電磁気学Ⅳ

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電磁気学Ⅳ
科目番号 0086 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 安立三郎、大貫繁雄「電磁気学」(森北出版)/自作のスライド
担当教員 田中 郁昭

到達目標

1.磁性体の基本的性質を理解し、磁気回路におけるオームの法則について説明できる(具体的に 空隙をもつ鉄芯磁気回路などの磁束密度などを計算できる)。
2.強磁性体のもつ非線形性やヒステリシス特性を踏まえて磁気回路の磁束密度を計算できる。また、磁気エネルギーと磁束密度の関係から磁性体に働く力を計算できる。
3.変位電流の概念を加えたアンペアの法則、電界・磁界におけるガウスの法則、ファラデーの電磁誘導の法則の物理的な意味を理解し、これらより微分形のマクスウェル方程式を導出できる。
4.マクスウェル方程式から自由空間の波動方程式を導出し、その解の性質を説明できる。また空間中の電磁波エネルギーの流れ(ポインティングベクトル)を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1標準到達レベルに加え、ダブルヨークなど 様々な形状の磁気回路を等価回路で表し、回路内の磁束密度を計算できる。磁性体の基本特性や磁気回路の考え方を理解できる。また、当該回路を等価回路で表し、回路中の磁束密度を計算できる。磁性体の基本特性や磁気回路の考え方が理解できない。また 簡単な磁気回路を等価回路で表すことができない。
評価項目2標準到達レベルに加え、磁気エネルギーと磁束密度の関係から磁性体に働く力を計算できる。また、ヒステリシス特性と電力損との関係を説明できる。強磁性体のもつ非線形性やヒステリシス特性のグラフを理解し、磁気回路中の磁束密度を計算できる。強磁性体のもつ非線形性やヒステリシス特性のグラフを理解できない。
評価項目3標準到達レベルに加え、発散や回転などのベクトル解析を実行できる。変位電流を加えたアンペアの法則、電界・磁場に関するガウスの法則、ファラデーの電磁誘導の法則の物理的意味を理解し、それらから微分形のマクスウェル方程式を導出できる。変位電流を加えたアンペアの法則、電界・磁場に関するガウスの法則、ファラデーの電磁誘導の法則の物理的意味について説明できない。
評価項目4標準到達レベルに加え、電波通信における電磁波発生のメカニズムを説明できる。マクスウェル方程式から自由空間の一次元波動方程式を導出でき、その解の特性について説明できる。また、波動インピーダンスやポインティングベクトルについて説明できる。マクスウェル方程式から自由空間における一次元波動方程式を導出できない。また、電磁波の特性を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育プログラムの学習・教育到達目標 3-1 説明 閉じる
本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-a 説明 閉じる
本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電磁気学Ⅰ~Ⅲをベースにしながら、強磁性体に関する磁気回路の考え方や電磁波の特性について学習する。また、各種法則の中の数学的記述、即ち「発散や回転」などのベクトル解析やベクトル場における微積分についても学習する。
授業の進め方・方法:
・講義30分→演習20分→採点10分→解説・質問30分を目安に授業を進める。
・電場と磁場の理論体系には数多くに類似点があることから、それらを対比させながら物理現象を説明する。
・電磁場を取り扱うためにはベクトル解析やベクトル場の知識が必要である。必要に応じてこれらについても解説する。
注意点:
・各種法則が表す公式において、その物理的なイメージをもつことが重要である。
・公式の導出および数値計算については、必ず自分の手を動かすことが重要である。
・本科目は、中間試験を実施する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 物質の磁気的性質 磁化現象とその発生の仕組み、磁化の強さ、磁化率と透磁率の関係を理解し、各種磁性体内部の状態や特性を説明できる。
2週 物質の磁気的性質
磁性体境界面での磁界や磁束密度の境界条件を導き、その条件から界面における磁力線の屈折の式を導出できる。
3週 磁気回路 磁気回路と電気回路の類似性を理解し、空隙をもつ磁気回路内の磁束密度を計算できる。
4週 磁気回路 鉄心トランスで構成された磁気回路を等価回路図で表しながら鉄心内部の磁束密度を計算できる。
5週 強磁性体 磁化曲線のもつ非線形性とヒステリシス特性を理解し、軟磁性、硬磁性について説明できる。また、強磁性体の磁化曲線より、その非線形性を考慮した磁気回路内の磁束密度を計算できる。
6週 磁界エネルギーと磁性体に働く力 ソレノイドの磁気エネルギーを理解し、空間と磁性体の単位体積当りに蓄えられる磁気エネルギーを計算できる。また、磁性体の界面に働く力からマクスウェル応力を導出できる。
7週 磁界エネルギーと磁性体に働く力 電源を供給された磁気回路において、その時に生じる力を仮想変位より導出できる。また、ヒステリシス曲線で囲まれた面積が電力損(鉄損)であることを理解し、その損失を計算できる。
8週 中間試験 1週~7週までの到達度を確認する。
4thQ
9週 変位電流、電荷量保存の法則 変位電流を電荷量保存則の観点から導出し、その物理的な意味を説明できる。
10週 Maxwell方程式 電界と磁界に関するガウスの法則、変位電流を加えたアンペアの法則、ファラデーの電磁誘導の法則について物理的な意味を説明できる。また、これらより微分形のマクスウェル方程式を導出できる。
11週 Maxwell方程式 マクスウェル方程式から自由空間の一次元波動方程式を導出できる。また、この際に用いるベクトル解析(発散・回転)の物理的な意味を説明できる。
12週 電磁波と波動方程式 電場と磁場の各波動方程式を用いて電場と磁場の直交性や波動インピーダンスについて説明できる。
13週 平面波と電磁波の伝播 自由空間での波動方程式における一般解(平面波)の特性について説明できる。
14週 Poyntingベクトル 自由空間の電磁波エネルギーの流れを表すポインティングベクトルを導出できる。
15週 試験答案の返却・解説 期末試験において間違った部分を見直し理解する(非評価項目)
16週

評価割合

試験小テスト等合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000