有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 2021-665 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 化学(東京書籍)、クライン有機化学上(東京化学同人)、分子模型
担当教員 青山 陽子

到達目標

以下に示す9項目について修得する。
(1) アルカン、アルケン、アルキンの性質と反応 (2) アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトンの性質と反応、(3) ベンゼンの性質と反応、(4) フェノール類とアルコールの性質と反応 (5) アニリンの性質と反応、(6) sp3, sp2, sp混成軌道、(7) Newman 投影式、(8) シクロヘキサンの立体配座、(9) 立体異性の表記法

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□アルカン、アルケン、アルキンの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応を整理して説明できる。□アルカン、アルケン、アルキンの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応が理解できる。□アルカン、アルケン、アルキンの一般式が書けない。
評価項目2□アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応を説明できる。□アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応が理解できる。□アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルの一般式が書けない。
評価項目3□ベンゼンの誘導体についてオルト、パラ、メタの構造異性体が書ける。代表的置換反応を書ける。□ベンゼンの誘導体についてオルト、パラ、メタの構造異性体が書ける。□ベンゼンの誘導体についてオルト、パラ、メタの構造異性体が書けない。
評価項目4□フェノール類とアルコールの性質の差が分かる。芳香族カルボン酸の代表的な反応を説明できる。□フェノール類とアルコールの性質の差が分かる。芳香族カルボン酸の代表的な反応が分かる。□フェノール類とアルコールの性質の差が分からない。
評価項目5□アニリンの構造、性質を理解し、その代表的反応を説明できる。□アニリンの構造が書け、その代表的反応を理解できる。□アニリンの構造が分からない。
評価項目6□sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、その形が描ける。またシグマ結合、π結合の形成について説明できる。□sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、シグマ結合、パイ結合が何を示しているか理解できる。□sp3,sp2,sp混成軌道について理解できない。
評価項目7□Newman投影式でアンチ、ゴーシュ、エクリプスの立体配座と安定性を説明できる。。□エタンのC-C結合のまわりの立体配座をNewman投影式で描ける。□Newman投影式が理解できない。
評価項目8□置換基を持つシクロヘキサンの安定性について理解できる。□シクロヘキサンの椅子形と舟形の立体配座の違いを理解でき、どちらが安定か説明できる。□シクロヘキサンの椅子形と舟形が描けない。
評価項目9□R,S表記によるエナンチオマーの命名ができる。□1つの不斉中心を持つ化合物は2つのエナンチオマーが立体的に書ける。□1つの不斉中心を持つ化合物が2つの立体異性体を持つことが理解できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化合物は生体を構成している重要な物質であり、身の回りの様々な製品も有機化合物で出来ている。第2学年では、まず高校の教科書で有機化合物の基礎を学び、後半は大学の教科書を用いて原子の構造や原子軌道、酸と塩基の定義、有機化合物の構造や空間的配置を学ぶ。
授業の進め方・方法:
前期は高校の教科書を用い、有機化合物の基礎を学ぶ。後期はクライン有機化学(上)を用い、大学の有機化学の導入部を学習する。小テストや課題は理解度を確かめるために、授業中に適宜行う予定である。
注意点:
教科書の章末問題や問題集の問題は、各自で解くようにすること。
今年度の評価については、試験によって行います。ただし基準に達しない場合は、課題を課して加点をする場合があります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明と有機化合物の特徴, 有機化合物の分類 有機化合物の多様性と特徴を理解できる。
官能基による分類、有機化合物の表し方を覚える。
2週 有機化合物の分析 有機化合物の構造式の決定は、どのように行われるかを理解することができる。
3週 アルカンとシクロアルカン アルカン、シクロアルカンの性質、反応を説明できる。
4週 アルケンとアルキン アルケン、アルキンの性質と製法が説明でき、付加反応、酸化反応を理解できる。
5週 酸素を含む有機化化合物-アルコールとエーテル、アルデヒド アルコール、エーテル、アルデヒドの一般式が書ける。また、それらの性質、代表的な性質について説明できる。
6週 酸素を含む有機化化合物-ケトン、カルボン酸とエステル ケトン、カルボン酸、エステルの一般式が書ける。またそれらの性質、代表的な反応が説明できる。
7週 油脂や石鹸
中間試験
油脂や石鹸についての構造、性質を説明できる。また界面活性剤の働きを説明できる
8週 芳香族化合物 芳香族の安定性について理解でき、オルト、パラ、メタ位の構造異性体、代表的な置換反応を説明できる。
2ndQ
9週 酸素を含む芳香族化合物 フェノール類と芳香族カルボン酸の構造を知る。フェノールとアルコールの相違点、類似点が説明できる。芳香族カルボン酸の代表的な反応を説明できる。
10週 窒素を含む芳香族化合物 アニリンの構造が書け、代表的な性質、反応を説明できる。
11週 芳香族化合物の分離 芳香族化合物の混合物の分離について、理解できる。
12週 まとめと演習
13週 電子・結合・分子の性質
クライン(上)第1章
原子の構造、原子軌道、オクテット則、ルイス構造式について理解できる。
14週 形式電荷について理解し、分子やイオン中の各原子の形式電荷を決めることが出来る。
15週 sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、σ結合、π結合が何を示しているか説明出来る。
16週 分子間力と物理的特性について理解できる。
後期
3rdQ
1週 分子の表記法
クライン(上)第2章
分子構造を書く表記法の種類を知り、線結合構造式を書けるようになる。
2週 曲がった矢印を使って共鳴構造式を書き、非局在化を説明できる。
3週 酸と塩基
クライン(上)第3章
Bronsted-Lowry、Lewisによる酸、塩基の定義を知る。また、共役酸、共役塩基が何かを説明できる。
4週 pKa, pHが何を示しているか理解でき、酸・塩基の相対的強さを構造から予想できる。
5週 酸塩基のまとめ
6週 アルカンとシクロアルカン
クライン(上)第4章
アルカン、シクロアルカンのIUPAC命名(英語)ができる。
7週 複雑な置換基を明確にし、命名することが出来る。
8週 エタンのC-C結合のまわりの立体配座をNewman投影式で描ける。
4thQ
9週 シクロヘキサンの椅子形と舟形の立体配座の違いを理解でき、どちらが安定か説明できる。
10週 シクロヘキサンのアキシアル結合とエクアトリアル結合が図示でき、二置換体のシスとトランス異性体が理解できる。
11週 立体異性
クライン(上)第5章
アルケンのシス・トランス、E・Z表記による命名ができる。
12週 RS表記によるエナンチオマーの命名ができる。
13週 光学活性化合物が偏光面を回転させ、特有の比旋光度を持つことが理解できる。
14週 Fischer投影式による立体配置を表示する構造式を書ける。
15週 まとめと演習により知識の確認をする。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3前1
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3前1,前7,前9
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前3,前4,前13
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前4,前13
価電子の働きについて説明できる。3前4,前13
共有結合について説明できる。3前1,前3,前4,前13
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前3,前10,前14,後1
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3前5,前6
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3前5,前6
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3前3,前4,後6
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。2前5,前6,前9,前10,後6,後7
σ結合とπ結合について説明できる。3前15
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3前15
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。2前4
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。2前15
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。2前13,後3
共鳴構造について説明できる。2後2
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。2前3,前4,前8
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。3後8,後9,後12
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。3後11,後12
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。3後8,後9,後10,後12,後14
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。2前5,前6
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。2前5,前6,前9,前10
高分子化合物がどのようなものか説明できる。1前6,前10

評価割合

試験小テスト、課題等相互評価態度ポートフォリオ合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力60400000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000