到達目標
1. IUPAC の命名法を理解し、構造から名前を、また名前から構造を誘導できる。
2. 代表的な官能基に関して、その性質を理解でき、それらの官能基についての代表的な反応およびその分子内への導入法を説明できる。
3. 材料の分類ができ、材料を製品化する工程やリサイクルする工程を具体的に説明することができる。
4. 半導体材料および誘電体材料の基本特性を理解するとともに、それぞれの原料がどのような化学特性に基づいて機能を発揮するのかを具体的に説明することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | IUPAC の命名法を正確に理解し、構造から名前を、また名前から構造を正確に誘導できる。 | IUPAC の命名法をほぼ理解し、構造から名前を、また名前から構造をほぼ誘導できる。 | IUPAC の命名法を理解できない。 |
評価項目2 | 代表的な官能基に関して、その性質を正確に理解でき、それらの官能基についての代表的な反応およびその分子内への導入法を正確に説明できる。 | 代表的な官能基に関して、その性質をほぼ正確に理解でき、それらの官能基についての代表的な反応およびその分子内への導入法をほぼ正確に説明できる。 | 代表的な官能基に関して、その性質を理解できない。 |
評価項目3 | 材料の製品化工程について、中間体製造過程と中間体に機能性を与える工程に分けて具体的に説明できる。 | 材料の製品化工程について、原料から最終製品までの製造過程を説明できる。 | 材料の製品化工程について、原料から最終製品までの製造過程について説明できない。 |
到達目標項目4 | 半導体と誘電体について、機能性発
現の原理を理解し、これら素材の応
用手段を具体的に説明できる。 | 半導体と誘電体の原理や特徴に
ついて理解し、応用法を説明でき
る。 | 半導体と誘電体の原理や特徴を理
解できず、応用法について説明がで
きない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 物質化学工学科の教育目標 ②
説明
閉じる
学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③
説明
閉じる
教育方法等
概要:
この科目は企業で有機高分子化合物の生産プラントの運転を担当していた教員と溶液処理機器の開発・市販化に携わった教員がそれら経験を活かし、有機材料物質の特性や合成手法、ならびに無機材料物質の特性や性能発現の原理について講義形式で授業を行うものである。それぞれの概要については下記の通りである。
津田担当A:基礎化合物のカルボン酸とアミンについて学ぶ。その後応用に当たる複素環化合物、石けんと脂肪、炭水化物について材料の視点で考える。
宮越担当B:材料設計の基本的な考え方と、廃棄物の再資源化の方法や電気伝導性を利用した材料(半導体、誘電体、圧電体)の機能発現の原理を学び、その実用例を理解する。さらに工業的に利用される材料の特性に基づいて、受講者自らで材料改善のための設計指針や相互の性能比較ができる視点を体得する。
授業の進め方・方法:
津田担当A:2、3 年で学んだ有機化学を基礎とする項目が多いので、不明の部分は必ず復習して確認すること。
宮越担当B:「新しい材料を創り出すためにはどうしたらよいのか」という視点をもって学習に取り組んでもらいたい。講義の始めに小テストを実施する。
注意点:
・総時間数90時間(自学自習30時間)
・自学自習時間(30時間)として,日常の授業(60時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間および定期試験の準備のための学習時間を総合したものとする。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項目の到達レベルが標準以上であるこが認められる。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
・ガイダンス A. カルボン酸の合成 分類と命名 B. 無機材料の化学と科学(1) 無機材料の分類 |
・A&B.授業の進め方と成績の評価方法が理解できる。 A. カルボン酸の合成を理解できる。 B. 無機材料の分類法を理解し、材料設計の指針が立てられる。
|
2週 |
A. カルボン酸の反応(1) B. 無機材料の化学と科学(2) 化学プロセスと材料プロセス |
A. カルボン酸の酸塩化物・エステルへの変換を理解できる。 B. 材料製造における化学プロセスと材料化プロセスの違いをもとに、それぞれの特徴を説明できる。
|
3週 |
A. カルボン酸の反応(2) B. 無機材料の化学と科学(3) 材料廃棄物の処理と再資源化 |
A. カルボン酸のアミド・アルコールへの変換を理解できる。 B. 無機材料の分類法を理解し、環境を考慮した材料評価方法(LCA)が説明できる。
|
4週 |
A. カルボン酸誘導体の反応(1) B. 半導体材料(1) 固体の化学結合と電気伝導 |
A. 酸塩化物や酸無水物の反応を理解できる。 B. 各種化学結合の特徴とバンド構造が説明できる。
