半導体工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 半導体工学Ⅰ
科目番号 0094 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 「改訂半導体素」 著者:石田 哲郎,清水 東  出版社:コロナ社
担当教員 奥 高洋

到達目標

半導体や半導体デバイスの基本的事項を習得することを目標とする.電子や原子等の基本的性質を理解し,金属や半導体の物性の理解に役立てるとともに,半導体の基本的性質を理解し,pn 接合の特性やトランジスタの動作原理等を説明できることを目指す.具体的には,以下に掲げる5つを目標とする.
1.電子の性質に関する各種物理量やエレクトロンボルト等の定義を説明でき,単位換算等の計算ができる.
2.パウリの排他律を理解した上での原子の電子配置やボーアモデルに基づく原子構造を説明できる.
3.固体構造等に関して,結晶やエネルギーバンドの形成を説明できる.半導体においては,フェルミ・ディラック分布と状態密度に基づいてキャリア密度を算出することができる.
4.真性半導体と不純物半導体をエネルギーバンド図で説明でき,半導体中のキャリアの振舞に関する特徴的なパラメータについて算出できる.
5.pn接合ダイオード(半導体デバイス)の構造を理解し,その動作原理をエネルギーバンド図を用いて説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電子の性質に関して,エネルギーを波長や温度等に換算できる.電子の性質に関する各種物理量やエレクトロンボルトの定義等を説明できる.電子の性質に関する各種物理量やエレクトロンボルトの定義等を説明できない.
評価項目2ボーアモデルを理解し,原子構造における量子的なエネルギーや軌道半径等を求めることができる.パウリの排他律 及び 4つの量子数を理解し,原子の電子配置を説明できる.原子の電子配置を説明できない.
評価項目3フェルミ・ディラック分布と状態密度に基づいて,半導体のキャリア密度等を算出することができる.結晶やエネルギーバンドの形成を説明できる.結晶やエネルギーバンドの形成を説明できない.
評価項目4少数キャリア注入時におけるキャリアの振舞(少数キャリア連続の式)について理解し,注入キャリアの平均寿命や拡散距離等を算出できる.真性半導体と不純物半導体をエネルギーバンド図で説明でき,移動度やドリフト速度等を算出できる.真性半導体と不純物半導体をエネルギーバンド図で説明できず,移動度等についても算出できない.
評価項目5pn接合ダイオードにおける内蔵電界の形成過程を理解し,拡散電位を算出できる.pn接合ダイオード(バイアスなし時)をエネルギーバンド図で説明できる.pn接合ダイオードをエネルギーバンド図で説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育プログラムの学習・教育到達目標 3-3 説明 閉じる
本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
低学年次の電子基礎系科目での履修内容についての理解を,バンド図や数式を用いて深く掘り下げる.
授業の進め方・方法:
講義形式を基本とする.常に結晶内の電子のエネルギー状態を念頭において電子の振る舞いをイメージ的に掴み,電子の性質,原子や固体の構造,金属や半導体ならびに半導体デバイスを理解する.なお,本科目では中間試験および期末試験を実施する.
注意点:
授業項目についての予習・復習はもちろん,レポート等の課題に取り組むなどして,毎回60分以上の自学自習必要である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子の性質 電子の電荷量や質量,エレクトロンボルトの定義等を説明でき,単位換算等の計算ができる.
2週 原子の構造① 原子の構造を説明できる.
3週 原子の構造② パウリの排他律を理解し,原子の電子配置を説明できる.
4週 原子の構造③ パウリの排他律を理解し,原子の電子配置を説明できる.
5週 固体の構造と,金属と半導体の違い① 結晶やエネルギーバンドの形成を説明できる.
金属と絶縁体の違いを,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
6週 固体の構造と,金属と半導体の違い② フェルミ・ディラック分布と状態密度を理解し,キャリア密度等を算出することができる.
7週 固体の構造と,金属と半導体の違い③ フェルミ・ディラック分布と状態密度を理解し,キャリア密度等を算出することができる.
8週 半導体① 真性半導体と不純物半導体を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
2ndQ
9週 半導体② 真性半導体と不純物半導体を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
10週 半導体③ 半導体中のキャリアの振舞について,ドリフト(移動度等)や拡散(平均寿命,拡散距離等),再結合について説明できる.
11週 半導体④ 半導体中のキャリアの振舞について,ドリフト(移動度等)や拡散(平均寿命,拡散距離等),再結合について説明できる.
12週 半導体⑤ 半導体中のキャリアの振舞について,ドリフト(移動度等)や拡散(平均寿命,拡散距離等),再結合について説明できる.
13週 pn接合ダイオード(半導体デバイス)① pn接合の構造を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
14週 pn接合ダイオード(半導体デバイス)② pn接合の構造を理解し,エネルギーバンド図を用いて説明できる.
15週 試験答案の返却・解説 試験において間違った部分を自分の課題として把握する(非評価項目).
16週

評価割合

試験レポート / 演習等合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000