都市計画

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 都市計画
科目番号 0076 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 都市環境デザイン工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 都市計画,コロナ社,平田登喜男 他4名/授業時配布プリント
担当教員 内田 一平

到達目標

1.国土計画から建築計画に至る計画対象の相違を踏まえ、都市計画の担う役割を説明できる
2.都市建設・都市計画の歴史的潮流の変化と現代の都市計画への影響が説明できる
3.都市計画の決定手続きを住民参加/住民参画の視点も踏まえて説明できる
4.土地利用誘導に関する各制度において、目的・役割・制度内容を説明でいる
5.施設配置計画について公園施設を事例として取り上げ、配置計画を立案ことができる
6.市街地開発事業(区画整理・再開発)の目的・開発手法・権利変換方法を説明できる
7.地区計画について主だったメニューと、他の都市計画制度で実現できない理由を説明することができる
8.現状および将来の都市の課題を認識し、将来に向けた都市計画の取り組みを説明できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 国土計画から建築計画に至る計画対象の相違を踏まえ、都市計画の担う役割を説明できるスケールの違う各種計画と都市計画の関係性を説明できる 都市問題でも現行都市計画が是正できない点があることを事例を示して説明できるスケールの違いにより計画対象が異なる認識しつつ、都市計画法第1条から3条の内容を踏まえ都市計画の担う役割を説明できるスケールの違いにより計画対象が異なる認識がない 都市計画により実現できる施策範囲の認識がない
評価項目2 都市建設・都市計画の歴史的潮流の変化と現代の都市計画への影響が説明できる田園都市論と大ロンドン計画以外にも代表的な都市論や有名な計画について説明できる田園都市論と大ロンドン計画について、その概要(背景・目的・施策)を説明できる田園都市論または大ロンドン計画について、その概要(背景・目的・施策)を部分的にしか説明できない
評価項目3 都市計画の決定手続きを住民参加/住民参画の視点も踏まえて説明できる公聴会や意見書が計画案の変更につながる可能性があり、より適した計画に成りえることも認識している都市計画の決定手続きにおける各行程の名称が分かれば、住民参加/住民参画の行程位置を指摘しつつ、各行程の関係性と全体フローを示すことができる計画決定手続きにおける各行程の概要を説明することができない 計画決定手続きのフローを示すことができない
評価項目4 土地利用誘導に関する各制度において、目的・役割・制度内容を説明でいる土地利用規制の各制度の関係性を踏まえつつ、土地利用誘導の方法を説明できる土地利用誘導に関する各制度において、それぞれ目的・役割・制度内容について整合性をもって説明でいる土地利用誘導に関する各制度において、それぞれ目的・役割・制度内容を部分的にしか説明できない
評価項目5 施設配置計画について公園施設を事例として取り上げ、配置計画を立案ことができる住区基幹公園並びに都市基幹公園における整備目標を示すことができ、その整備目標を基に実際の都市に住区基幹公園の配置計画を立案できる住区基幹公園並びに都市基幹公園における整備目標を示すことができ、その整備目標を基に仮想都市に住区基幹公園の配置計画を立案できる住区基幹公園並びに都市基幹公園における整備目標を示すことができない 配置計画の方法論を認識していない
評価項目6 市街地開発事業(区画整理・再開発)の目的・開発手法・権利変換方法を説明できる右の事柄を踏まえ、対象となる区域の特性も加味しながら、区画整理事業と市街地再開発事業のどちらの事業により開発すると良いか判断できる市街地開発事業(区画整理・再開発)の目的・開発手法・権利変換方法をそれぞれ整合性のある説明ができる区画整理事業を目的・開発手法・権利変換方式の観点で部分的にしか説明できない 市街地再開発事業を目的・開発手法・権利変換方式の観点で部分的にしか説明できない
評価項目7 地区計画について主だったメニューと、他の都市計画制度で実現できない理由を説明することができる目指すべき地区の将来像や地区の方向性に対して、地区計画に盛り込むことができるメニューから適したメニューを選定できる地区計画制度の目的を認識しつつ、実際の地区計画で用いられたメニューおよびそのメニューが採用された理由を説明できる地区計画制度の目的を説明できない 実際の地区計画で用いられたメニューおよびそのメニューが採用された理由を説明できない
評価項目8 現状および将来の都市の課題を認識し、将来に向けた都市計画の取り組みを説明できる3つ以上の問題意識に対して、現状および将来の都市の課題を認識し、将来に向けた都市計画の取り組みを説明できる1つ以上の問題意識に対して、現状および将来の都市の課題を認識し、将来に向けた都市計画の取り組みを説明できる1つの問題意識に対して、現状および将来の都市の課題を認識し、将来に向けた都市計画の取り組みを説明できない

学科の到達目標項目との関係

本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3 説明 閉じる
本科(準学士課程)の学習・教育到達目標 3-c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
人間が都市生活を営むために必要とされる4つの基本的要素(住・働・憩・動)に対して,十分な機能を持ち,同時に満足できる環境を創造していく土地利用規制・都市施設整備・開発行為・地区計画の技術的方法とそれを実現していく手順を認識し,下記に記載した建設系の開発型技術者として必要な都市計画に関する基礎的な知識の習得を目標とする。(授業(90分)+自学自習(60分))×30回
授業の進め方・方法:
都市計画について初めて学ぶ当科目は、都市計画に係わる基本的な知識を修得することを念頭におくため、主に講義形式で実施する。しかし、講義中は多くの質問を学生諸君に投げかける。その問には積極的に解答してもらいたい。
注意点:
かなり広範囲にわたる内容のため,プリントではその日の理解すべき主な内容の要約を示す。テレビや新聞などの具体的な記事を授業中に紹介するが,皆さんも日々上記メディアを通じて情報を入手しておくこと。
また、複数題の課題レポートを予定しているが、課題内容について情報を適宜収集し、ルールに則って提出すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 序論 都市の定義・立地場所・多角的な都市の分類方法を理解し,説明できる。
都市計画の概略をもとに都市計画を行う目的を理解し,説明できる。
スケールごと(国土,都市,地域,地区,街区,敷地)計画の相違を認識できる。
2週 都市計画の歴史と思想(ロンドン編) 産業革命による都市の変化(人口流入,工場および通勤の誕生)と低賃金労働者の居住環境を理解し,エベネザー・ハワードやロバート・オウエンによる理想都市と居住環境改善について説明できる。
3週 都市計画の歴史と思想(ローマ編) 建築物や都市構成物に対してルネサンスの開花がもたらした「美」の要素について理解し,概略を説明できる。
4週 都市計画の歴史と思想(パリ編) ナポレオンらによる都市改造と古典主義的な三層構造による統制の取れた街並みの構築,および街並みや建築物のシンメトリー構造について理解し,概略を説明できる。
5週 都市計画の歴史と思想(東京編) 明治維新後の西洋文化導入による都市と建築物の変化,関東大震災による建築物の構造・材料への変化,戦災からの復興と高度経済成長期の都市成長について理解し,概略を説明できる。
時代背景により起因する都市問題と都市計画法の関係について認識する。
6週 都市計画の歴史と思想(都市計画家編) 300万人都市(ル・コルビジェ),ラドバーンシステム(クラレンス・スタイン),近隣住区論(アーサー・ペリー)について概要を説明できる。
7週 都市計画の立案と実施 都市計画の行程通じ,論理的に実行される計画段階を理解し,手順を説明できる。(国土計画、国土利用計画、区域区分マスタープラン、市町村マスタープラン、住宅地計画などを対象とする)
8週 都市計画の立案と実施 実際の都市計画の決定と実施における諸問題を,事例を元に説明できる。
2ndQ
9週 土地利用計画 都市計画区域・準都市計画区域の目的と成り立ちを理解し,説明できる。
土地利用規制に関する区域区分制度の意義と内容を理解し,説明できる
土地利用規制に関する開発許可制度の意義と内容を理解し,説明できる。
10週 土地利用計画 地域地区制(21地区)について,指定される地区特性を説明できる。
美観地区および風致地区において,各種建築制限がかけられることを理解している。
11週 土地利用計画 防火地域および準防火地域において,準耐火建築物・耐火建築物にする必要性を理解している。
伝統的建造物群保存地区において各種建築制限がかけられることを理解している。
特例容積率適用地区,高層住居誘導地区,高度地区および高度利用地区において,建築制限がかけられることを理解している。
12週 土地利用計画 用途地域による建物用途規制と付随する容積率・建蔽率・斜線制限など建築物の集団規定の意義と内容を理解し,説明できる。
13週 土地利用計画 ある制約条件(容積率・建蔽率・前面道路幅員・用途地域・敷地形態など)をもとに建築可能範囲や規模の算定ができる。
14週 まちづくりに関する現状と課題 コンパクトシティの概念(日本と諸外国の相違点)を理解し、高齢化社会とまちなか居住(住みやすさの追求))を理解し,構成要素および将来都市像を説明できる。
15週 試験答案の返却・解説
16週
後期
3rdQ
1週 緑地・公園・都市景観
ケビン・リンチの景観5要素について,説明できる。
鹿児島市で策定された景観計画を通じて計画内容を把握すると共に,眺望景観や色彩規制が建築物に与える影響を説明できる。
都市構成物に対するデザイン性の向上が望まれる理由を認識し,都市景観の向上の重要性を思う素養を養う。
2週 緑地・公園・都市景観 都市における緑地・公園の意義を理解し,説明できる。
都市公園の種類と整備目標を理解し,公園整備計画に関して簡単な配置計画を実行できる。
3週 都市環境の保全と都市災害の防止 都市に関する環境保全を理解し,その手法を取り上げることができる。
4週 都市環境の保全と都市災害の防止 災害(火災・地震・水害)に強い都市・街区・建築物を理解し,その手法を取り上げることができる。
5週 市街地(再)開発計画 用地買収方式と土地区画整理方式の相違点を認識し,説明できる。
面的整備である市街地開発を理解し,換地・換地処分・保留地などの用語を使用して説明できる。
6週 市街地(再)開発計画 面的整備である市街地再開発事業を理解し,立体換地・保留床などの用語を使用して説明できる。
事業前後の比較において,事後の建築物の床面積の増加理由を説明できる。
7週 市街地(再)開発計画 鹿児島県内の事例をもとに、(再)開発計画の前後で、道路配置・前面道路幅員・敷地形状・建築物制限と形態の相違を認識し,事業の意義を説明できる。
8週 地区計画 都市計画では実現できない地区計画の意義を理解し、概説できる。
地区計画制度を用いた計画類型7タイプの特徴と主な目的を説明できる。
4thQ
9週 地区計画 特に一般型・街並み誘導型・環境形成型・誘導容積型を取り上げ,建築物の用途や形態・意匠の制限などが適用できることを理解する。
10週 地区計画 鹿児島市における地区計画の実例(区画整理事業適用地を含む)に建築物などに対する計画内容を認識し,地区計画の有効性を説明できる。
建築協定と地区計画の相違点を理解し、説明できる。
11週 まちづくりに関する現状と課題
住宅政策の変遷を理解し、住居形態に対する影響を説明できる。
今日的な住宅問題について理解し,説明できる。
12週 まちづくりに関する現状と課題 地方都市における中心商業地の状況を理解し,鹿児島県内で取り組まれている空き店舗の利活用方策を説明できる。
13週 まちづくりに関する現状と課題 郡上八幡を事例に水に的を当てたまちづくりと、空き家所有者に負担の少ないリノベーション方策について理解し、説明できる。
14週 まちづくりに関する現状と課題 知覧や飫肥を事例に重要伝統的建造物群保存地区により街並みを維持する仕組みを理解し、説明できる。
15週 試験答案の返却・解説
16週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000