概要:
授業の前半では、土木建築構造物に作用する振動現象として、地震動や空力振動を取り扱い、その発生メカニズム、種類、特性、被害事例などについて学習する。特に、地震については過去に発生した実際の被害事例と観測された各種応答波形・スペクトルを関連付けて学習することで、地震被害と振動工学の結びつきについて理解を深める。授業の後半では、構造物を構成する要素や振動現象の特性に応じた簡単な振動モデルに関する振動方程式を考え、数学的手法によって求めた解(応答)に対し、構造物を設計する観点から力学的な解釈ができるよう理解を深める。
授業の進め方・方法:
この授業ではPower Pointと板書を併用し、単元ごとの学習シートを用意する。基本的に、教科書に沿った内容で進めるが、過去の地震被害における学術調査資料や動画なども独自の補助教材として適宜使用する。また、グループワーク演習の時間を設けることで学生相互の理解を促進する。ただし、本授業の内容に関連する災害や事故などが発生した場合には授業内容の一部を変更し、土木建築技術者として最低限目を向けるべき技術的な時事的話題の解説等に充てることがある。本授業では、調査や数値計算に関する数回のレポートを課しているが、これまでに学んだ情報処理技術やアプリケーションを活かして取り組んで欲しい。各単元の内容を確実に身につけるために、関連科目を含めた予習復習が必須である。
注意点:
数学系科目で学んだ微分積分・三角関数・線形微分方程式(2階)・行列計算および構造力学基礎/構造力学の知識について、これらの理解に不安がある場合には、前もって各自で復習しておくこと。レポートには、全員必ず提出するもの「必須レポート」の他に、自学自習を促進する目的で「任意レポート」(定期試験で自覚した苦手な単元の振り返りなど)がある。任意レポートの提出は自由であるため未提出による成績評価上の不利益は一切無いが、自身の弱点を克服するために自己学習した証として提出することにより、授業態度を勘案の上、最終成績に若干(5%以下)考慮する場合がある。
成績評価:試験成績80%(期末試験)、必須レポート20%を原則とする。
合格基準:60点以上を合格とする。
再試験:実施する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス(なぜ、振動を学ぶのか?)
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過去の巨大地震における地震被害と振動特性を理解できる。
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2週 |
地震の基礎知識① |
振動工学/耐震工学の位置づけを理解できる。 地震の種類と発生メカニズムを理解できる。
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3週 |
地震の基礎知識② |
地震の強さの表し方を理解できる。
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4週 |
地震の基礎知識③ 【必須レポート】過去に観測された地震波の特徴 |
地震波の種類と振動特性を表す基本的事項を理解できる。
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5週 |
地震の基礎知識③ |
直接被害/2次被害を理解できる。 (過去に起きた地震被害の解説①)
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6週 |
地震の基礎知識④ 【必須レポート】地震による2次被害 |
直接被害/2次被害を理解できる。 (過去に起きた地震被害の解説②)
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7週 |
空力振動と振動工学の役割・適用範囲 |
自励振動の理解(渦励振/フラッタ/ギャロッピングなど) 線形振動と非線形振動に関する基礎知識を理解できる。
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8週 |
まとめ学習 |
1~7週までの内容を確認するための演習を実施する。
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4thQ |
9週 |
答案返却と解説 【任意レポート】答案直しと苦手な単元の振り返り 振動の解析① |
中間試験の内容を理解できる。 構造物の振動要素/モデル化を理解できる。 部材が有する復元力の計算ができる。
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10週 |
振動の解析② |
1自由度系の非減衰自由振動(単振動) 運動方程式の解法と力学的解釈を理解できる。
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11週 |
振動の解析③ |
1自由度系の非減衰自由振動(単振動) 簡単な構造系への適用ができる。
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12週 |
振動の解析④ |
1自由度系の減衰自由振動 運動方程式の解法と現象(過減衰、臨界減衰、減衰振動)を理解できる。
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13週 |
振動の解析⑤ |
1自由度系の減衰自由振動 減衰定数の測定・計算方法、対数減衰率を理解できる。
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14週 |
振動の解析⑥ 【必須レポート】減衰振動における振動応答解析 |
1自由度系の減衰強制振動 定常周期外力・その他の外力、共振現象を理解できる。
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15週 |
期末試験 |
1~14週までの内容を確認するための筆記試験を実施する。
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16週 |
答案返却と解説 【任意レポート】答案直しと苦手な単元の振り返り |
期末試験の内容を理解できる。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。 | 3 | 後3 |
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。 | 3 | 後2,後3,後4 |
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。 | 3 | |
簡単な連立方程式を解くことができる。 | 3 | |
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。 | 4 | |
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 4 | |
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 4 | |
角を弧度法で表現することができる。 | 3 | |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 4 | |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 4 | |
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 4 | |
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。 | 3 | |
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。 | 3 | |
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。 | 3 | 後1 |
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。 | 3 | |
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。 | 3 | |
合成関数の導関数を求めることができる。 | 4 | |
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。 | 4 | |
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。 | 2 | |
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。 | 3 | |
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。 | 3 | |
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。 | 3 | |
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。 | 3 | |
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。 | 3 | |
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。 | 3 | |
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。 | 3 | |
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。 | 3 | |
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。 | 3 | |
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。 | 3 | |
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。 | 4 | |
自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 3 | |
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。 | 3 | |
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。 | 3 | |
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 4 | |
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。 | 4 | |
物体に作用する力を図示することができる。 | 3 | |
力の合成と分解をすることができる。 | 3 | |
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。 | 3 | |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 3 | |
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。 | 4 | |
慣性の法則について説明できる。 | 3 | |
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 4 | |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 4 | |
運動の法則について説明できる。 | 3 | |
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。 | 3 | |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | |
波動 | 波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。 | 4 | |
横波と縦波の違いについて説明できる。 | 4 | |
波の重ね合わせの原理について説明できる。 | 3 | |
波の独立性について説明できる。 | 3 | |
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。 | 3 | |
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 4 | |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 4 | |
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。 | 4 | |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 4 | |