電気回路Ⅳ

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 電気回路Ⅳ
科目番号 0046 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 平山博,大附辰夫「電気学会大学講座 電気回路論 (3版改訂)」 (オーム社) / 平山博,大附辰夫「電気学会大学講座 電気回路論問題演習詳解」 (オーム社)
担当教員 屋地 康平

到達目標

1.RLC一端子対回路,RL一端子対回路ならびにRC一端子対回路のインピーダンス(アドミタンス)関数を求めることができる.
2.リアクタンス一端子対回路の共振点と反共振点を求めることができる.
3.グラフ,グラフの連結・非連結,節点と枝,ループ,木と補木について説明でき,回路図からグラフを,またグラフから接続行列をつくることができる.
4.与えられたグラフの双対グラフを求めることができる.与えられた回路の双対回路を求めることができる.
5.テブナンの定理またはノルトンの定理を用いて簡単な回路網の計算ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1標準的な到達レベルに加え, □RLC一端子対回路のインピーダンス(アドミタンス)関数は必ず正実有理関数になることを説明できる.□簡単なRLC一端子対回路,RL一端子対回路ならびにRC一端子対回路のインピーダンス(アドミタンス)関数を求めることができる.□簡単なRLC一端子対回路,RL一端子対回路ならびにRC一端子対回路のインピーダンス(アドミタンス)関数を求めることができない.
評価項目2標準的な到達レベルに加え, □部分分数分解・連分数展開を用いて,等価回路を求めることができる.□リアクタンス一端子対回路の共振現象と反共振現象を理解し,共振点と反共振点を求めることができる. □有理関数の極と零点の挙動を理解し,簡単なリアクタンス関数の概形を描くことができる.□リアクタンス一端子対回路の共振現象と反共振現象を理解できない.共振点と反共振点を求めることができない. □有理関数の極と零点の挙動を理解できない.簡単なリアクタンス関数の概形を描くことができない.
評価項目3□簡単な一端子対回路について,その逆回路を求めることができる.□簡単な一端子対回路について,その逆回路を求めることができない.
評価項目4□グラフ,グラフの連結・非連結,節点と枝,ループ,木と補木について説明でき,回路図からグラフを,またグラフから接続行列をつくることができる.□グラフ,グラフの連結・非連結,節点と枝,ループ,木と補木について説明できない.回路図からグラフをつくることができない.グラフから接続行列をつくることができない.
評価項目5標準的な到達レベルに加え, □回路理論において広く見られる双対性について説明できる.また,双対な術語を列挙できる. □相反定理の概念を理解し,説明できる.□与えられたグラフの双対グラフを求めることができる. □与えられた回路の双対回路を求めることができる.□与えられたグラフの双対グラフを求めることができない. □与えられた回路の双対回路を求めることができない.
評価項目6標準的な到達レベルに加え, □ループ解析・カットセット解析・節点解析・メッシュ解析の原理を理解し,1年生で学修した枝路電流法,節点電位法,メッシュ電流法の妥当性を説明できる.□テブナンの定理またはノルトンの定理を用いて簡単な回路網の計算ができる.□テブナンの定理またはノルトンの定理を用いて簡単な回路網の計算ができない.

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電気回路Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの続編として,一般線形回路理論と一端子対回路理論について学習します.
一般線形回路理論は,(電磁気学の基本定理を除いて)すべての電気回路において根源をなす理論であり,電気工学の多くの分野に応用されています.一端子対回路の理論は,駆動点インピーダンス(アドミタンス)の周波数特性を調べる上でなくてはならないものであり,電子回路工学,通信工学など多分野において応用されています.
教科書では,一般線形回路理論を先に学習することになっていますが,線形代数Aの進捗との兼ね合いで,一般線形回路理論を一端子対回路理論の後に回すことにしています.
授業の進め方・方法:
基本的にはテキスト「電気回路論」に沿って標準的な内容を授業するが,一部の内容は省略します.
宿題を課すことがあります.
理解状況を把握するため,別冊「問題演習詳解」の中から問題を選んで試験することがあります.
中間試験・期末試験とも実施します.
注意点:
理論の論旨,定理の意味など電気回路の根幹をなす部分については,できるだけ授業中に理解するようにしてください.
定期試験を受験するに当たっては,少なくとも別冊「問題演習詳解」は解けるようにしておいてください.
解らない点はできるだけ授業中に質問してください(あなたが難しいと感じた点は,他の人も同じように感じている可能性が高いと思います).

