技術と社会のかかわり

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 技術と社会のかかわり
科目番号 0023 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 須田 隆夫,保坂 直之,坂元 真理子,枦 健一,玉利 陽三

到達目標

科学技術の歴史と地理的な広がりの理解を基礎として、現代社会と科学技術の相互作用に対する理解を深め、技術者に求められる倫理感と使命感を身に付けることを目標とする。以下の到達目標が評価項目となる。
1.電磁気学の歴史とその現代社会での応用についての学習を通して、新しい技術が社会に与える影響について議論できる。
2.EMCの歴史と理論について学習し、現代社会においてその必要性を議論できる。
3.グローバル化が企業や技術者にもたらす影響と、技術者の社会的責任について意見をまとめ発表・議論することができる。
4.電気電子産業を例にとり、グローバル化とイノベーションの意味を学習する。さらに「破壊的イノベーション」等のイノベーション理論の学習も通して、社会とのかかわりから工学技術におけるイノベーションについて考察できるようになる。
5.日本と欧州の価値観の違いを理解し、それを踏まえて社会的圧力の中で技術者の良心をどのように守ることができるかを議論できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1標準的な到達レベルに加え、独自に調査した事例等から新たな視点を見出し、意見を纏めることができる。電磁気学の法則の発見からコンピュータならびにインターネットの誕生までの歴史について学習し、それらの発見、発明ならびに新しい技術が社会に与える影響について議論できる。電磁気学の法則とコンピュータやインターネット等の技術との関連性を説明できない。
評価項目2標準的な到達レベルに加え、独自に調査した事例等から新たな視点を見出し、意見を纏めることができる。EMCの概要を学習し、その歴史と技術革新が進む中で社会的になぜ必要な技術なのか議論できる。EMCを説明できない。またEMC技術と社会との関連性を説明できない。
評価項目3標準的な到達レベルに加え、独自に調査した事例等から新たな視点を見出し、意見を纏めることができる。グローバル化による社会の変化が日本の企業や技術者にもたらす影響とその功罪について地球的及び地域的視点から意見をまとめ、論じることができる。 技術者が担っている社会的責任の問題について自分の問題として捉え、意見をまとめ発表・議論することができる。グローバル化が日本の企業や技術者にもたらす影響について、意見をまとめることができない。また、技術者が担っている社会的責任を自らの問題として十分にとらえることができない。
評価項目4標準的な到達レベルに加え、独自に調査した事例等から新たな視点を見出し、意見を纏めることができる。1970年代から現在までの日本の電子産業の推移について学習し、繁栄・衰退の原因について、地球的規模での社会との関連性の視点をもって分析・考察ができる。 イノベーション理論の概要を学習し、「破壊的イノベーション」の考え方で、電子産業等の変化を分析し、これからのものづくり産業のあり方を議論できる。日本の電子産業の繁栄・衰退の状況を分析し、説明することができない。また、イノベーションが単なる技術革新ではないことを、説明できない。
評価項目5標準的な到達レベルに加え、独自に調査した事例等から新たな視点を見出し、意見を纏めることができる。福島第一原発事故の国内での報道と欧州メディアからの情報を見比べ、日本と欧州の価値観の違いが何に根ざすかを理解して説明できる。その理解を踏まえて、社会的圧力の中で技術者の良心をどのように守ることができるかを議論できる。日本と欧州の価値観の違いが何に根ざすかを説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 技術者において社会との関係性の把握は非常に重要であり、技術者倫理、環境への影響や持続的発展性など社会に対して負う責任への理解に欠かせない。また、現代の世界的な技術革新の流れの中で「技術と社会との関係性」は、創造や開発の方向性の指標であり、新たなイノベーションの源でもある。このようなことから、本科目では「科学」の成立より先立って人類の成立とともにある「技術」の意味と歴史について学び、技術者としての使命や社会的責任について深く考察するとともに、世界的な水平分業と垂直統合の現状、イノベーション理論等についても学習し、これからのものづくりのあり方について考える。
