集積回路製造技術(R3非開講)

科目基礎情報

学校 鹿児島工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 集積回路製造技術(R3非開講)
科目番号 0029 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 電気情報 未定

目的・到達目標

 集積回路は既に人類に不可欠な要素となっている。スマホからIoTまで、その中心となる集積回路の技術について以下の事項を到達目標として学習する。それぞれの到達目標がルーブリックの評価項目となる。
1.半導体製造技術の基礎と現在までのその進歩について学習し、高度に発展したモノづくり技術とそれを推し進める社会との関係性を説明できる。
2.半導体の基本的性質を理解し、半導体キャリア統計とpn接合の理論から拡散電流や空乏層幅等の導出と数値計算ができること。
3.集積回路の中心デバイスであるMOSFETについて構造・動作原理と特性を理解し、所望の閾値を持つMOSFETの設計ができること、またそれを実現するためのプロセスについて説明できること。
4.CMOS構造とその集積回路への応用について学習し、デジタル、アナログ、さらに撮像素子等の実際の構造と製造プロセスの関係を説明できること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1標準的な到達レベルに加え、以下が達成できる。 ・ 半導体材料の基本的性質を理解し、半導体デバイスの発展の要因と今後の方向性について議論できる ・ 集積回路製造技術(微細化)の最新の動向、さらには、現在の集積回路設計・開発、製造の世界的な動向を調査し、これからの方向性について意見を整理できる。 ・ 集積回路技術の歴史的変遷を学習し、微細化の持つ意味を理解し説明できる。 ・ プレーナ構造、バイポーラ、MOS、CMOSの構造と製造プロセスの変遷、素子間分離技術について理解し、説明できる。 ・ 集積回路の構造と製造プロセスの関係および、各要素技術(熱酸化、成膜(CVD、蒸着、スパッタ)、フォトリソグラフィ、イオン打込み、ドライエッチング等)の基本原理と装置概要、なぜその技術を用いるのかを説明できる。 ・ プレーナ構造が集積回路の基本として重要であることや、バイポーラ、MOSデバイス、CMOSの構造と製造プロセスの関係を説明できない。
評価項目2標準的な到達レベルに加え、以下が達成できる。 ・ バイポーラトランジスタの動作を説明できる。 ・ 運動量-エネルギーのバンド構造、有効質量について説明できる。 ・ 有効状態密度の導出ができる。 ・ 不純物密度とフェルミレベルの関係、キャリア密度の計算ができる。 ・少数キャリアの意味を理解し、pn接合のI-V特性を導くことができる。 ・ 階段接合における空乏層の電界、障壁電位差、空乏層幅を求めることができる。 ・ 運動量-エネルギーのバンド構造と情愛密度の関係が説明できない。また、有効状態密度とキャリア密度の関係を応用して、pn接合の障壁電位差を計算できない。
評価項目3標準的な到達レベルに加え、以下が達成できる。 ・ サブスレッショルド領域特性とスイッチング特性の関係、及び短チャネル効果について説明できる。 ・ ホットエレクトロンとその影響について説明できる。 ・ 短チャネル効果対策、LDD、改良LDD構造を説明できる。 ・ MOSトランジスタの構造と動作原理、動作タイプを説明できる。 ・ MOS構造のバンドモデルから、反転層が形成される条件がψs=2ψBであることを説明できる。 ・ ゲート金属の仕事関数、界面電荷密度がバンドプロファイルへ及ぼす影響を説明し、閾値電圧の理論値を導出できる。 ・ 反転層電荷密度Qnから、linear, saturation 領域のドレイン電流を求めるモデルを理解し、チャネル・相互コンダクタンスが導出できる。 ・ MOSトランジスタの構造と動作原理を十分に説明できない。また、MOS構造のバンドモデルにおいて、ゲート電圧が印可された場合の電荷分布や電界、ポテンシャルの様子を描くことができない。
評価項目4標準的な到達レベルに加え、以下が達成できる。 ・ 最新のCMOSの素子構造やLSI製造プロセスについて調査し説明ができる。 ・ CMOSの動作原理と基本構造を説明できる。 ・ 閾値電圧や、ゲート長/ゲート幅 等からDC特性を導くことができる。 ・ 回路設計用等価回路と素子の構造との関係を理解し、SPICEパラメータについて説明できる。 ・ 実際のデジタル、アナログCMOS集積回路、撮像素子等の構造を説明できること。 ・ CMOSの動作原理と基本構造、閾値電圧や、ゲート長/ゲート幅 等からDC特性について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達目標 3-3 説明 閉じる
JABEE(2012)基準 1(2)(d)(1) 説明 閉じる
教育プログラムの科目分類 (4)② 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 半導体素子の基本的理論と集積回路製造の間には大きな飛躍がある。様々な工夫により、いまやナノレベルの構造を数十億の単位で集積化するまでに高度化した技術は、社会ニーズにより発展してきた。このような技術について学ぶことは技術と社会のかかわりを認識する上でも重要であろう。本講義では本科で学習した半導体素子の基本原理から出発し、素子の構造と製造方法の関係、さらに集積回路の基本原理から設計、製造までの全体像について学習する。
授業の進め方と授業内容・方法:
 単なる講義ではなく、様々な問題について意見を求める形態の授業を目指している。また、半導体工学の基礎理論については英文参考書のプリントを配布するので、必ず事前に読んで、本科の教科書等を利用して学習すること。また、本校内の半導体製造に関する施設・設備の見学、基本技術であるフォトリソグラフィについて実習も予定している。
注意点:
特定の教科書は用いない。適宜、以下の参考書からの抜粋、資料等を配布する。
〔参考書〕
  Physics of semiconductor devices; S.M.Sze, McGrow-Hill,
  ULSI Technology; C.Y.Chang, S.M.Sze, McGrow-Hill
 「MOS集積回路設計・製造と信頼性技術」大山英典他、森北出版
 「新版ULSIデバイス・プロセス技術」菅野卓雄監、電子情報通信学会
 「日本型モノづくりの敗北」湯之上隆著、文春文庫

