概要:
食品は栄養素を供給するものであり、健康を支えるものである。食品を食べた後、どのように消化吸収されるか、体内で各栄養素がどのように移動し利用されるか、各栄養素の代謝がどのように制御されているかを知ることは食生活による健康の維持、疾病予防において重要である。今回は栄養科学を学ぶ上で重要な生化学について復習すると共に、動物体内の代謝調節や各代謝間の関連について学ぶ。この科目は企業で機能性食品素材開発研究を担当していた教員が、その経験を活かし、ヒトの食品栄養学について講義形式で授業を行うものである。
関連する科目:食品製造工学(5学年後期開講・選択)
授業の進め方・方法:
通常の講義形式、使用教科書の姉妹版、演習版生化学ノートを使用した自学自習。この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として演習版生化学ノートページ指定を実施します。
注意点:
学科3 年で履修した、生物化学の糖質・脂質・窒素代謝が基礎となるので復習して望むべきである。栄養学の正しい知識は、日常生活を健康に営むためにも重要であり、難解にならないような楽しい知識を紹介したい。また、現在食品分野では生理的機能性が注目されているため、本科目ではこれらの生理的機能性を理解して開発や応用できるようになることを目的とする。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 基礎生物 | 核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。 | 5 | 後1 |
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。 | 5 | 後6 |
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 | 5 | 後3 |
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 5 | 後12 |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 5 | 後12 |
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。 | 5 | |
細胞周期について説明できる。 | 5 | |
分化について説明できる。 | 5 | |
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。 | 5 | |
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。 | 5 | 後1 |
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。 | 5 | 後3,後13,後14 |
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。 | 5 | 後1,後13,後14 |
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。 | 5 | 後13,後14 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 5 | 後2,後3 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 5 | 後3 |
単糖と多糖の生物機能を説明できる。 | 5 | 後2 |
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。 | 5 | 後2,後5 |
グリコシド結合を説明できる。 | 5 | 後2,後5 |
多糖の例を説明できる。 | 5 | 後2 |
脂質の機能を複数あげることができる。 | 5 | 後2,後7 |
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。 | 5 | 後2,後7 |
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。 | 5 | 後2,後7 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 5 | 後3 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 5 | 後3 |
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 | 5 | 後3 |
タンパク質の高次構造について説明できる。 | 5 | 後3 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 5 | 後4 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 5 | 後4 |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 5 | |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 5 | 後4,後12 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 5 | 後12 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 5 | 後3 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 5 | 後3 |
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。 | 5 | 後3,後4,後6 |
解糖系の概要を説明できる。 | 5 | 後5 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 5 | 後5,後7 |
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。 | 5 | 後6,後7 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 5 | 後5 |
各種の光合成色素の働きを説明できる。 | 5 | |
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。 | 5 | |
炭酸固定の過程を説明できる。 | 5 | |