材料化学実験

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 材料化学実験
科目番号 0062 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 4
教科書/教材 配布テキスト/参考図書 「続 実験を安全に行なうために」(化学同人)、「機器分析の手引き」(化学同人)
担当教員 村上 能規,細貝 和彦,奥村 寿子,宮田 真理

到達目標

科目コード:41020 (英語名: Experiments in Materials Chemistry)
この科目は長岡高専の教育目標(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。
・高分子微粒子調製技術に関連する知識の習得。16%(d3)
・示差熱分析測定法を習得する。17%(d3)
・分光光度計による溶液分析、ガスクロマトグラフィー、質量分析を習得する。17%(d3)
・機器分析演習:材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて理解する。20%(d3)
・機器分析実験:①核磁気共鳴(NMR)の原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を理解する。10%(d3)、②走査型電子顕微鏡(SEM)の原理を学習し、試料に対する観察手法を理解する。10%(d3)、③原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を理解する。10%(d3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
高分子合成実験 評価項目 高分子微粒子調製技術に関連する知識を習得している。高分子微粒子調製技術に関連する知識を習得している。高分子微粒子調製技術に関連する知識を概ね習得している。左記に達していない。
熱分析実験 評価項目 熱分析の原理を学習し、測定方法と材料の熱特性を詳細に理解している。 熱分析の原理を学習し、測定方法と材料の熱特性を理解している。熱分析の原理を学習し、測定方法と材料の熱特性を概ね理解している。左記に達していない。
分光光度計による溶液分析、ガスクロマトグラフィー、質量分析実験 評価項目分光光度計による溶液分析、ガスクロマトグラフィー、質量分析の原理を学習し、測定方法と解析方法について詳細に理解している。分光光度計による溶液分析、ガスクロマトグラフィー、質量分析の原理を学習し、測定方法と解析方法について理解している。 分光光度計による溶液分析、ガスクロマトグラフィー、質量分析の原理を学習し、測定方法と解析方法について概ね理解している。 左記に達していない。
機器分析演習 評価項目 材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて詳細に理解している。 材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて理解している。 材料分野の実験で用いる機器分析法について演習を通じて概ね理解している。 左記に達していない。
機器分析実験 評価項目1 NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を詳細に理解している。 NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を理解している。NMRの原理を学習し、測定方法と構造解析の手法を概ね理解している。左記に達していない。
機器分析実験 評価項目2 SEMの原理を学習し、試料に対する観察手法を詳細に理解している。 SEMの原理を学習し、試料に対する観察手法を理解している。 SEMの原理を学習し、試料に対する観察手法を概ね理解している。 左記に達していない。
機器分析実験 評価項目3 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を詳細に理解している。 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を理解している。 原子吸光分析の原理を学習し、測定方法と解析の手法を概ね理解している。 左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料を扱ううえで必要な機器分析の実験とそれに関連した演習を行う。機器分析の実験では、これまで扱えなかった重要な機器分析装置の利用法とデータ解析法について学ぶ。
〇関連する科目:卒業研究(学科5学年履修)、物質工学実験(学科5学年履修)
授業の進め方・方法:
前期は学生を3つのグループに班分けし、各実験テーマに対してローテーションしながら実施する。後期は、前半に機器分析実験の演習を行い、後半は3班で各実験をローテーションしながら実施する。
注意点:
機器分析実験:共同分析機器を利用するので、事前に操作方法を十分に理解してから使用すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 材料化学実験・前期のスケジュール・班分け等の説明 材料化学実験・前期のスケジュール・班分け等を確認し、実験を安全に進められるよう準備をする。
2週 【高分子合成実験】高分子微粒子の調製方法と評価についての説明 高分子微粒子の調製方法と評価について理解する。
