制御工学

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 制御工学
科目番号 0098 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義・演習 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 田中 正吾「制御工学の基礎」(森北出版),補助教材としてプリントを配布する。
担当教員 逆瀬川 栄一

到達目標

1.様々な電気回路のブロック線図を描き伝達関数を導出できる。
2.ラプラス逆変換を使って様々な入力に対する過渡応答を計算できる。
3.様々な制御要素のベクトル軌跡およびボード線図が描ける。
4.様々な制御系の安定判別と安定余裕の設計ができる。
5.様々な制御系の定常偏差を設計できる。
6.様々な制御系の位相補償ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
はしご形回路やDCモータなどの回路について伝達関数を導出できる。簡単なRCフィルタ回路の伝達関数を導出できる。簡単なRCフィルタ回路の伝達関数を導出できない。
二次系以上の伝達関数について,インパルスまたはステップ入力に対する応答を逆ラプラス変換により計算できる。一次遅れ系の伝達関数について,ステップ入力に対する応答を逆ラプラス変換により計算できる。一次遅れ系の伝達関数について,ステップ入力に対する応答を逆ラプラス変換により計算できない。
三次系以上の制御系について,重ね合わせの理論を使ってボード線図を描ける。一次遅れ系,二次系の伝達関数について,ベクトル軌跡,ボード線図を描ける。一次遅れ系,二次系の伝達関数について,ベクトル軌跡,ボード線図を描けない。
ナイキスト法(ベクトル軌跡)により安定判別を行い,安定余裕についてボード線図との関係を説明できる。3次系以上の制御系について,ラウス法とナイキスト法により,安定判別ができる。また,安定余裕を求められる。3次系以上の制御系について,ラウス法とナイキスト法により,安定判別ができない。
制御系の型と入力の関係で決まる定常偏差の式を導出し,定常偏差をゲイン補償により設計できる。定常偏差が残る理由を過渡応答と対応させ説明できる。制御系の型と入力の関係で決まる定常偏差の式を導出し,定常偏差をゲイン補償により設計できる。制御系の型と入力の関係で決まる定常偏差の式を導出できない。
制御系の仕様が3つ以上(安定性,定常偏差,過渡特性)ある場合に,位相進み遅れ補償を行える。位相遅れ進み補償とPID補償との関係を説明できる。制御系の設計仕様が2つ以上ある場合,位相補償が必要であることを説明できる。位相遅れ補償,位相進み補償を行える。制御系の設計仕様が2つ以上ある場合,位相補償が必要であることを説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育プログラムの学習・教育到達目標 3-3 説明 閉じる
本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
微積分、複素数、ベクトル図、ラプラス変換などの数学的知識や、電気回路の知識が必要である。
 第二種電気主任技術者の資格取得(所定科目の単位を取得し、卒業後5年以上実務経験が必要)を希望する者は必修。
授業の進め方・方法:
制御理論の基礎となるラプラス変換についての理解を深め、伝達関数やブロック線図などの自動制御に関する基礎知識を習得し、さらにステップ応答や周波数応答、安定判別などの制御系設計技術に適応できる能力を養う。
注意点:
教科書や適宜配布するプリントを用いて、予習・復習を十分に行うこと。また、講義の内容をよく理解するために、毎回、予習や演習問題等の課題を含む復習として、60分以上の自学自習が必要である。疑問点があれば、その都度質問すること。〔授業(90分)+自学自習(60分)〕×30回

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 自動制御の基礎 自動制御の基本的な考え方を説明できる。
2週 モデリング 電気回路について,微分方程式を用いて入力と出力に関する式を立てることができる。
3週 ラプラス変換 関数のラプラス変換を定義から導出できる。ラプラス変換の公式で電気回路の伝達関数を導出できる。
4週 伝達関数 畳み込み積分で伝達関数を導出できる。フィードバック結合が複数あるブロック線図の伝達関数を導出できる。
5週 ブロック線図 ブロック線図の直列・並列・フィードバック結合等の等価変換ができる。
6週 ブロック線図 DCモータにモデリングを適用し,ブロック線図を描き,伝達関数を導出できる。
7週 ブロック線図 RCフィルタ,RCはしご回路等のブロック線図を描き,伝達関数を導出できる。
8週 周波数応答 比例・積分・微分・1次遅れ要素などのボード線図を描ける。折点周波数と周波数帯域について説明できる。
2ndQ
9週 周波数応答 伝達関数のボード線図を近似により描ける。
10週 周波数応答 2次系の伝達関数を導出し、減衰定数、固有角周波数を説明できる。2次系のボード線図が描ける。
11週 周波数応答 閉ループ伝達関数からMp指標を設計できる。
12週 PID制御と周波数特性 PID制御の最適パラメータ調整法を説明できる。PD制御,PI制御のボード線図を描ける。
13週 PID制御と周波数特性 PID制御のボード線図を描ける。
14週 PID制御と周波数特性 位相補償回路のボード線図を描ける。
15週 試験答案の返却・解説 試験答案の返却・解説
16週
後期
3rdQ
1週 過渡応答 ラプラス逆変換の計算ができる。
2週 過渡応答 インパルス応答,ステップ応答などの時間応答とその安定性との関係を説明できる。
3週 フィードバックの意義と効果 開ループ系と閉ループ系の過渡特性からフィードバックの効果を説明できる。
4週 ベクトル軌跡 比例・積分・微分・1次遅れ・むだ時間要素などの基本的要素のベクトル軌跡を描ける。
5週 ナイキストの安定判別 ナイキストの方法で安定判別ができる。
6週 根軌跡法 根軌跡法について説明でき,簡単な伝達関数の根軌跡が描ける。
7週 安定余裕 安定余裕(ゲイン余裕、位相余裕)をベクトル軌跡およびボード線図で理解し、計算できる。
8週 安定余裕 安定余裕(ゲイン余裕、位相余裕)をベクトル軌跡およびボード線図で理解し、計算できる。
4thQ
9週 ラウスの安定判別法 ラウスの安定判別法(基本)の計算ができる。
10週 ラウスの安定判別法 ラウスの安定判別法(特殊)の計算ができる。
11週 定常特性 定常偏差と制御系の型の関係を説明できる。
12週 定常特性 定常位置偏差、定常速度偏差を設計できる。
13週 モータドライブの制御系設計 ブラシレスモータの速度制御系についてボード線図を用いた設計法を理解できる。
14週 位相進み補償回路の設計 ボード線図を用いて位相進み補償を設計できる。
15週 試験答案の返却・解説 試験答案の返却・解説
16週

評価割合

試験レポート相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力0000000
専門的能力90100000100
分野横断的能力0000000