パワーエレクトロニクス

科目基礎情報

学校	鹿児島工業高等専門学校	開講年度	平成29年度 (2017年度)
授業科目	パワーエレクトロニクス
科目番号	0023	科目区分	専門 / 選択
授業形態	講義	単位の種別と単位数	学修単位: 2
開設学科	電気電子工学科	対象学年	5
開設期	後期	週時間数	2
教科書/教材	パワーエレクトロニクス学入門　河村篤男 / 横山智紀他　コロナ社 ，パワーエレクトロニクス回路　電気学会半導体電力変換調査専門委員会編　オーム社　／　適宜プリントを配布．
担当教員	逆瀬川 栄一

到達目標

電力用半導体素子の分類と特徴，これらを用いた電力変換器の基本回路構成，動作原理･特性，制御法を中心に学習する．また，電力変換器がどのような分野に，どのような理由で応用されているかの理解も深める．

ルーブリック

	理想的な到達レベルの目安	標準的な到達レベルの目安	未到達レベルの目安
様々な波形のフーリエ級数展開を求め，平均値，実効値，THDを計算できる。	チョッパ，インバータ，整流器の出力波形のフーリエ級数展開ができる。また，平均値，実効値，THDを計算できる。	方形波のフーリエ級数展開を計算できる。また，平均値，実効値，THDを計算できる。	方形波のフーリエ級数展開を計算できない。
直流電源１つ，スイッチ１つ，抵抗負荷の場合の電力変換を計算できる。	スイッチング損失，定常オン損失，定常オフ損失を考慮して効率を計算できる。	スイッチング損失，定常オン損失を考慮して効率を計算できる。	スイッチング損失，定常オン損失を考慮して効率を計算できない。
降圧，昇圧チョッパの特性を説明し，計算できる。	降圧チョッパについてはインダクタ電圧について，昇圧チョッパにおいてはコンデンサ電流について，定常特性を計算できる。	降圧，昇圧チョッパの出力波形を描き，各部の値を計算できる。	降圧，昇圧チョッパの出力波形を描き，各部の値を計算できない。
インバータの特性を説明し，出力電圧を計算できる。	単相フルブリッジインバータのユニポーラ変調の波形を描ける。三相インバータの出力電圧，空間ベクトルを説明できる。	単相ハーフ，単相フルブリッジインバータの出力波形を描ける。三相インバータの出力電圧，空間ベクトルを説明できる。	単相ハーフ，単相フルブリッジインバータの出力波形を描けない。
整流器の特性を説明し，出力電圧を計算できる。	ダイオードブリッジ，サイリスタブリッジの出力波形を描ける。三相ダイオードブリッジの出力波形を描ける。	ダイオードブリッジ，サイリスタブリッジの出力波形を描ける。	ダイオードブリッジ，サイリスタブリッジの出力波形を描けない。
ACモータドライブシステムの構成とベクトル制御の原理を説明できる。	誘導電動機のベクトル制御の原理を式で導出できる。誘導機と永久磁石同期モータのベクトル制御の違いを説明できる。	ACモータドライブシステムの構成とベクトル制御の原理を説明できる。座標変換の行列を計算できる。	ACモータドライブシステムの構成を説明できない。座標変換の行列を計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育プログラムの科目分類 (4)② （電気情報システム工学専攻）

JABEE（2012）基準 1(2)(d)(1) （専門工学（工学（融合複合・新領域）における専門工学の内容は申請高等教育機関が規定するものとする）の知識と能力）

教育プログラムの学習・教育到達目標 3-3 （専門分野の知識と自主的・継続的に学習する能力を身につけ、与えられた制約下で計画的にものづくりの手法を活かして問題を解決できる能力を養う。）

本科（準学士課程）の学習・教育到達目標 3-c （専門分野の学習や工学実験等を通して、専門分野の基礎的な知識を修得することができる。）

教育方法等

概要:

電力(Power)，電子(Electronics)，制御(Control)の３つの技術を融合した分野である．したがって，幅広い知識が必要であり，電気回路，電子回路，電磁気学，電気機器，制御工学を応用した総合的な技術力が身につく科目である．

授業の進め方・方法:

電力用半導体素子の分類と特徴，これらを用いた電力変換器の基本回路構成，動作原理･特性，制御法を中心に学習する．また，電力変換器がどのような分野に，どのような理由で応用されているかの理解も深める．

注意点:

講義内容をよりよく理解するため，教科書や配布プリントを見て分からない点を整理するといった予習や，理解度をより深めるための宿題，復習に毎回210分以上の自学自習が必要である．疑問点があれば，授業中，あるいは授業時間外にかかわらず質問すること．

授業計画

		週	授業内容	週ごとの到達目標
後期
	3rdQ
		1週	パワーエレクトロニクスの定義と役割	パワーエレクトロニクスの定義，応用分野及び果たす役割について説明できる．
		2週	パワーエレクトロニクスの基礎	正弦波や方形波など種々の波形の平均値，実効値，電力，高調波（フーリエ級数展開），全高調波歪率（THD）の計算ができる．
		3週	スイッチを用いた電力変換と電力用半導体素子	スイッチを用いた電力変換の原理を理解できる。 素子に求められる特性と，代表的な素子の構造，基本特性を理解し，それらの違いを説明できる．
		4週	スイッチング特性	スイッチがトランジスタで，負荷が抵抗の場合のスイッチング特性（スイッチング損失，効率等）を計算できる．
		5週	降圧チョッパ	インダクタ/キャパシタの平滑（フィルタ）作用，定常特性を理解し，計算できる．
		6週	昇圧チョッパ	降圧・昇圧チョッパの回路構成，動作波形，制御法を理解し，入出力電圧，電流の値を求めることができる．
		7週	昇降圧チョッパ	昇降圧チョッパの回路構成，動作波形，制御法を理解し，入出力電圧，電流の値を求めることができる．
		8週	単相ハーフインバータ	回路構成，動作波形，制御法(PWM制御)を理解し，出力電圧，電流の値を求めることができる．
	4thQ
		9週	単相フルブリッジインバータ	回路構成，動作波形，制御法(PWM制御)を理解し，出力電圧，電流の値を求めることができる．
		10週	三相インバータ	三相インバータの回路構成，動作波形，制御法を理解し，出力電圧，電流の値を求めることができる．
		11週	ダイオード整流回路	構成，動作波形を理解し，出力電圧や電流の値を求めることができる．
		12週	サイリスタ整流回路	構成，動作波形を理解し，出力電圧や電流の値を求めることができる．
		13週	パワーエレクトロニクスの応用	モータドライブシステムへの応用を理解し，制御システムの座標変換について計算できる．
		14週	パワーエレクトロニクスの応用	モータドライブシステム（誘導機，同期機）への応用を理解し，ベクトル制御の原理を説明できる．
		15週	答案返却	答案返却
		16週

評価割合

	試験	発表	相互評価	態度	ポートフォリオ	その他	合計
総合評価割合	100	0	0	0	0	0	100
基礎的能力	0	0	0	0	0	0	0
専門的能力	100	0	0	0	0	0	100
	0	0	0	0	0	0	0