3週 【高分子合成実験】高分子微粒子の調製実験 高分子微粒子の調製手法について理解する。
4週 【高分子合成実験】高分子微粒子の調製実験:重合操作による微粒子調製のまとめ 高分子微粒子の調製に関する理解を深める。
5週 【高分子合成実験】重合操作および高分子材料の調製に関する演習 重合操作および高分子材料の調製について理解する。
6週 【熱分析実験】熱分析測定装置の取り扱い方と測定手順に関する説明 熱分析測定装置の取り扱い方と測定手順について理解する。
7週 【光化学に関する実験】光化学に関する材料の機器分析 光化学に関する分析測定装置による測定手順について理解を深める。
8週 【結晶構造に関する実験】材料の作製とその結晶構造決定に関する機器分析 材料の作製とその材料の結晶構造決定に関する理解を深める。
2ndQ
9週 【微粒子表面に関する実験】微粒子の表面電位、吸着機構に関する機器分析 微粒子の表面電位、吸着機構に関する機器分析について理解を深める。
10週 【分光光度計による溶液分析】紫外ー可視分光光度計を用いた溶液分析1 紫外ー可視分光光度計の取り扱い方と測定手順について理解する。
11週 【分光光度計による溶液分析】紫外ー可視分光光度計を用いた溶液分析2 溶液試料の調製と含有成分の定量分析について理解する。
12週 【ガスクロマトグラフィー】ガスクロマトグラフィーを使用した揮発性成分の測定 ガスクロマトグラフィーを使用した揮発性成分の定性分析、試料組成の解析
13週 【質量分析】質量分析計を用いた揮発性成分の測定 質量分析計を使用した揮発性成分の定性分析、試料組成の解析
14週 前期実験まとめ・実験結果のプレゼンテーションの準備 前期実験結果についてまとめ、材料化学実験に関わる周辺技術についても調べる。
15週 前期実験まとめ・実験結果のプレゼンテーション 前期実験結果について発表を行う。
16週 前期の実験総括と発展的内容の説明 前期の実験内容を整理し理解を深める。
後期
3rdQ
1週 【機器分析演習】演習全般の説明 機器分析演習全般の概要と取り組み方について理解する。
2週 IRに関する演習 IRに関する概要と解析手法を理解する。
3週 分析機器に関する演習(グループワーク part 1) 材料化学分野で用いられる機器分析法の概要について理解する。
4週 分析機器に関する演習(グループワーク part 2) 材料化学分野で用いられる機器分析法の概要について理解する。
5週 NMRに関する演習(part 1) NMRに関する概要と解析手法を理解する。
6週 NMRに関する演習(part 1)・演習のまとめ NMRに関する概要と解析手法を理解する。
7週 【機器分析実験】実験スケジュール・班分け等の説明 機器分析実験の概要と実験方法について理解する。
8週 NMR(1)NMRの原理と測定方法の解説・試料の測定 NMRの原理と試料の測定方法について理解する。
4thQ
9週 NMR(2)NMRの解析手法に関する解説と演習 NMRの測定方法と解析手法について理解する。
10週 SEM(1)SEMの原理と観察方法の解説・試料の前処理と観察part 1 SEMの原理と試料の前処理・観察方法について理解する。
11週 SEM(2)SEMの原理と観察方法の解説・試料の前処理と観察part 2 SEMの原理と試料の前処理・観察方法について理解する。
12週 原子吸光分析(1)原子吸光分析装置の原理と試料準備 原子吸光分析装置の原理と測定方法について理解する。
13週 原子吸光分析(2)試料の測定とデータ解析 原子吸光分析装置の解析法について理解する。
14週 機器分析実習のまとめ 機器分析について理解を深める。
15週 レポートの全体評価と発展的内容の説明 レポートの確認と本科で学んだ機器分析技術について理解を深める。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
測定と測定値の取り扱いができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
ガラス器具の取り扱いができる。3前3,前4,前7,前8,前11,前12
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3前3,前4,前7,前8,前11,前12
試薬の調製ができる。3前3,前4,前7,前8,前11,前12
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4
吸引ろ過ができる。4
再結晶による精製ができる。4
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4
収率の計算ができる。4前3,前4,前5,前14
分析化学実験陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4前5,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4前5,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15

評価割合

前期;高分子合成実験前期;熱分析、光化学、結晶構造、微粒子表面実験(レポート)前期;分光光度計による溶液分析、ガスクロマトグラフィー、質量分析実験(プレゼンテーション後期;機器分析演習(レポート)後期;機器分析実験(レポート)合計
総合評価割合1617172030100
基礎的能力000000
専門的能力1617172030100
分野横断的能力000000