材料力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 苫小牧工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料力学Ⅱ
科目番号 0015 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(機械系共通科目) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 基礎から学ぶ材料力学,森北出版
担当教員 野口 勉

到達目標

1. はりの微分方程式を理解し,たわみを求めることができる.
2. ひずみエネルギー,カステリアノの定理を説明でき,はりのたわみなどを計算できる.
3.平面応力状態について説明でき,モール円により任意の方向の応力を計算できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1: はりの微分方程式を誘導し,たわみを計算できるか.はりの微分方程式を誘導でき,集中荷重,等分布荷重,三角分布荷重が負荷される代表的なはりのたわみを計算できる.また,不静定はりの問題へも応用できる.はりの微分方程式を説明でき,集中荷重,等分布荷重,三角分布荷重が負荷される代表的なはりのたわみを計算できる.はりの微分方程式を説明できない.また,集中荷重,等分布荷重,三角分布荷重が負荷される代表的なはりのたわみを計算できない.
評価項目2:仮想荷重を用いてひずみエネルギーを求め,変位,たわみ,ねじり角を計算できるか.カスティリアノの定理を用いて真直棒の伸び,ねじり角,たわみの他,衝撃荷重や曲がりはり,不静定問題へも応用できる.軸力,ねじり,曲げを受ける真直棒のひずみエネルギーを計算でき,カスティリアノの定理を用いて伸び,ねじり角,たわみの計算ができる.軸力,ねじり,曲げを受ける真直棒のひずみエネルギーを計算できない.また,カスティリアノの定理を説明できない.
評価項目3:平面応力状態における応力を計算できるか.モール円を理解して,平面応力状態における応力を求めることができ,座標変換の考え方を理解できる.モール円を理解して,平面応力状態における応力を求めることができる.モール円を理解して,平面応力状態における応力を求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

Ⅰ 人間性
Ⅱ 実践性
Ⅲ 国際性
CP2 各系の工学的専門基盤知識,および実験・実習および演習・実技を通してその知識を社会実装に応用・実践できる力
CP4 他者を理解・尊重し,協働できるコミュニケーション能力と人間力

教育方法等

概要:
 材料力学Ⅰで学習した軸力(引張りと圧縮荷重,熱荷重),せん断力,ねじり,曲げ荷重を受ける真直棒の応力と変形(曲げ荷重に対するたわみは除く),トラスの軸力と変形評価方法を基本として,はりのたわみの評価方法を学習する.また,別の変形解析方法としてひずみエネルギーを用いるカスティリアノの定理を学習し,加えて,平面応力状態の学習を行い,解法の幅を広げると共に次元の拡張を行い,曲がりはり,衝撃荷重,不静定問題など,将来ものづくりで出会う問題への対応能力を高めることを目標とする.
授業の進め方・方法:
 強度設計,評価の基本として,外力が作用する弾性体の応力,ひずみ評価を対象とする.負荷方法と変形メカニズム,応力と変形の計算法を講義し,材料特性と比較して部材の厚さ,幅などを決定する能力を養う.第4学年では不静定はり,非対称曲げなどのより高度なはりの問題,ひずみエネルギーを応用したはり,トラスなどの変形評価の順に講義する.講義は変形,応力発生メカニズムの理解のため応力などを求める式の誘導に重点をおき,演習と課題により応用力を養う.
授業はPPtのスライドを用いて行う.演習解説部分を除いた授業資料については授業開始前にBlack board上にアップロードされるので,適宜,それを活用して授業を受けること.また,授業内容についてはTeams上に録画しながら行うため,それを復習等に利用して理解度を高めること.
なお評価は100点法にて行い,合格点は60点とする.評価の内約は,授業内に行う達成度評価試験50 %,課題ノート50 %とする.自学自習用の課題として,毎回の授業内容および演習問題の解をノートにまとめて提出することを課す.課題点は,この提出された毎回のノートおよび演習問題の取組状況を評価する.今年度は定期試験を実施しない.
学業成績の成績が60点未満のものに対して再評価のための再試験を実施する場合がある.
再評価においては,再試験点数を90%,課題評価点を10%としたときに評価点が60点を超えた場合に評価点を60点とする.
再評価において,上記の条件に該当しなかった場合,再評価前の評価点と再評価試験点数の90%を試験評価点と置き換えた場合の双方を比較し,高い方を学年末評価点とする.
注意点:
 演習問題を計算するため,電卓を持参すること.また,第3学年で学習した引張り圧縮,ねじり,曲げに対する応力,ひずみ,変形評価が基礎になるので,事前学習として授業前に関係内容の復習を十分しておくこと.また,実力養成には課題で自学自習に取り組むことが不可欠である.毎授業事に課される課題に取組み,授業内容の理解,計算力の向上に努めること.なお,課題の取り組みには数学の力が必要であり,因数分解法,微分・積分法についても適宜復習が必要である.
JABEE学習・教育到達目標: D-iv,E-ii,F-i

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 材料力学Ⅰ復習(軸荷重,トラス,熱応力) 引張りおよび熱荷重に対する応力,ひずみ,変形の式を誘導し,数値解を求めることができる.
2週 材料力学Ⅰ復習(丸棒のねじりによる変形とせん断応力,動力とトルク) ねじり荷重に対する応力,ひずみ,変形の式を誘導し,数値解を求めることができ,動力とトルクの変換ができる.
3週 材料力学Ⅰ復習(張りの曲げ応力,断面一次モーメントと図心,断面二次モーメントと断面係数) 曲げモーメントの式を求め,基本的なはりの応力とひずみを計算できる.
4週 2-1 はりのたわみの式
2-2 片持ちはりのたわみ
はりのたわみの微分方程式を理解できる.
片持ちはりのたわみを計算できる.
5週 2-3 単純支持はりのたわみ 単純支持はりのたわみを計算できる.
6週 2-3 単純支持はりのたわみ
2-4 不静定はり
単純支持はりのたわみを計算できる.
7週 2-4 不静定はり たわみを不静定はりに応用し計算できる.
8週 3-1 ひずみエネルギー ひずみエネルギーを説明でき,基礎的な荷重や形状に対して計算できる.
2ndQ
9週 3-2 エネルギー原理とカスティ
   リアノの定理
カスティリアノの定理を説明でき,棒の変形計算ができる.
10週 3-3 静定トラスの変形と不静定
   トラス
カスティリアノの定理をトラスに適用して変形や荷重を計算できる.
11週 3-4 はりの変形と不静定はりへ
   の応用
はりの変形と不静定はりへの応用について理解できる.
12週 3-5 不静定ねじり部材への応用 カスティリアノの定理をねじりに適用してねじり角やトルクを計算できる.
13週 4-1 単純引張りにおける任意の傾斜断面上の応力 傾斜断面上の垂直応力,剪断応力を計算できる.
14週 4-2 平面応力におけるモールの円 平面応力におけるモールの円を描いて,主応力,最大剪断応力を計算することができる.
15週 4-3 薄肉球殻と薄肉円筒殻の応力 薄肉球殻と薄肉円筒殻の応力を計算することができる.
16週 前期定期試験

評価割合

達成度評価試験(小テスト)課題ノート合計
総合評価割合5050100
基礎的能力103040
専門的能力402060
分野横断的能力000