電気電子工学実験Ⅲ

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電気電子工学実験Ⅲ
科目番号 0050 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 4
教科書/教材
担当教員 奥 高洋,佐藤 正知

到達目標

電子回路に用いられる種々の半導体素子や基本的な回路について,実際の素子を用いて特性を測定することにより,講義で学習した素子や回路,マイコンの動作原理を再確認してより理解を深める.また,各種計測器等の取り扱いに習熟し,さらに,基礎的な原理から導かれることを実験的に確かめる探究的、研究的な態度を身に着ける.以下の項目の修得を目標とする.
1. バイポーラトランジスタの特性を理解し,増幅回路の設計,解析ができる.
2. マルチバイブレータの回路構成と動作原理を理解し,回路素子と発振周期との関係を導出できる.
3. 微分回路,積分回路の動作原理を理解し,時定数とパルス幅の関係を解析できる.
4. I/Oの使い方,A/D変換の原理を理解し,組み込みマイコンの計測に応用できる.
5. 各種センサの特性を理解し,組み込みマイコンを用いた計測に応用し,各種データ処理ができる.
6. 実験から得られたデータについて工学的に考察し,レポートを作成できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1バイポーラトランジスタだけでなく,FETの特性を理解し,増幅回路の設計,周波数特性の解析ができる.バイポーラトランジスタの特性を理解し,増幅回路の設計,周波数特性の解析ができる.バイポーラトランジスタの特性を理解できず,増幅回路の設計,周波数特性の解析ができない.
評価項目2他の発信回路,パルス発生の回路構成と動作原理を理解し,理論的に回路素子と発振周期との関係を導出できる.各種マルチバイブレータの回路構成と動作原理を理解し,実験結果及び理論的に回路素子と発振周期との関係を導出できる.各種マルチバイブレータの回路構成と動作原理を理解できず,回路素子と発振周期との関係を導出できない.
評価項目3微分回路,積分回路の動作原理を理解し,パッシブフィルタの特性および関係を理論的に解析できる.微分回路,積分回路の動作原理を理解し,回路方程式を解いて,時定数とパルス幅の関係を解析できる.微分回路,積分回路の動作原理を理解できず,回路方程式を解いて,時定数とパルス幅の関係を解析できない.
評価項目4外部割り込みを用いたI/Oの使い方,A/D変換の使い方を理解し,組み込みマイコンの計測に応用できる.I/Oの使い方,A/D変換の原理を理解し,組み込みマイコンの計測に応用できる.I/Oの使い方,A/D変換の原理を理解できず,組み込みマイコンの計測に応用できない.
評価項目5他の様々なセンサの特性を理解し,組み込みマイコンを用いた計測に応用し,各種データ処理ができる.各種センサの特性を理解し,組み込みマイコンを用いた計測に応用し,各種データ処理ができる.各種センサの特性を理解し,組み込みマイコンを用いた計測に応用できない.また,各種データ処理ができない.
評価項目6実験から得られたデータについて,複数の視点に立ち,原理に基づいて工学的に考察し,レポートを作成できる.実験から得られたデータについて,原理に基づいて工学的に考察し,レポートを作成できる.実験から得られたデータについて,原理に基づいて工学的に考察したレポートが書けない.

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 1-b 説明 閉じる
本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる
本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 4-a 説明 閉じる

教育方法等

概要:
年次の電子回路Ⅰ・Ⅱ,電子工学,論理回路で修得する各種半導体素子の特性や各種回路の働きに関する基礎知識を,現実の素子を用いて実験的に確認し,4年次以降の電子系講義や実験に役立てる.
授業の進め方・方法:
単に測定を行って結果を得るという受け身の実験ではなく,この半導体素子や回路はどのような特性を持ち,どのような目的に使用されるかという予備知識をもって実験に臨むことが大事で,そのためには事前に実験指導書や参考書等に目を通して予習をし,十分な知識と考察力が身に着くように取り組む.また,安全に実験ができるよう心掛ける.
注意点:
実験報告書(レポート)では,十分な検討/考察を行い,期限内に提出することが必要であるとともに,「ねつ造,改ざん,盗用」等の不正行為をしないこと.また,必ず実習服を着用し,実験ノート,工具(ハンダゴテ,ペンチ類),グラフ用紙を持参 すること.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 実験への準備 実験室の設備,計測機器の取り扱い,安全な実験の取り組み方,レポートの書き方について理解し,実践できる.技術者の「ねつ造,改ざん,盗用」等の不正行為が,社会に及ぼす影響を理解し,実験においてどのようなことが不正行為に当たるかを説明できる.また,レポート作成等において不正行為とならないように注意できる.
2週 トランジスタ増幅回路の設計,組立
トランジスタの電流帰還バイアス増幅回路の回路構成, 特徴等を説明できる.
h-パラメータを用いて,(交流)等価回路を描ける.
トランジスタのI-V 特性グラフに負荷線および動作点を描いて素子値を決定し,設計できる.
3週 増幅回路の周波数特性 増幅回路は周波数特性を有し,低域および高域では電圧増幅度が低下する現象を測定し,低域および高域遮断周波数や帯域幅を算出できる.
電流帰還バイアス増幅回路における負帰還による安定動作の仕組みと,バイパスコンデンサの役割を説明できる.
増幅度に対して,低域でのカップリングコンデンサの影響 および 高域での配線浮遊容量やトランジスタの接合容量の影響を説明できる.
中域, 低域, 高域における増幅回路の交流等価回路を各々描き,それらを基に各帯域の動作量を導出できる.
4週 レポート作成指導 レポートのまとめ方,表やグラフの作成法,データ解析と考察の仕方,文献検索の方法等を習得し,実践できる.
5週 デジタルICの応用 非安定マルチバイブレータの回路構成と動作原理を理解し,回路素子と発振周期との関係を導出できる.
単安定マルチバイブレータの回路構成と動作原理を理解し,回路素子とパルス幅との関係を導出できる.
6週 微分回路・積分回路の測定 CR微分回路の回路構成,動作原理と特性を説明できる.
観測波形より,パルス幅と時定数とCR微分回路の動作状態との関係を説明できる.
CR積分回路の構成,動作原理と特性を説明できる.
観測波形よりパルス幅と時定数とCR積分回路の動作状態との関係を説明できる.
RL微分回路の回路構成と動作原理を説明できる.
7週 レポート作成指導 レポートのまとめ方,表やグラフの作成法,データ解析と考察の仕方,文献検索の方法等を習得し,実践できる.
8週 I/O機能応用実験 外部入力によるLEDの点灯実験を行い,I/Oを意図したように使用できる.
タイマー割り込みを用いたデジタル時計製作実験を行い,タイマー割り込みの概念を説明できる.
4thQ
9週 タイマー割込機能応用実験 ポーリングやタイマー割込によるプログラミングを行い,それらの原理を説明できる.
10週 レポート作成指導 レポートのまとめ方,表やグラフの作成法,データ解析と考察の仕方,文献検索の方法等を習得し,実践できる.
11週 A/D変換,PWM機能応用実験 A/D変換による電圧測定と測距センサの測定を行い,A/D変換の原理,量子化誤差を説明できる.
12週 通信機能応用実験 UART通信,I2Cを用いたジャイロセンサ,加速度センサの測定を行い,UART通信,I2C通信,ジャイロセンサ,加速度センサの原理を説明できる.
13週 レポート作成指導 レポートのまとめ方,表やグラフの作成法,データ解析と考察の仕方,文献検索の方法等を習得し,実践できる.
14週 レポート作成指導 レポートのまとめ方,表やグラフの作成法,データ解析と考察の仕方,文献検索の方法等を習得し,実践できる.
15週 レポート作成指導 レポートのまとめ方,表やグラフの作成法,データ解析と考察の仕方,文献検索の方法等を習得し,実践できる.
16週

評価割合

実験レポートその他合計
総合評価割合1000100
基礎的能力000
専門的能力1000100
分野横断的能力000