到達目標
工学の基本的問題を解決するために必要な数学の知識、計算技術および応用能力を修得させ、この知識および技術等を工学における現象面と関連づけて活用する能力を養う。具体的にはラプラス変換,フーリエ級数およびフーリエ変換の数学的概念を理解し,それぞれの変換や級数を求めることが出来る。また,それぞれの変換や級数を基本的理工学問題に応用できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
ラプラス変換 | ラプラス変換の数学的概念を理解し,具体的な関数の変換を求めることが出来る。更にそれらを基本的理工学問題に応用できる。 | 具体的な関数のラプラス変換を求められる。更にそれらを基本的理工学問題に応用できる。 | 具体的な関数のラプラス変換を求められない。 |
フーリエ解析 | フーリエ級数およびフーリエ変換の数学的概念を理解し,具体的な関数についてそれぞれの変換や級数を求めることが出来る。また,それぞれの変換や級数を基本的理工学問題に応用できる。 | 具体的な関数のフーリエ級数やフーリエ変換を求めることが出来る。またそれらを基本的理工学問題に応用できる。 | 具体的な関数のフーリエ級数やフーリエ変換を求められない。 |
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学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
第3学年までの数学をベースとして,理工学の基礎となるラプラス変換,フーリエ級数及びフーリエ変換を学ぶ。これらは特に,物性物理学,電気回路,自動制御,線形システム,通信理論,信号処理,画像処理などの物理的,工学的問題の解決に欠かせない数学的手段となっている。これらの問題では,システムのモデルが線形微分方程式で表されることが多く,その解法にラプラス変換やフーリエ変換を用いることも多い。またフーリエ変換は周期信号や非周期信号の周波数解析にも利用され,身近な音響機器などにも活用されている。本講義では,受講学生が将来技術者となったときに数学を理工学の道具として使えることを目的とし,ラプラス変換やフーリエ級数,フーリエ変換の公式や性質を理解し基本的計算に習熟することばかりでなく,理工学分野の応用という観点からの理解も深めたい。
授業の進め方・方法:
ラプラス変換・フーリエ解析ともに講義形式の授業である。理解を深めるために演習問題を解く機会を出来るだけ多く取るので,積極的に取り組むこと。
注意点:
本科目の学習内容は,物理学,工学分野への応用に欠かせない。部分分数展開,基本的な関数の性質,三角関数の性質,指数関数の性質,各関数の微分・積分については,基本概念の把握及び計算に充分習熟しているものとして進める。この科目は相当の自習時間も授業の一環とみなされる。予習,復習に加え教科書の例題および適宜配布される演習問題を解くなど,自ら積極的に学習する姿勢が最も重要である。
週4時間のうち2時間をラプラス変換(担当:下田),2時間をフーリエ解析(担当:菅谷)の講義とする。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
【フーリエ解析】 1. フーリエ級数の基礎 周期2πのフーリエ級数1 【ラプラス変換】 1. 定義と基本性質 ラプラス変換の定義と例 |
【フーリエ解析】 周期関数とは何か,専門分野の周期関数を理解する。 【ラプラス変換】 ラプラス変換の定義を理解し,定義に基づいてラプラス変換を求められる。
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2週 |
【フーリエ解析】 周期2πのフーリエ級数2 【ラプラス変換】 基本的性質1 |
【フーリエ解析】 偶関数,奇関数によるフーリエ級数の違いを理解する。 【ラプラス変換】 ラプラス変換の基本的性質や法則を理解する。
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3週 |
【フーリエ解析】 一般の周期関数のフーリエ級数 【ラプラス変換】 基本的性質2 |
【フーリエ解析】 一般の周期関数をフーリエ級数で表現できる。 【ラプラス変換】 ラプラス変換の基本的性質や法則を用いて基本的な関数のラプラス変換が計算できる。
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4週 |
【フーリエ解析】 フーリエ級数の収束定理とその応用 【ラプラス変換】 基本的性質2 |
【フーリエ解析】 フーリエ級数の収束定理を用いて,無限級数の和を求めるなど,応用例を理解できる。 【ラプラス変換】 ラプラス変換の基本的性質や法則を用いて複雑な関数のラプラス変換が計算できる。
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5週 |
【フーリエ解析】 複素フーリエ級数 【ラプラス変換】 ラプラス変換の表 |
【フーリエ解析】 一般の周期関数を複素フーリエ級数で表現できる。 【ラプラス変換】 ラプラス変換の表を用いてラプラス変換を求められる。
