ディジタル信号処理

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 ディジタル信号処理
科目番号 R3014 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 SD ロボティクスコース 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:湯田 春雄,堀端 孝俊「しっかり学べる 基礎ディジタル回路」(森北出版株式会社)
担当教員 中田 祐樹

到達目標

【到達目標】
1.ディジタル回路の基礎となる数体系と論理数学を理解し,説明できる。
2.論理関数の回路化について理解し,説明できる。
3.組合せ回路を設計できる。
4.カウンタ,シフトレジスタ,エンコーダやデコーダを設計できる。
5.演算回路が設計できる。
6.ディジタルIC,A/D変換やD/A変換を理解し,説明できる。
7.実際のディジタルシステムについて理解し,仕様に合わせた設計ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.ディジタル回路の基礎となる数体系と論理数学を理解し,説明できる。ディジタル回路の数体系を説明でき,10進数から2進数以外の進数へ変換でき,コード変換および2進数での演算ができる。ディジタル回路の数体系を説明でき,10進数から2進数への変換,コード変換および2進数での演算ができる。論理関数の簡単化ができる。ディジタル回路の数体系を理解し,進数変換,コード変換および各進数での演算ができない。
2.論理関数の回路化について理解し,説明できる。必要に応じて,論理関数の簡単化の方法を選択して,論理関数を簡単化できる。カルノー図を描くことができ,それを使用して論理関数を簡単化できる。カルノー図を描くことができない。論理関数を簡単化できない。
3.組合せ回路を設計できる。論理関数の回路化ができ,それについて説明できる。論理関数の回路を回路化できる。論理関数の回路化ができない。
4.カウンタ,シフトレジスタ,エンコーダやデコーダを設計できる。カウンタ,シフトレジスタ,エンコーダやデコーダを回路化でき,それについて説明できる。カウンタ,シフトレジスタ,エンコーダやデコーダを回路化できる。カウンタ,シフトレジスタ,エンコーダやデコーダを回路化できない。
5.演算回路が設計できる。演算回路の設計と回路化ができ,それについて説明できる。演算回路の設計と回路化ができる。演算回路の設計と回路化ができない。
6.ディジタルIC,A/D変換やD/A変換を理解し,説明できる。A/D変換やD/A変換の原理を理解し,特徴について説明できる。A/D変換やD/A変換の原理を説明できる。A/D変換やD/A変換の原理を説明できない。
7.実際のディジタルシステムについて理解し,仕様に合わせた設計ができる。 実際のディジタルシステムの注意点について理解し,仕様に合わせた設計ができる。実際のディジタルシステムの注意点について説明できる。実際のディジタルシステムの注意点について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 電子計算機を始めとしてディジタル信号処理はいろいろなところで必要となる。その基礎知識として,数体系,論理代数,論理回路,ディジタルシステムなどディジタル回路設計に関する知識を学ぶ。基礎理論及び基本的な回路を学んだ後,ディジタル機器を取り扱う上で欠かすことができないディジタルICの回路構成やA/D変換について学ぶ。
授業の進め方・方法:
 授業は教科書「しっかり学べる 基礎ディジタル回路」もとにした講義とする。より講義内容を理解させるために演習問題を自主学習することにより,計算能力・知識の向上を図る。課題については必要に応じて授業内で模範解答を説明するので,自分の考え違いや解答方法を正し,模範解答に準じた解答手法を身に着けること。欠課した時間に配布する課題や資料は,各自の机に入れるので自分で管理し,課題は提出期日に提出すること。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
 試験の成績を80%,平素の学習状況等(課題・小テスト・レポート等を含む)を20%の割合で総合的に評価する。学期毎の評価は中間と期末の各期間の評価の平均,学年の評価は前学期と後学期の評価の平均とする。なお,通年科目における後学期中間の評価は前学期中間,前学期末,後学期中間の各期間の評価の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。また,全ての課題,レポートの提出が完了していることが単位認定の要件である。
【事前・事後学習】
 事前学習として教科書の該当部分(事前に説明)を読んだうえで授業に臨むこと。また,事後学習として授業内で指示した課題を提出すること。その課題とした演習問題については,周りの学生とデッスカッションしたりし,自分なりの解答を提出をすること。
【履修上の注意】
 この科目を履修するにあたり,2年生の電気基礎の内容を十分に理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション
ディジタル回路の基礎事項:ディジタルとアナログ,電気信号,基礎理論,回路設計,ディジタルICなどの概要について学ぶ。
ディジタル回路の基礎事項について説明できる。
2週 ディジタル回路の数体系:n進数,符号体系,2進数の四則演算,補数と負の2進数について学ぶ。 数体系について説明できる。
10進数とn進数(2進数含)の相互変換ができる。
2進数を符号化できる。
2進数の四則演算ができる。
3週 ディジタル回路の数体系:n進数,符号体系,2進数の四則演算,補数と負の2進数について学ぶ。 補数と負の2進数を用いて,2進数の演算ができる。
4週 論理代数:ブール代数,真理値表,ベン図,標準展開,論理式の簡素化について学ぶ。 ブール代数の基本演算を理解し説明できる。
真理値表や,ベン図を用いて真理を表現できる。
5週 論理代数:ブール代数,真理値表,ベン図,標準展開,カルノー図,論理式の簡素化について学ぶ。 標準展開ができる。諸定理を用いて論理式の簡素化(簡単化)がでできる。
6週 論理代数:ブール代数,真理値表,ベン図,標準展開,カルノー図,論理式の簡素化について学ぶ。 カルノー図を用いて論理式の簡素化ができる。
7週 ゲート回路:ANDゲート,ORゲート,NOTゲート,NANDゲート,NORゲート,その他ゲート回路,正論理と負論理,ゲート間の相互変換,組み合わせ回路について学ぶ。 ANDゲート,ORゲート,NOTゲート,NANDゲート,NORゲートの動作について説明できる。
8週 ゲート回路:ANDゲート,ORゲート,NOTゲート,NANDゲート,NORゲート,その他ゲート回路,正論理と負論理,ゲート間の相互変換,組み合わせ回路について学ぶ。 その他ゲート回路,正論理と負論理,ゲート間の相互変換について説明できる。
2ndQ
9週 ゲート回路:ANDゲート,ORゲート,NOTゲート,NANDゲート,NORゲート,その他ゲート回路,正論理と負論理,ゲート間の相互変換,組み合わせ回路について学ぶ。 組み合わせ回路を設計できる。
10週 ゲート回路:ANDゲート,ORゲート,NOTゲート,NANDゲート,NORゲート,その他ゲート回路,正論理と負論理,ゲート間の相互変換,組み合わせ回路について学ぶ。 PLAの設計ができる。