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1−1.第6章「一端子対回路」ガイダンス
1−2.有理関数の極と零点
□有理関数の極と零点を求めることができる.
2週 1−3.RLC一端子対回路のインピーダンス(アドミタンス)関数 □RLC一端子対回路のインピーダンス(アドミタンス)関数を求めることができる.
3週 1−4.リアクタンス一端子対回路の共振点と反共振点
1−5.リアクタンス関数とフォスタのリアクタンス定理
□リアクタンス一端子対回路の共振現象と反共振現象を理解し,共振点と反共振点を求めることができる.
□簡単なリアクタンス関数の概形を描くことができる.
□インピーダンス関数が与えられたとき,フォスタのリアクタンス定理を用いて回路の存在を判別できる.
4週 1−6.並列共振回路の直列接続回路
1−7.直列共振回路の並列接続回路
1−8.はしご形回路
□並列共振と直列共振の違いを数式を用いて説明できる.
□与えられたインピーダンス関数を部分分数分解し,これと等価な回路を,並列共振回路の直列接続和として求めることができる.
□与えられたアドミタンス関数を部分分数分解し,これと等価な回路を,直列共振回路の並列接続和として求めることができる.
□与えられたインピーダンス関数を連分数展開し,これと等価なはしご形回路を求めることができる.
5週 1−9.RL一端子対回路とRC一端子対回路 □RL一端子対回路とRC一端子対回路のインピーダンス(アドミタンス)関数を求めることができる.
6週 1−10.逆回路 □ 逆回路の概念を理解し,簡単な一端子対回路について,その逆回路を求めることができる.
7週 演習 □ここまでの内容の標準的な演習問題を解くことができる.
8週 2−1.第5章「一般線形回路網」ガイダンス
2−2.特定の回路の解析から一般化された回路網の理論へ
□集中定数,線形時不変の回路網とは何か説明できる.
□一般線形回路網理論とは,ある特定の回路ではなく,交流・直流問わず線形回路網全般に適用できる根幹をなす(プリミティブな)理論であることを理解でき.したがって8週から14週までの内容は,電気回路における最も重要な基礎理論であることを理解できる.
4thQ
9週 2−3.グラフの概念 〜回路の接続関係とグラフ〜
2−4.グラフのカットセットとキルヒホッフの電流則(KCL)
2−5.グラフのループとキルヒホッフの電圧則(KVL)
□グラフ,グラフの連結・非連結,節点と枝,ループ,木と補木について説明できる.
□回路図からグラフをつくることができる.
□グラフから接続行列をつくることができる.
□グラフのカットセットについて説明できる.
10週 2−6.KCL・KVLからテレヘンの定理へ
2−7.テレヘンの定理の具体例 〜エネルギー保存則(電力保存則)〜
□KCL・KVLからテレヘンの定理を説明できる.
□テレヘンの定理を用いて簡単な回路網の計算ができる.
11週 2−8.基本カットセットと基本ループ
2−9.双対グラフと双対回路
□基本カットセットと基本カットセット行列,基本ループと基本ループ行列について説明できる.
□平面グラフとオイラーの公式について説明できる.
□与えられたグラフの双対グラフを求めることができる.
□与えられた回路の双対回路を求めることができる.□複素数表示されたインピーダンスについて、周波数変化による軌跡を描くことができる.
12週 2−10.回路方程式の定式化と解析手法 □電流源と電圧源が分散した回路網について,これと等価な電圧源・電流源のみを持つ回路に変換できる.
□ループ解析・カットセット解析・節点解析・メッシュ解析の原理を理解し,1年生で学修した枝路電流法,節点電位法,メッシュ電流法の妥当性を説明できる.
13週 2−11.回路の双対性
2−12.相反定理
2−13.テブナンの定理とノルトンの定理
□回路理論において広く見られる双対性について説明できる.また,双対な術語を列挙できる.
□相反定理の概念を理解し,説明できる.
□1年生で学修したテブナンの定理とノルトンの定理が交直問わず線形回路網に適用できることを理解する.また,テブナンの定理またはノルトンの定理を用いて簡単な回路網の計算ができる.
14週 2−14.電力とエネルギー
演習
□2年生前期で学修した交流の複素電力を一般化した,一般線形回路網における電力を,テレヘンの定理を用いて求めることができる.
□ここまでの内容の標準的な演習問題を解くことができる.
15週 試験答案の返却・解説 試験において間違った部分を自分の課題として把握する.(非評価項目).
16週

評価割合

試験小テスト・レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000