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容・方法 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.半導体集積回路の製造技術
1.1 半導体工学および集積回路技術の発展
・半導体材料の基本的性質を理解し集積回路技術の歴史的変遷から、微細化の持つ意味を理解し説明できる。
・プレーナ構造、バイポーラ、MOSデバイス、CMOSの構造と製造プロセスの変遷、素子間分離技術について理解し、説明できる。
2週 1.半導体集積回路の製造技術
1.2 半導体プロセス技術の概要
・集積回路の構造と製造プロセスの関係および、各要素技術(熱酸化、成膜技術(各種CVD、蒸着、スパッタ)、フォトリソグラフィ、イオン打込み、ドライエッチング等)の基本原理・装置概要について学習し、製造方法を説明できる。
3週 1.半導体集積回路の製造技術
1.3 身の回りの半導体集積回路と最新の技術との関係
・集積回路技術の最新の動向(微細化技術、新たな素子構造、製造プロセス)について調査し、身の回りの製品に使われている半導体がどのような技術で製造されているか議論できる。
4週 1.半導体集積回路の製造技術
1.4 半導体集積回路と現在、そしてこれからの社会との関係
・論理素子やメモリさらには3D NANDフラッシュメモリなども含めた集積回路全体の世界的動向を調査し、これからの方向性について意見を整理できる。
5週 1.半導体集積回路の製造技術
1.5 関連施設設備の見学と実習
・電子デバイス実験室内の装置見学とフォトリソグラフィ実習
6週 1.半導体集積回路の製造技術
1.5 関連施設設備の見学と実習
・電子デバイス実験室内の装置見学とフォトリソグラフィ実習
7週 2.半導体素子の物理
2.1 キャリア統計
・運動量-エネルギーのバンド構造、有効質量について説明できる。
・半導体における有効状態密度の導出ができる。
・不純物密度とフェルミレベルの関係、キャリア密度の計算ができる。
8週 2.半導体素子の物理
2.2 pn接合の理論
・少数キャリアの意味を理解し、過剰少数化キャリアが従う拡散方程式から、I-V特性を導くことができる。
2ndQ
9週 2.半導体素子の物理
2.2 pn接合の理論
・階段接合における空乏層の電界、障壁電位差、空乏層幅を求めることができる。
・バイポーラトランジスタの動作原理を理解し、少数キャリアの様子から動作を説明できる。
10週 2.半導体素子の物理
2.3 MOSトランジスタの構造と理論
・MOSトランジスタの構造と動作原理を理解し、動作タイプを説明できる。
・MOS構造のバンドモデルから、反転層が形成される条件がψS=2ψBであることを説明できる。
11週 2.半導体素子の物理
2.3 MOSトランジスタの構造と理論
・ゲート金属の仕事関数、界面電荷密度がバンドプロファイルへ及ぼす影響を説明し、閾値電圧の理論値を導出できる。
・反転層電荷密度Qnから、linear, saturation 領域のIDを求めるモデルを理解し、チャネル・相互コンダクタンスが導出できる。
12週 2.半導体素子の物理
2.3 MOSトランジスタの構造と理論
・サブスレッショルド領域特性とスイッチング特性の関係、及び短チャネル効果について説明できる。
・ホットエレクトロンとその影響について説明できる。
・短チャネル効果対策、LDD、改良LDD構造を説明できる。
13週 3.LSI設計の概要
3.1 CMOSトランジスタの設計
・CMOSの動作原理と基本構造を説明できる。
・閾値電圧や、ゲート長/ゲート幅 等からDC特性を導くことができる。
14週 3.LSI設計の概要
3.2 CMOS集積回路の応用
・回路設計用等価回路と素子の構造との関係を理解し、SPICEパラメータについて説明できる。
・実際のデジタル、アナログCMOS集積回路、撮像素子等の構造を説明できる。
・FINFETなど最新の素子構造を説明できる。
15週 定期試験 授業項目1.1~3.2に対して達成度を確認する。
16週

評価割合

試験レポート演習授業参加・質疑応答合計
総合評価割合60201010100
基礎的能力00000
専門的能力60201010100
分野横断的能力00000