について説明できる。
4週 基礎知識(生物の基本構造3) 脂質、細胞膜の機能や特徴を挙げることができる。
5週 基礎知識(生物の基本構造4) 生体分子としての脂質、細胞膜の構造を説明できる。
6週 細胞運動1 細胞運動に関連した細胞骨格蛋白質を挙げることができる。
7週 細胞運動2 細胞運動に関連した細胞骨格蛋白質の重合・脱重合の分子機構を説明できる。
8週 細胞運動3 細胞運動の全体像を物理化学的見地から説明できる。
4thQ
9週 生体分子モーター1 生体運動の例やその関わる分子を挙げることができる。
10週 生体分子モーター2 筋肉運動と細胞内輸送を生体分子モーターの観点から説明できる。
11週 生物機能の物理化学(エネルギー代謝) 生物の代謝をエネルギーの観点から説明できる。
12週 生物機能の物理化学(酵素反応) Michaelis-Menten の式、Km、Vmax 等を用いて、酵素反応速度論を説明できる。
13週 生物機能の物理化学(結合1) Langmuir の結合等温式、Scatchard プロット、Hill プロットの特徴を挙げることができる。
14週 生物機能の物理化学(結合2) 生体分子の結合をLangmuir の結合等温式、Scatchard プロット、Hill プロット等を用いて説明できる。
15週 生物機能の物理化学(熱力学概論) 生体分子の反応や構造を熱力学第2法則、エントロピー、自由エネルギー変化を用いて説明できる。
16週 修了試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3後1,後2,後3,後4
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。2後2,後3,後4,後6,後7,後8
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。2後2,後3
高分子化合物がどのようなものか説明できる。3後2,後3,後4,後6,後7
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。3後2,後3,後4,後6,後7
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。3後2,後3,後6,後7
高分子の熱的性質を説明できる。3後2,後3
重合反応について説明できる。4後2,後3,後4,後7
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。3後2,後3
無機化学イオン結合と共有結合について説明できる。3後2,後3
水素結合について説明できる。3後2,後3
分析化学強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。3後15
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4後15
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。3後15
物理化学熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。2後15
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。2後15
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。2後15
エンタルピーの温度依存性を計算できる。3後15
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。2後13,後14,後15
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。2後15
純物質の絶対エントロピーを計算できる。2後15
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。2後15
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。2後15
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。3後15
平衡定数の温度依存性を計算できる。3後15
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。2後12,後13,後15
活性状態のエンタルピー、エントロピー、自由エネルギーの関係を定量的に説明できる。2後15
触媒の性質・構造を理解して、活性化エネルギーとの関係を説明できる。3後11
ネルンストの式を用いて、起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係が説明できる。3後15
基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4後6
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。4後4,後5,後6
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。4後11
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4後11
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。3後11
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。3後2,後3
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。3後2,後3
分化について説明できる。2後1
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。3後5
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。2
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。2後5
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4後2,後3
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4後2,後3
単糖と多糖の生物機能を説明できる。2後2,後3
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。3後2,後3
グリコシド結合を説明できる。3後2,後3
多糖の例を説明できる。3後2,後3
脂質の機能を複数あげることができる。4後4,後5
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。3後4,後5
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4後4,後5
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4後2,後3,後6,後7,後8,後9,後10
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4後2,後3
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4後2,後3
タンパク質の高次構造について説明できる。4後2,後3,後6,後7
ヌクレオチドの構造を説明できる。3後2,後3
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。3後2,後3
DNAの半保存的複製を説明できる。3後2,後3
RNAの種類と働きを列記できる。3後2,後3
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。3後2,後3
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4後11
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4後11
解糖系の概要を説明できる。4後11
クエン酸回路の概要を説明できる。4後11
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。4後11
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。3後11
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4後8

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力100000313
専門的能力800000585
分野横断的能力0000022