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6週 |
【フーリエ解析】 偏微分方程式の解法への応用1 【ラプラス変換】 逆ラプラス変換1 |
【フーリエ解析】 フーリエ級数を利用した偏微分方程式の解法を理解できる。 【ラプラス変換】 逆ラプラス変換とは何かを理解し,基本的な関数の逆ラプラス変換を求められる。
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7週 |
【フーリエ解析】 偏微分方程式の解法への応用2 【ラプラス変換】 逆ラプラス変換2 |
【フーリエ解析】 フーリエ級数とスペクトルの関係を理解できる。 【ラプラス変換】 複雑な関数の逆ラプラス変換を求められる。
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8週 |
【フーリエ解析】 中間試験 【ラプラス変換】 中間試験 |
【フーリエ解析】 これまで講義された基本的事項を理解している。 【ラプラス変換】 これまで講義された基本的事項を理解している。
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4thQ |
9週 |
【フーリエ解析】 2. フーリエ変換の基礎 フーリエ変換とフーリエ積分定理1 【ラプラス変換】 2. ラプラス変換の応用 微分方程式への応用1 |
【フーリエ解析】 フーリエ変換の定義を理解し,簡単な関数のフーリエ変換ができる。 【ラプラス変換】 基本的な1階線形微分方程式をラプラス変換を用いて解くことができる。
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10週 |
【フーリエ解析】 フーリエ変換とフーリエ積分定理2 【ラプラス変換】 微分方程式への応用2 |
【フーリエ解析】 フーリエ積分定理の意義を理解し,それを応用できる。 【ラプラス変換】 定数係数2階線形微分方程式をラプラス変換を用いて解くことができる。
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11週 |
【フーリエ解析】 フーリエ余弦変換と正弦変換 【ラプラス変換】 微分方程式への応用3 |
【フーリエ解析】 フーリエ余弦変換と正弦変換の違いを理解する。 【ラプラス変換】 連立微分方程式等をラプラス変換を用いて解くことができる。
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12週 |
【フーリエ解析】 フーリエ変換の性質と公式1 【ラプラス変換】 たたみこみ1 |
【フーリエ解析】 フーリエ変換の性質とその証明法を理解できる。 【ラプラス変換】 たたみ込みの定義を理解し,具体的な関数のたたみこみを計算できる。
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13週 |
【フーリエ解析】 フーリエ変換の性質と公式2 【ラプラス変換】 たたみこみ2 |
【フーリエ解析】 フーリエ変換の性質を利用できる。 【ラプラス変換】 たたみ込みを用いて基本的な積分方程式を解くことができる。
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14週 |
【フーリエ解析】 偏微分方程式への応用 【ラプラス変換】 線形システムの伝達関数とデルタ関数 |
【フーリエ解析】 線形システムに於ける応用にフーリエ変換を利用できる。 【ラプラス変換】 デルタ関数の性質を理解し,線形システムへ応用できる。
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15週 |
【フーリエ解析】 期末試験の返却 【ラプラス変換】 期末試験の返却 |
【フーリエ解析】 期末試験の答案返却と解説 【ラプラス変換】 期末試験の答案返却と解説
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 3 | |
三角関数を含む基本的な方程式を解くことができる。 | 4 | |
逆三角関数を理解している。逆三角関数の導関数を求めることができる。 | 4 | |
2次以上の導関数を求めることができる。 | 4 | |
関数の媒介変数表示を理解し、その導関数を計算できる。 | 4 | |
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分の計算ができる。 | 4 | |
微分方程式の意味を理解している。 | 3 | |
基本的な変数分離形の微分方程式を解くことができる。 | 3 | |
基本的な1階線形微分方程式を解くことができる。 | 3 | |
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 0 | 20 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |