計測工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 計測工学Ⅱ
科目番号 0055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 [教科書] なし (講義資料を配付します) / [参考書] 講義中に紹介します
担当教員 屋地 康平

到達目標

1.数量と次元について基本的な内容を理解する.
2.記述統計の役割と手法について基本的な内容を理解する.
3.測定値のグラフ化の意義や手法,ならびに測定値の相関・回帰分析,時系列データの概要について基本的な内容を理解する.
4.主な離散型確率分布・連続型確率分布について基本的な内容を理解する.
5.主成分分析の役割と手法について基本的な内容を理解する.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1標準的なレベルに加えて,丸めの誤差の伝搬について理解し,丸め誤差を小さくするための四則演算ができる.量の抽象的な概念からスタートして,2つの量の順序関係を定めるには2つの量が同じ次元を持たなければならないことを,実例を挙げて説明できる.数量と次元について基本的な内容を理解している.数量と次元について基本的な内容を理解していない.
評価項目2標準的なレベルに加えて,記述統計学の役割について簡単に説明できる.記述統計の役割と手法について基本的な内容を理解している.記述統計の役割と手法について基本的な内容を理解していない.
評価項目3標準的なレベルに加えて,線形・片対数・両対数グラフ用紙の用途を実例を挙げて説明できる.論文やレポートに適したグラフ作成作法を理解している.論文やレポートに適したグラフ作成作法を理解している.因果関係と見かけ上の相関について理解し,実例を挙げて説明することができる.測定値のグラフ化の意義や手法について基本的な内容を理解している.測定値の相関・回帰分析,および時系列データの概要について基本的な内容を理解している.測定値のグラフ化の意義や手法について基本的な内容を理解していない.測定値の相関・回帰分析,および時系列データの概要について基本的な内容を理解していない.
評価項目4標準的なレベルに加えて,ベルヌーイの定理・中心極限定理の概要を説明できる.分散がわかっている正規母集団から抽出された標本平均があるとき,母平均の区間推定を,標準正規分布表を用いて求めることができる.主な離散型確率分布・連続型確率分布について基本的な内容を理解している.主な離散型確率分布・連続型確率分布について基本的な内容を理解していない.
評価項目5標準的なレベルに加えて,主成分分析の一連の流れを数式により導くことができる.具体的な応用例を挙げることができる.主成分分析の役割と手法について基本的な内容を理解している.主成分分析の役割と手法について基本的な内容を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
計測工学IIで履修する内容は,数学基礎論・統計学・線形代数・計量学・信号処理など広い分野から構成されます.これらを用いて,これから皆さんが,測定データの解析を行うための基礎となる部分を身につけます.応用先も幅広く,将来,実験・観測データを扱う多くの人にとって必携の内容です.
授業の進め方・方法:
講義内容が広い範囲にわたるため,ちょうどよい教科書が見つかりません.代わりに,講義資料に沿って授業を進めることにします.宿題を課すことがあります.演習の時間を設けるようにします.
注意点:
理論の論旨,定理の意味など電気回路の根幹をなす部分については,できるだけ授業中に理解するようにしてください.
自宅では,練習問題を解いたり,授業の予習復習を行うなど自主的に取り組んでください.
解らない点はできるだけ授業中に質問してください(あなたが難しいと感じた点は,他の人も同じように難しいと感じている可能性が高いと思います).

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 数,二進法,不確かさと有効数字,丸め □自然数・整数・有理数・無理数・実数・複素数の包含関係を理解し,夫々の数の特徴について実例を挙げて説明することができる.
□数の表記法としての二進法の役割を理解する.実例として二進法・十進法・十六進法の特徴を説明することができる.これらを相互に変換できる.
□測定の不確かさと有効数字の意味と特徴を理解するとともに,JIS規格に準拠して数値を丸めることができる.
2週 量,次元,単位系 □物理量の次元の意味を理解し,いくつかの代表的な物理量の次元を求めることができる.
□国際単位系の重要性について,基本量と組立量,基本単位と組立単位の役割に触れながら説明できる.
3週 アナログ信号とディジタル信号,A/D変換とD/A変換 □アナログ信号とディジタル信号の特徴を理解するとともに,これらの実例を挙げて説明できる.
□A/D変換とD/A変換の役割について概略説明できる.
4週 測定値の統計的処理(記述統計学の基礎) □平均・メディアン・モードの意味を理解し,計算することができる.
□分散・標準偏差,標準誤差,変動の幅の意味を理解し,計算することができる.
□ヒストグラムの形と統計量の関係を理解する.
5週 測定値のグラフ化 □多種多様の2次元線図の中で,代表的なものを挙げることができる.
□線形・片対数・両対数グラフ用紙の特徴を理解し,物理現象に応じたグラフ用紙を選ぶことができる.夫々のグラフ用紙の上に簡単な関数の曲線を描くことに加えて,与えられた測定データから近似曲線のパラメータを求めることができる.
6週 測定値の相関と回帰,時系列データ □2変数の相関分析について,共分散とピアソンの積率相関係数を求めて相関の強さを説明することができる.
□2変数の回帰分析の概要を理解し,最小二乗法による回帰直線を求めることができる.
□時系列データ,および移動平均の概要を理解する.
7週 演習 □ここまでの内容の標準的な問題を解くことができる.
8週 離散型の確率分布:二項分布・ベルヌーイ分布 □確率変数と確率分布の考え方,ならびに離散型と連続型の確率分布の違いを理解する.
□試行と事象,確率について説明できる.
□ベルヌーイ試行の要件を示し,代表的な離散型確率分布のひとつである二項分布とベルヌーイ分布の期待値と分散を計算できる.
4thQ
9週 連続型の確率分布:正規分布 □確率密度関数・累積密度関数の概要と互いの関係について説明できる.
□代表的な連続型確率分布である正規分布の概要を理解し,確率密度関数,累積密度関数の概形を描くことができる.期待値,分散,標準偏差を数式で表すことができる.
10週 連続型の確率分布:正規分布 □与えられた正規分布を標準化することにより,標準正規分布を求めることができる.
□母平均・母分散,ならびに無作為標本について説明できる.
□母分散・不偏分散・標本分散の違いを理解する.
11週 連続型の確率分布:カイ二乗分布 □標準化された誤差の二乗和が自由度kのカイ二乗分布に従うことを理解する.
□カイ二乗分布の確率密度関数の概形を描くことができる.
□Γ関数の定義と最も基礎的な特徴を理解する.
12週 連続型の確率分布:t分布 □不偏分散を用いて標準化された正規分布の確率変数が自由度kのt分布に従うことを理解する.
□t分布の確率密度関数の概形を描くことができる.
13週 主成分分析 □データ行列の標準化・相関行列の生成・固有値分解・主成分の選定を通して,主成分分析は,線形代数の固有値問題に帰着されることを理解する.
14週 演習 □ここまでの内容の標準的な問題を解くことができる.
15週 まとめ □試験において間違った部分を自分の課題として把握する(非評価項目).
16週

評価割合

試験レポート授業態度合計
総合評価割合70300100
基礎的能力0000
専門的能力70300100
分野横断的能力0000