応用電子化学

科目基礎情報

学校 長岡工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用電子化学
科目番号 0013 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学専攻 対象学年 専2
開設期 3rd-Q 週時間数 4
教科書/教材 渡辺 正 他、電気化学 丸善株式会社
担当教員 小出 学

到達目標

((科目コード:A2190、英語名:Applied Electrochemistry)この科目は長岡高専の教育目標の(D)と主体的に関わる。この科目の到達目標と、長岡高専の学習・教育到達目標との関連を、到達目標、評価の重み、学習教育目標との関連の順で示す。①電気と化学をつなぐ因子を理解する。35%(D1) ②電極と電解液界面での原子・分子レベルの現象を理解する。35%(D1) ③電子とイオンのエネルギーが係る応用分野を理解する。30%(D1)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電気と化学をつなぐ因子の基礎と応用を理解する。電気と化学をつなぐ因子の基礎を理解する。電気と化学をつなぐ因子を概ね理解する。電気と化学をつなぐ因子が理解できない。
評価項目2電極と電解液界面での原子・分子レベルの現象の基礎と応用を理解する。電極と電解液界面での原子・分子レベルの現象の基礎を理解する。電極と電解液界面での原子・分子レベルの現象を概ね理解する。電極と電解液界面での原子・分子レベルの現象が理解できない。
評価項目3電子とイオンのエネルギーが係る分野の基礎と応用を理解する。電子とイオンのエネルギーが係る分野の基礎を理解する。電子とイオンのエネルギーが係る分野を概ね理解する。電子とイオンのエネルギーが係る分野が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電気化学は電子のやりとりを伴う現象を解き明かし、その成果を暮らしに役立てる学問である。本講義では、基礎理論(平衡論と速度論)の理解を深め、応用分野(電池、電解合成、センサー、表面加工等)について解説する。関連する科目、固体構造化学
この科目は、公的機関の技術研究所にて機器分析に従事した教員が、その経験を生かし、電気化学に関する原理、技術および最新の応用分野について講義形式で授業を行なうものである。
授業の進め方・方法:
原子、分子に関する基礎的理解を踏まえて、熱力学、速度論の考察を行い、最終的に、応用分野へと結びつけて考えていく。
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポート課題などを実施します。
注意点:
無機化学の基礎を再確認することが必要である。演習問題を通して、理解度を確認しながら進めていく。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 電気化学基礎 高校化学における電気化学を理解する。
2週 電気分解、電気二重層の形成 厚さと濃度の効果を理解する。
3週 物質のエネルギーと平衡(1) 熱力学計算演習を通してエネルギーと平衡を理解する。(1)
4週 物質のエネルギーと平衡(2) 熱力学計算演習を通してエネルギーと平衡を理解する。(2)
5週 標準電極電位、ネルンストの式 熱力学計算演習を通して標準電極電位とネルンストの式を理解する。(3)
6週 電解電流、電位が決める電流 反応速度と電流の関係を理解する。
7週 電解電流、物質輸送が決める電流 拡散を理解する。
8週 電流のまとめ 反応、拡散をまとめて理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)物質が原子からできていることを説明できる。4後1
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。4後1
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。4後1
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。4後1
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。4後1
価電子の働きについて説明できる。3後1
原子のイオン化について説明できる。4後1
代表的なイオンを化学式で表すことができる。4後1
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。4後1
イオン式とイオンの名称を説明できる。4後1
イオン結合について説明できる。4後1
イオン結合性物質の性質を説明できる。4後1
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。4後1
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。4後1
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。4後1
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。4後2
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。4後2
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。4後2
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。4後2
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。4後2
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。4後2
中和反応がどのような反応であるか説明できる。4後2
中和滴定の計算ができる。4後2
酸化還元反応について説明できる。4後2
イオン化傾向について説明できる。4後3
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。4後3
ダニエル電池についてその反応を説明できる。4後1,後3,後12,後14
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。4後2,後3,後12
一次電池の種類を説明できる。4後3,後12
二次電池の種類を説明できる。4後3,後11,後12,後13,後14
電気分解反応を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後14
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。4後3
ファラデーの法則による計算ができる。4後3,後5,後10
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。5後4
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。5後4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。5後4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。5後4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。5後4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。5後4
イオン結合と共有結合について説明できる。5後5
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。5後5
金属結合の形成について理解できる。5後5
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。5後5
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。5後5
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。5後1
配位結合の形成について説明できる。5後1
水素結合について説明できる。5後1
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。5後2
錯体の命名法の基本を説明できる。5後2
配位数と構造について説明できる。5後2
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。5後2
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。5後2
分析化学いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。5後4
電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。5後5
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。5
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。5
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。5
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。5
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。5
錯体の生成について説明できる。5後10

評価割合

課題・レポート試験相互評価合計
総合評価割合70300100
基礎的能力4020060
専門的能力3010040
分野横断的能力0000