熱力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 高知工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 熱力学Ⅰ
科目番号 R4047 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 SD ロボティクスコース 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:佐野・杉山・永橋「基礎から学ぶ工業熱力学」(コロナ社) 参考書:平田・田中・熊野「例題でわかる工業熱力学」(森北出版),「エネルギー管理士実戦問題 熱分野+必須基礎科目」(オーム社)他
担当教員 竹島 敬志

到達目標

1. 熱力学で取り扱う物理量の定義や単位の理解ができる。
2. 閉じた系,開いた系でのエネルギー式がたてられる。
3. エンタルピーやエントロピーといった状態量を理解し,その解析的検討ができる。
4.サイクルの意味を理解し,熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数が計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱力学の基礎熱力学で取り扱う物理量の定義や単位について、具体的な例を挙げて説明できる。熱力学で取り扱う物理量の定義や単位について、理解した上で複数の選択肢の中から正しい答えを選択できる。熱力学で取り扱う物理量の定義や単位について、理解していない。
熱力学の第1法則閉じた系,開いた系でのエネルギー式に関して、物理的背景が理解できるとともに基本となる式の導出ができる。 閉じた系,開いた系でのエネルギー式が理解できる上に、複数の選択肢の中から正しい式を選択できる。 閉じた系,開いた系でのエネルギー式が、理解できていない。
状態量エンタルピーやエントロピーといった状態量を理解し具体的な例を挙げながら説明ができる。その解析的な検討ができる。 エンタルピーやエントロピーといった状態量を理解した上で,複数の選択肢の中から正しい答えを選択できる。 エンタルピーやエントロピーといった状態量に関して、理解できていない。
熱力学の第2法則サイクルの意味を理解し,熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数の計算でき,熱効率や成績係数をわかりやすく説明できる。サイクルの意味を理解し,熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数が計算できる。サイクルの意味が理解できない。また熱機関の熱効率および冷凍機・ヒートポンプの成績係数が計算できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械工学の基礎である4力学の一つに数えられる「熱力学」は,エネルギーという概念のわかりにくさから難しい力学とされる。授業では熱力学の基本概念(温度,熱,圧力及び仕事)や,エネルギーの移動に関連する諸物理量について解説する。
授業の進め方・方法:
教科書をベースとした各項目ごとの解説で基本事項を理解してもらい、例題や演習問題により到達度のチェックと理解の促進を図る。
講義資料は授業前にGoogleClassroomにアップする。事前学習に利用すること。
注意点:
【成績評価の基準・方法】
試験の成績を70 %,平素の学習状況(課題を含む)を30 %の割合で総合的に評価する。試験の成績は定期試験で評価する。評価は中間と期末の平均とする。技術者が身につけるべき専門基礎として,到達目標に対する達成度を試験等において評価する。
【事前・事後学習】
事前学習:講義資料をGoogle Classroomにアップします。講義資料と教科書の該当箇所を読んだうえで授業に臨むこと
事後学習:授業内で指示した課題(例題や演習問題)を自分で解いてみること。その課題については,他の学生とデッスカッションをして理解を深めること。
【履修上の注意】
この科目を履修するにあたり,2年生の微分積分Ⅰ、3年生の微分積分Ⅱ、物理Ⅲ(後学期中間試験以降)の内容を理解しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱力学の基礎:熱エネルギーを利用した機器と熱力学との関わりについての導入的解説。 熱やエネルギーと実際の機器との関わりの概要を理解する。
2週 熱力学で取り扱う物理量:熱力学で取り扱う物理量(温度,圧力,熱量と比熱,比容積と密度)の定義や単位などについて学ぶ。 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。
3週 熱力学で取り扱う物理量:熱力学で取り扱う物理量(温度,圧力,熱量と比熱,比容積と密度)の定義や単位などについて学ぶ。 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。
4週 熱力学で取り扱う物理量:熱力学で取り扱う物理量(温度,圧力,熱量と比熱,比容積と密度)の定義や単位などについて学ぶ。 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。
5週 熱力学の第一法則:熱エネルギーと仕事との関係について学ぶ。 熱力学の第一法則を説明できる。
6週 熱力学の第一法則:閉じた系と開いた系における熱力学の第一法則について学ぶ。 閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。
7週 熱力学の第一法則:絶対仕事と工業仕事について学ぶ。 閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。
8週 熱力学の第二法則:熱移動の方向性と不可逆性について学ぶ。 熱力学の第二法則を説明できる。
2ndQ
9週 熱力学の第二法則:熱機関のサイクル,冷凍機・ヒートポンプのサイクルについて学ぶ。 サイクルの意味を理解し,熱効率や成績係数の意味が理解できる。
10週 熱力学の第二法則:クラウジウスの積分とエントロピーについて学ぶ。 エントロピーの定義を理解し,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピー変化の説明ができる。
11週 熱力学の第二法則:閉じた系と開いた系における熱力学の第一法則の式よりエントロピーの変化量の求め方について学ぶ。 理想気体におけるエントロピーの変化量が計算できる。
12週 熱力学第二法則:エントロピー増加の原理について学ぶ。 固体,液体におけるエントロピーの変化量が計算できる。
13週 熱力学の第二法則:熱力学温度について学ぶ。 サイクルをT-s線図で表現できる。
14週 有効エネルギー:熱機関の最大仕事,有効エネルギーと無効エネルギーについて学ぶ。 熱の有効エネルギーが説明できる。
15週 有効エネルギー:自由エネルギー,エクセルギー効率について学ぶ。 熱の有効エネルギーが説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。4
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。2
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。2
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4前4,前8
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4
熱力学の第一法則を説明できる。4前6,前7
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前6
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4前6
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。3前14
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。3前15
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。3
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。3
熱力学の第二法則を説明できる。3
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。3
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。3前10
サイクルをT-s線図で表現できる。3前3

評価割合

試験演習合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力4020000060
専門的能力3010000040
分野横断的能力0000000