授業の進め方・方法:
数の教員によるオムニバス形式の講義となる。担当教員ごとに課される課題の実施、授業中での意見発表や議論が重視される。また、レポートについては出題した教員への提出を間違いなく行うこと。
注意点:
定期試験は実施しない。最終評価は5名の教員のそれぞれの評価を平均したものとする。
以下の評価割合は、各教員の評価割合の平均を丸めたものであり、あくまで目安である。教員ごとに発表・相互評価・授業への参加状況・レポート/ポートフォリオ の評価割合は異なっている。各教員からの説明を良く聞いて、評価基準について理解しておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 本講義の目指すもの 本講義の目標・位置付について理解し、学習へ参加(議論・発表)でできるよう、学習計画を立てることができる。
2週 電磁気学の歴史とその現代社会での応用 電磁気学の法則の発見からコンピュータならびにインターネットの誕生までの歴史について学習し、それらの発見、発明ならびに新しい技術が社会に与える影響について議論できる。
3週 電磁気学の歴史とその現代社会での応用 電磁気学の法則の発見からコンピュータならびにインターネットの誕生までの歴史について学習し、それらの発見、発明ならびに新しい技術が社会に与える影響について議論できる。
4週 電磁気学の歴史とその現代社会での応用 電磁気学の法則の発見からコンピュータならびにインターネットの誕生までの歴史について学習し、それらの発見、発明ならびに新しい技術が社会に与える影響について議論できる。
5週 EMCの歴史と理論 EMCの概要を学習し、その歴史と技術革新が進む中で社会的になぜ必要な技術なのか議論できる。
6週 EMCの歴史と理論 EMCの概要を学習し、その歴史と技術革新が進む中で社会的になぜ必要な技術なのか議論できる。
7週 グローバル化と技術者の社会的責任 グローバル化による社会の変化が日本の企業や技術者にもたらす影響とその功罪について地球的及び地域的視点から意見をまとめ、論じることができる。
8週 グローバル化と技術者の社会的責任 技術者が担っている社会的責任の問題について自分の問題として捉え、意見をまとめ発表・議論することができる。
2ndQ
9週 電気電子産業におけるイノベーション(1)日本の電子産業の現状 1970年代から現在までの日本の電子産業の推移について学習し、繁栄・衰退の原因について、地球的規模での社会との関連性の視点をもって分析・考察ができる。
10週 電気電子産業におけるイノベーション(1)日本の電子産業の現状 1970年代から現在までの日本の電子産業の推移について学習し、繁栄・衰退の原因について、地球的規模での社会との関連性の視点をもって分析・考察ができる。
11週 電気電子産業におけるイノベーション(2)イノベーション理論と電子産業
イノベーション理論の概要を学習し、「破壊的イノベーション」の考え方で、電子産業等の変化を分析し、これからのものづくり産業のあり方を議論できる。
12週
電気電子産業におけるイノベーション(2)イノベーション理論と電子産業
イノベーション理論の概要を学習し、「破壊的イノベーション」の考え方で、電子産業等の変化を分析し、これからのものづくり産業のあり方を議論できる。
13週 人を助けるということ(1) 倫理学の思考実験「トロッコ問題」が自動運転技術の制御思想にどのように関わるかを理解して説明できる。「命の価値の差」という矛盾について技術者として議論できる。
14週 人を助けるということ(2) 「韓国企業に技術を流出させた」と非難されるシャープ元副社長・佐々木正氏の思想を理解して説明できる。「国家」と「グローバリズム」の相反関係について技術者として議論できる。
15週 まとめ これまでの授業内容に対して俯瞰的に自分の考えをまとめることができる。
16週

評価割合

試験発表相互評価授業への参加状況(態度)レポート/ポートフォリオその他合計
総合評価割合0401010400100
基礎的能力0100010020
専門的能力0100520035
分野横断的能力02010510045