到達目標
1. 基本的な化学反応について反応速度式を表すことができ、反応速度定数を求めることができる。
2. 反応速度定数の影響因子を説明でき、熱化学反応や酵素反応などについて、速度定数の依存因子を解析することができる。
3. 代表的な化学反応器の特徴が説明でき、反応速度論に基づいた説明ができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1
(D-1, D-2) | 典型的な気相反応や液相反応における反応因子や影響因子について具体例に基づいて正確に説明できる。 | 典型的な気相反応や液相反応における反応因子や影響因子について説明ができる。 | 典型的な気相反応や液相反応における反応因子や影響因子について説明ができない。 |
評価項目2
(D-1, D-2) | 熱化学反応および酵素反応について、数値データをもとに活性化エネルギーや頻度因子などの代表値を正しく計算し、的確に説明できる。 | 熱化学反応および酵素反応について、数値データをもとに活性化エネルギーや頻度因子などの代表値を計算し、説明できる。 | 熱化学反応および酵素反応について、数値データをもとに活性化エネルギーや頻度因子などの代表値を計算できず、説明ができない。 |
評価項目3
(A-2, D-1, D-2) | 代表的な化学反応器について形式別に区分しての説明ができ、成分濃度の時間的変化や分布の違いについて正確に説明ができる。 | 代表的な化学反応器について説明でき、成分濃度の時間的変化や分布の違いについて説明ができる。 | 代表的な化学反応器について説明できず、成分濃度の時間的変化や分布の違いについても説明ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 物質化学工学科の教育目標 ②
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学習・教育到達度目標 本科の教育目標 ③
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教育方法等
概要:
この科目は企業で溶液処理装置の開発・市販化に携わった教員が、それら経験を活かし、化学反応速度論の実践的な解析手法や化学反応器の特性について講義形式で授業を行うものである。
反応工学の基礎としては速度論と熱力学が重要である。講義時間の多くを様々な反応形式の速度式とその適用法に充てている。後半は代表的な化学反応器を例示しながら反応効率の表現法に関して説明する。これらの内容をもとに反応系内の現象を理論的に解釈できるような学習体系を目指す。さらには実際の工業反応装置について実地においても装置の特性や問題現象について評価できる視点を身につけることを目的とする。
授業の進め方・方法:
講義内容は物理化学および化学工学の基礎理論に基づいている。そのため数式の取り扱いやグラフ作図による解析が多くなる。これまで物理や物理化学、化学工学を学んだ上で、各自どのような理解の仕方があっているかということを振り返り、勉学のペースを見つけてもらいたい。授業内容に応じて練習問題を提示するので積極的に問題に取り組んでもらいたい。毎回、講義の要点をまとめたプリントを配布する。なお、小テストは毎回実施する。
注意点:
・教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目の割合は,A-2(10%) , D-1(50%),D-2(40%)とする。
・総時間数90時間(自学自習60時間)
・自学自習時間(60時間)として,日常の授業(30時間)のための予習復習時間,理解を深めるための演習課題の考察・解法の時間および定期試験の準備のための勉強時間を総合したものとする。
・評価については,合計点数が60点以上で単位修得となる.その場合,各到達目標項 目の到達レベルが標準以上であること,教育プログラムの学習・教育到達目標の各項目を満たしたことが認められる。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
化学反応と反応速度 |
反応速度式と活性化パラメータの関係を説明できる。
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2週 |
反応環境と反応速度への影響 |
反応速度式と活性化パラメータの関係に基づいて、気相や液相における反応因子や影響因子としての電気的・電子的な効果を説明できる。
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3週 |
反応速度式と解析法(1) 反応速度と反応次数 |
反応速度に対する反応次数の影響を理解でき、1次~高次の反応について反応速度定数を求めることができる。
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4週 |
反応速度式と解析法(2) 反応速度定数と積分速度式 |
反応速度式に基づいて反応速度定数の求め、積分速度式として表現することができる。
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5週 |
複雑な反応(1) 触媒反応 |
固体触媒反応を反応速度式の理論を用いて表現することができる。
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6週 |
複雑な反応(2) 酵素反応 |
酵素反応を反応速度式の理論を用いて表現することができる。
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7週 |
雑な反応(3) 様々な反応とその解析 次週、中間試験を実施する。 |
触媒反応や酵素反応における簡単なモデルケースについて反応速度式を適用して解析することができる。 次週,中間試験を実施する
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8週 |
中間試験 |
これまで学んだ知識の確認ができる。
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2ndQ |
9週 |
速度定数を決定する因子(1) 速度定数の依存性 |
活性化エネルギーの理論に基づいてアーレニウス式やそのプロットを用いて解析し、速度定数を求めることができる。
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10週 |
速度定数を決定する因子(2) 固体表面の反応特性 |
活性化エネルギーの理論に基づいて固体触媒反応の速度定数が何に依存しているのかを説明できる。また、BET理論に基づいて触媒反応がどのように影響されるのかを説明することができる。
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11週 |
反応器の設計(1) 反応器の定義と特徴 |
代表的な反応器を分類でき、それぞれの特徴を説明することができる。
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12週 |
反応器の設計(2) 代表的な反応器 |
回分反応器、連続撹拌型、流通管型の各反応器について速度式の観点から特徴を説明することができる。
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13週 |
反応器の設計(3) 反応器の設計式の導き方 |
回分反応器、連続撹拌型反応器の設計式を立てることができる。
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14週 |
反応器の設計(4) 反応器の設計式と特徴 |
これまでの反応器の基本概念を利用して反応速度式や濃度分布の違いなど、反応器の違いを説明することができる。
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15週 |
反応器の設計(5) 実用的反応器の特徴 |
実用的な反応器における特徴を設計式を用いて表現ができる。
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16週 |
学年末試験 |
これまで学んだ知識の確認ができる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。 | 3 | |
σ結合とπ結合について説明できる。 | 3 | |
混成軌道を用い物質の形を説明できる。 | 3 | |
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。 | 4 | |
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。 | 4 | |
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。 | 4 | |
共鳴構造について説明できる。 | 4 | |
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。 | 3 | |
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。 | 4 | |
重合反応について説明できる。 | 4 | |
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。 | 4 | |
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。 | 4 | |
無機化学 | イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | |
イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | |
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 2 | |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 2 | |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 3 | |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 3 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 4 | |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | |
化学工学 | 管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。 | 3 | |
流れの物質収支の計算ができる。 | 3 | |
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。 | 3 | |
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。 | 4 | |
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 小テスト | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 20 | 10 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 10 | 5 | 45 |
専門的能力 | 40 | 10 | 5 | 55 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |