科学技術史

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 科学技術史
科目番号 0002 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 一般教育科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 (1)講義時に配布するプリント教材,(2)『詳説 世界史B』山川出版社
担当教員 河村 豊

到達目標

『世界史』に区分される内容の中で,(1)技術の歴史を通した人類の経済活動の変化に関する基本的な歴史的事実を知ること,(2)科学の歴史を通した人類の思索活動の変化に関する基本的な歴史的事実を知ること,(3)基本的な歴史的事実を踏まえて,どの様な傾向があるかという普遍的な特徴を理解すること,これらを到達目標とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この講義では,現代社会に大きな役割を持っている「科学技術」(Science Based Technology)の諸特徴を,歴史学的手法(世界史の知識)の学習を通して,読み解くことを目標とする.科学技術は,生産力発展に関わる「技術」,やがて新技術開発に利用される「科学」,の2つを構成要素としているが,現在は両者が融合していると考えられる.この融合までの過程を,「歴史学」(過去の事実を分析する学問),および「科学技術社会論」(科学技術と社会・経済との関連を理解する学問)に関わる基礎概念を学ながら,歴史順に学習してゆく.
授業の進め方・方法:
年間を次のように4つに区切る.前期前半を「科学技術史A」とし「科学・技術からみた古代社会」をテーマとする.前期後半を「科学技術史B」とし「近代社会(初期)の中の科学と技術」をテーマとする.後期前半を「科学技術史C」とし「イギリス産業革命と技術」をテーマとする.後期後半を「科学技術史D」とし「科学依存型技術の起源」をテーマとする.授業方法は,配布プリント(演習問題付き)と補助教材『詳説 世界史B』を予習,授業による解説,演習確認を行い,復習(自学自習)を行うという講義サイクルを取る.
注意点:
(1)前提とする知識:1年次,2年次の社会科系科目および物理学,化学,工学基礎の知識を前提とする.
(2)「暗記」では無く,「理解」が必要:各時代に共通する歴史的な特徴を理解することを優先し,必要に応じて歴史事項を覚えることになる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 A1:イントロ:現代の科学技術について考える 現代社会における科学技術の基本的な役割を理解する.
2週 A2:科学と技術の概念区分 「技術」の基本的な特徴について理解する.
3週 A3:古代文明と技術 古代文明の歴史を事例に,技術は果たす社会への影響を理解する.
4週 A4:古代の鉄器技術 人類史における「鉄」の登場の意味を,製鉄法および鉄器の影響を通して理解する.
5週 A5:科学の起源 ギリシャで「科学」の基礎が生まれた背景および歴史的意味を理解する.
6週 A6:ギリシャ科学の変質 「科学」が社会制度により影響を受けることを古代科学を例に理解する
7週 A7:ローマ帝国の技術 ローマ時代を事例に,社会制度が技術発展に与える影響を理解する.
8週 B1:近代科学の源流(1)アラビア科学 「科学」が宗教や社会制度から受ける影響を理解する.
2ndQ
9週 B2:近代科学の源流(2)中世西欧の農業と科学 西欧文明が世界的に優位となる起源を理解する
10週 B3:科学革命の始まり(1)ダ・ヴィンチの事例 ルネサンスと実証的な科学との関連を理解する
11週 B4:科学革命の始まり(2)コペルニクスの事例 「地動説」登場が果たした歴史的な意味を理解する.
12週 B5:科学革命の勃発
ガリレイの事例
科学革命とは何か.その意味を理解する.
13週 B6:科学革命の完了 「自然観」が果たす科学への意味を理解する.
14週 前期範囲の総括 古代,中世,近代までの科学,技術の特徴を理解する.
15週
16週
後期
3rdQ
1週 C1:熟練工と「道具」 ものづくり形態としてのマニュファクチュアの利点と弱点を理解する.
2週 C2:道具と機械の概念区分 技術が生産効率を高める理由について理解する.
3週 C3:綿紡績の発明に始まる産業革命 産業革命を引き起こした「技術」の特徴を理解する.
4週 C4:産業革命における動力機(1)水車 動力機としての「水車」の役割と限界を理解する.
5週 C5:産業革命における動力機(2)蒸気機関 動力機としての「蒸気機関」の弱点と利点を理解する.
6週 C6:産業革命の確立と工作機 機械を生産するための「機械」が登場した意味を理解する.
7週 C7:産業革命と近代製鉄の確立 産業革命拡大における近代製鉄業の役割を理解する.
8週 D1:エンジニア教育の登場 職人から「エンジニア」への転換の意味を理解する.
4thQ
9週 D2:第二次科学革命 応用可能性の高い「物理学」が登場した意味を理解する.
10週 D3:科学依存型技術の登場 化学工業,電気工業の登場した歴史的意味を理解する.
11週 D4:アメリカ的生産方式の登場 互換性生産方式を含むアメリカンシステムの特徴を理解する.
12週 D5:ドイツ産業革命と「科学大国」への道 ドイツ科学大国の登場の歴史的意味を理解する.
13週 D6:帝国主義による世界分割と科学技術 植民地主義や独占資本主事の時代の科学技術の特徴を理解する.
14週 後期範囲および1年間の授業の総括 科学技術と社会・経済との関わり,将来への見通しを議論を通して理解する.
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験小論文小テスト態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80155000100
基礎的能力5015500070
専門的能力200000020
分野横断的能力100000010