11週 フリップフロップ(FF)回路:非同期式FF回路,同期式FF回路について学ぶ。 非同期式FF回路の動作を説明できる。同期式FF回路の動作について説明できる。
12週 フリップフロップ(FF)回路:非同期式FF回路,同期式FF回路について学ぶ。 同期式FF回路の動作について説明できる。特徴について説明できる。
13週 カウンタ:カウンタの基本動作,N進カウンタの設計,その他のカウンタについて学ぶ。 非同期式カウンタの基本動作が説明できる。
14週 カウンタ:カウンタの基本動作,N進カウンタの設計,その他のカウンタについて学ぶ。 同期式カウンタの基本動作が説明できる。
15週 カウンタ:カウンタの基本動作,N進カウンタの設計,その他のカウンタについて学ぶ。 N進カウンタの設計およびその他のカウンタの特徴説明ができる。
16週
後期
3rdQ
1週 シフトレジスタ:基本動作,直列-並列変換,並列-直列変換について学ぶ。 シフトレジスタの基本動作を説明できる。
直列-並列変換シフトレジスタの動作およびその特徴が説明できる。
2週 シフトレジスタ:基本動作,直列-並列変換,並列-直列変換について学ぶ。 並列-直列変換シフトレジスタの動作およびその特徴が説明できる。
3週 シフトレジスタ:基本動作,直列-並列変換,並列-直列変換について学ぶ。 直列-並列変換,並列-直列変換シフトレジスタの設計ができる。
4週 入出力変換回路:エンコーダ,デコーダ,表示回路,マルチプレクサ,デマルチプレクサについて学ぶ。 エンコーダ,デコーダの動作およびその特徴を説明できる。
5週 入出力変換回路:エンコーダ,デコーダ,表示回路,マルチプレクサ,デマルチプレクサについて学ぶ。 エンコーダ,デコーダの設計ができる。
6週 入出力変換回路:エンコーダ,デコーダ,表示回路,マルチプレクサ,デマルチプレクサについて学ぶ。 表示回路の動作およびその特徴が説明でき,設計ができる。
7週 入出力変換回路:エンコーダ,デコーダ,表示回路,マルチプレクサ,デマルチプレクサについて学ぶ。 マルチプレクサ,デマルチプレクサの動作およびその特徴が説明でき,設計ができる。
8週 演算回路:加算器,減算器について学ぶ。 加算器,減算器の動作およびその特徴が説明でき,設計ができる。
4thQ
9週 演算回路:加算器,減算器について学ぶ。 その他演算回路の動作およびその特徴が説明でき,設計ができる。
10週 ディジタルIC:半導体素子とゲート回路,ICの特性,出力結合について学ぶ。 半導体素子とゲート回路の特徴について説明できる。
11週 ディジタルIC:半導体素子とゲート回路,ICの特性,出力結合について学ぶ。 ICの特性について説明できる。ICの出力結合について説明できる。
12週 アナログ-ディジタル変換(A/D,D/A変換):演算増幅回路,D/A変換器,A/D変換器について学ぶ。 演算増幅回路の動作およびその特徴が説明できる。
13週 アナログ-ディジタル変換(A/D,D/A変換):演算増幅回路,D/A変換器,A/D変換器について学ぶ。 D/A変換器の動作およびその特徴が説明できる。
14週 アナログ-ディジタル変換(A/D,D/A変換):演算増幅回路,D/A変換器,A/D変換器について学ぶ。 A/D変換器の動作およびその特徴が説明できる。
15週 論理回路設計演習 仕様を満たす論理回路を設計し動作解析ができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3後10,後11,後12,後13,後14
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3後10,後11,後12,後13,後14
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3後10,後11,後12,後13,後14
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。2後10,後12
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。1
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。1
FETの特徴と等価回路を説明できる。1
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。1
演算増幅器の特性を説明できる。1
制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。1
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。1
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。1
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。1
情報系分野計算機工学整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。3
基数が異なる数の間で相互に変換できる。3
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。3
基本的な論理演算を行うことができる。3
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。3
論理式の簡単化の概念を説明できる。3
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。3
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。3
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。3
組合せ論理回路を設計することができる。3
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。3
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。3
与えられた順序回路の機能を説明することができる。3
順序回路を設計することができる。3
ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。1
要求仕様に従って、標準的なプログラマブルデバイスやマイコンを用いたシステムを構成することができる。1
情報数学・情報理論集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。3
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。3
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。3
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。3
コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。1

評価割合

試験課題,小テスト,レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力302050
専門的能力301040
分野横断的能力10010