無機化学実験

科目基礎情報

学校 秋田工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 無機化学実験
科目番号 0019 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 無機化学実験テキスト29年度版/〈即戦力になる〉実験ノート入門 効果的なレポート・論文の書き方 吉村忠与志著 技術評論社/(参考書)図解とフローチャートによる定量分析(第二版) 浅田・内出・小林著 技報堂出版 
担当教員 佐藤 恒之,丸山 耕一

到達目標

1. 実験を安全に行うための知識を身につけ対策ができる。
2. 定量分析に必要な基礎概念がわかる。
3. 無機物質の合成・精製法がわかる。
4. 機器を用いた計測、データの解析ができる。
5. 実験ノートの活用やディスカッションができる。
6. 実験レポートをきめられた体裁で作成できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験テーマにおける危険の予測ができ、未然に防ぎ、咄嗟の判断もできる。安全教育で習得した知識を予習時と実験テーマの履行時に活用できる。安全教育で習得した知識を予習時と実験テーマの履行時に活用できない。
評価項目2意味のある定量分析結果を得るため、目的物を得るための定量的な知見を得ることができる。濃度計算ができ、各種滴定における解析を行える。濃度計算ができ、各種滴定における解析を行えない。
評価項目3実験操作の意味がわかり、各ステップで目的物が得られたかどうかを判断できる。実験書および予習した内容の準じた実験操作を行い、目的物を得ることができる。実験書および予習した内容の準じた実験操作を行わず、目的物を得ることができない。
評価項目4機器の計測原理と得たいデータに最適な実験条件を設定できる。機器の計測原理を理解したうえで、正しい実験結果を得て、決められた方法で解析できる。機器の計測原理を理解せず、正しい実験結果を得られず、決められた方法で解析できない。
評価項目5記録した内容をみて、後日自分が観察した現象を再現できる。実験中に観察されるあらゆる現象を記録でき、ディスカッションに活用できる。実験中に観察されるあらゆる現象を記録できず、ディスカッションに活用できない。
評価項目6レポートをまとめる際に、論理的な説明をする能力が向上する。定められた項目に適切な内容が記されている。定められた項目に適切な内容が記されていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 無機物質の精製法や反応性、定性分析法、定量分析法を実験を通して理解させる。これに必要な濃度計算や当量点の算出等の概念を実験テーマの遂行と連動させる。安全教育に基づいた、実験操作や手法を学び、これによる結果の考察を、導入教育とディスカッションを通して身につけさせる。実験ノートの記述法、報告書の書き方、報告会の資料作成技術、発表技法を学ぶ。
授業の進め方・方法:
 講義での安全・導入教育を終えた後、6~7名程度のグループに分かれて実習形式で行う。グループ毎に別々のテーマ(8~12時間/1テーマ)の実験を行い,毎週の実験結果と考察について、実験ノートをもとにディスカッションする形式とする。また、実験結果を解析した結果を、報告書としてまとめる演習を行う。報告書を実験終了から1週間以内に提出する。最後に、これらの内容をよく整理し、報告会で発表および質疑・応答を行う。
注意点:
実験報告書の内容30%、ディスカッション・報告会での内容20%、その他(出席状況および実験ノート作成、実験中の取り組む姿勢等)50%の比率で評価する。合格点は50点である。
(講義・実験前)実験前に、安全性と計画性確保のために、試薬と器具、実験操作法等の事前調査を十分行う。原理や解析法は予め調べておく。
(講義・実験後)実験結果を基に化学反応や物質の性質を考える。実験終了後のディスカッションでは,実験の原理と結果、解釈を他人にわかりやすく伝達することの重要性の認識を深める。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 安全教育の基礎 テキストに書かれた、授業および実験の進め方を理解できる。安全ビデオを閲覧し、実験における安全性の確保を意識できる。
2週 化学実験の基礎(1) 無機合成に関係する、物質量、濃度の概念を理解でき、試薬から目標の溶液をつくるための原理を理解できる。
3週 化学実験の基礎(2) 滴定等、定量分析、機器分析(X線回折)における概念と実験操作を対応づけられる。
4週 実験ノートの使用法 実験ノートの必要性と実験ノートに記載する内容が理解できる。
5週 実験課題の導入教育(1) 4テーマの内容を理解し、実験前に準備すること、実験の最中に留意することがわかる。
6週 実験課題の導入教育(2) 実験レポートの書き方、滴定に用いる標準溶液の準備の方法がわかる。
7週 レポート演習(1) 炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウム合成に関する既存データを用いて、レポート作成を行える。
8週 レポート演習(2) 作成したレポートの内容を、指摘された事項を中心にリビジョンできる。
2ndQ
9週 実験テーマ遂行(1) 「酸化鉛(IV)の合成と逆滴定」、「酸化チタン(IV)の合成」のどちらかのテーマを選択して、3週間にわたって実験を遂行できる。
10週 実験テーマ遂行(2) 同上
11週 実験テーマ遂行(3) 同上
12週 実験テーマ遂行(4) 「過マンガン酸カリウムの合成と酸化還元滴定」、「ペーパークロマトグラフィ―」のどちらかのテーマを選択して、2週間にわたって実験を遂行できる。
13週 実験テーマ遂行(5) 同上
14週 プレゼン発表資料の作成 グループ内で役割分担して、実験テーマの発表資料を作成することができる。
15週 プレゼン発表 わかりやすい発表ができ、質疑応答を行うことができる。
16週 実験およびプレゼン発表に関する講評、授業アンケート 本授業のまとめ、および授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

報告書報告・口頭発表その他合計
総合評価割合302050100
知識の基本的な理解1002030
思考・推論・創造への適用力010010
汎用的技能10102040
態度・嗜好性 (人間力)001010
総合的な学習経験と創造的思考力100010