|
5週 |
A. カルボン酸誘導体の反応(2) B. 半導体材料(2) 真性半導体と不純物半導体 |
A. エステルやアミドの反応を理解できる。 B. 真性半導体、不純物半導体の違いを構造図とエネルギーバンド図で説明できる。
|
6週 |
A. カルボニル化合物のα置換反応(1) B. 半導体材料(3) 半導体の実用品への応用 |
A. ケトーエノール互変異性を理解できる。 B. 不純物半導体の特性をもとにやp/n接合ダイオードや熱電対の機構を表現できる。
|
7週 |
A. カルボニル化合物のα置換反応(2) B. イオン伝導体材料 イオン伝導体の特性と応用 次週,中間試験を実施する |
A. エノールの反応性を理解できる。 B. 代表的なイオン伝導体について特性と応用例を説明することができる。次週,中間試験を実施する。
|
8週 |
・中間試験
|
・学んだ知識の再確認&修正ができる。
|
4thQ |
9週 |
A. エノラートイオンの反応性 B. 超伝導体材料 超伝導体の特性と理論および酸化物系超伝導体の構造と課題 |
A. マロン酸エステル合成とアセト酢酸エステル合成を理解できる。 B. 酸化物超伝導体の構造特性を理解し、酸化物超伝導体を利用した製品について長所と課題を説明することができる。
|
10週 |
A. カルボニル化合物の縮合反応(1) B. 誘電体材料(1) セラミックスの誘電性 |
A. アルドール縮合を理解できる B. 超伝導体の特性とBCS理論について説明することができる。また、誘電率の定義が理解でき、誘電体の種類と分極の原理について説明できる。
|
11週 |
A. カルボニル化合物の縮合反応(2) B. 誘電体材料(2) 誘電体の利用 |
A. クライゼン縮合を理解できる。 B. コンデンサー材料としての誘電体の利用法を説明できる。
|
12週 |
A. アミン(1) B. 誘電体材料(3) BaTiO3 の特性と応用 |
A. アミンの命名ができる。 B. BaTiO3 の機能に関して具体的に表現できる。
|
13週 |
A. アミン(2) B. 誘電体材料(4) セラミックスの圧電性・焦電性 |
A. アミンの構造と性質や延期制度を理解できる。 B. 圧電体の特性と利用法について説明できる。
|
14週 |
A. アミン(3) B. 誘電体材料(5) セラミックスの圧電性・焦電性 |
A. アミンの合成を理解できる。 B. 圧電体の特性と焦電体の基本原理について説明できる。
|
15週 |
A. アミン(3) B. 誘電体材料(6) セラミックスの圧電性・焦電性 |
A.ジアゾニウム 塩の合成とそれを用いた反応を理解できる。 B.焦電体の特性と応用例について説明できる。
|
16週 |
学年末試験 |
学んだ知識の再確認&修正ができる。
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。 | 4 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。 | 4 | |
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。 | 4 | |
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。 | 4 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。 | 4 | |
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。 | 4 | |
無機化学 | 主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 3 | |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 3 | |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 3 | |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。 | 4 | |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | |
イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 3 | |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 小テスト | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 20 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 10 | 5 | 45 |
専門的能力 | 40 | 10 | 5 | 55 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |