高分子化学基礎

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 高分子化学基礎
科目番号 0049 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 総合工学科(化学・バイオコース) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 1.高分子化合物と低分子化合物の相違点を理解し,高分子化合物の基本概念および構造や性質などの特徴を説明できる。
2.代表的な重合反応の種類を説明し,代表的な高分子化合物がどのような重合反応によって得られるかを説明できる。
3.重縮合,重付加,ラジカル重合などの反応機構を説明できる。
担当教員 小川 和郎

到達目標

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1高分子化合物と低分子化合物の相違点を理解し,高分子化合物の基本概念および構造や性質などの特徴を説明できる。高分子化合物と低分子化合物の相違点をある程度理解し,高分子化合物の基本概念および構造や性質などの特徴をある程度説明できる。高分子化合物と低分子化合物の相違点を理解し,高分子化合物の基本概念および構造や性質などの特徴を説明できない。
評価項目2代表的な重合反応の種類を説明し,代表的な高分子化合物がどのような重合反応によって得られるかを説明できる。代表的な重合反応の種類をある程度説明し,代表的な高分子化合物がどのような重合反応によって得られるかをある程度説明できる。代表的な重合反応の種類を説明し,代表的な高分子化合物がどのような重合反応によって得られるかを説明できない。
評価項目3重縮合,重付加,ラジカル重合などの反応機構を説明できる。重縮合,重付加,ラジカル重合などの反応機構をある程度説明できる。重縮合,重付加,ラジカル重合などの反応機構を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 高分子化学は戦後著しく発展した化学であり,この技術を用いた高分子材料なくして現代社会は生活できないと言っても過言ではない。そこで,本講義では低分子化合物との相違点から,分子化学の基本概念となる構造および物性等を講義する。また,高分子化合物の基礎的な各合成反応について講義を行い,構造および物性の特徴を合わせて説明することにより理解を深める。
授業の進め方・方法:
 高分子化学は有機化学の応用でもあるので,有機化学の復習も行い,関連性を説明しながら講義を行う。また,物理化学的要素を含む内容を講義するときは,適宜プリントを用いて補足を行いながら進める。さらに,理解を深めるためにレポートで演習を行う。
 座学を中心に進めるが,わからないところは積極的に質問し,講義に参加して欲しい。また,これ以外にも,質問は放課後に研究室で随時受け付ける。
注意点:
・到達目標に対する達成度を下記の割合で総合評価し,60点以上を合格とする。
 なお,評価点が40点以上60点未満の学生には再試験を実施し,所定の点数に達した場合は合格として,評価点を60点とする。
・他人のレポートを写して提出した場合は,写した学生も写させた学生もレポート点を減点する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス
身の回りの高分子化合物
高分子化合物の定義・分類
高分子化合物がどのようなものかを説明できる。
高分子化合物の分類を説明できる。
2週 高分子の分子量
高分子の結晶構造
高分子の分子量の特徴を説明できる。
平均分子量を求めることができる。
高分子の結晶構造を説明できる。
3週 高分子の熱的性質
高分子の力学的性質
高分子の熱的性質を説明できる。
高分子の分子量や結晶構造と力学的性質の関係を説明できる。
4週 高分子の溶解機構
高分子の合成法
高分子の溶解機構を説明できる。
高分子の溶解性を説明できる。
重合反応の種類について説明できる。
5週 重縮合
ナイロンの命名
重縮合の素反応を説明できる。
アミド化,エステル化が説明できる。
代表的なナイロンの命名ができる。
6週 ナイロンの合成反応
飽和ポリエステルの合成反応
不飽和ポリエステルの合成反応
代表的なナイロンの合成を説明できる。
代表的なポリエステルの合成を説明できる。
不飽和ポリエステルの合成を説明できる。
飽和ポリエステルと不飽和ポリエステルの相違点を説明できる。
7週 アラミド・ポリ尿素の合成反応
重縮合の重合度
ナイロンとアラミドの相違点を説明できる。
代表的なアラミドおよびポリ尿素の合成を説明できる。
重縮合の数平均重合度を求めることができる。
8週 中間試験
4thQ
9週 脱離重合
重付加
付加縮合
脱離重合を説明できる。
重付加を説明できる。
重縮合,脱離重合,重付加の共通点・相違点を説明でき,反応式から区別ができる。
10週 フェノール・ホルムアルデヒド樹脂の合成反応
ラジカルとは
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂の合成反応を説明できる。
フェノール・ホルムアルデヒド樹脂の架橋反応を説明できる。
σ結合とπ結合を用いてラジカルを説明できる。
11週 ラジカル重合の素反応
ラジカル重合(開始反応1)
ラジカル重合が4つの素反応で構成されていることを説明できる。
ラジカル重合で合成できる代表的な高分子を説明できる。
代表的な開始剤を用いた開始反応を説明できる。
12週 ラジカル重合(開始反応2)
ラジカル重合(生長反応)
ラジカル重合(停止反応)
代表的な開始剤を用いた開始反応を説明できる。
生長反応を説明できる。
停止反応を説明できる。
13週 ラジカル重合(連鎖移動反応)
ラジカル重合(禁止と抑制)
連鎖移動反応を説明できる。
代表的な重合禁止剤の効果を説明できる。
14週 高分子反応 高分子反応の特徴を説明できる。
15週 期末試験
16週 振り返り・到達目標の確認 授業を振り返り,学習内容を再確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学σ結合とπ結合について説明できる。2後11
共鳴構造について説明できる。2後11
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。2後5
高分子化合物がどのようなものか説明できる。2後1,後2,後3,後4
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。2
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。2後2
高分子の熱的性質を説明できる。2後3
重合反応について説明できる。2後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。2後5,後6,後7,後9,後10
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。2後11,後12,後13
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。2後11,後12,後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力0000000
専門的能力70000030100
分野横断的能力0000000