構造力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和07年度 (2025年度)
授業科目 構造力学Ⅰ
科目番号 3A008 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(建築コース) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:1 後期:1
教科書/教材 よくわかる建築構造力学I,土方勝一郎・隈澤文俊・椛山健二・岸田慎司・小澤雄樹 共著/森北出版社
担当教員 松村 光太郎

到達目標

1.力の合成および分解を理解し,合力・分力を計算できる.
2.静定構造物の反力・応力の解法を理解し,反力・応力を計算できる.
3.微分方程式を解く方法,モールの定理による方法により,梁のたわみを求めることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1力の合成および分解を深く理解し,合力・分力を計算できる.力の合成および分解を理解し,合力・分力を計算できる.力の合成および分解を理解し,合力・分力を計算できない.
評価項目2静定構造物の反力・応力の解法を深く理解し,反力・応力を計算できる.応力度に関する照査ができる.静定構造物の反力・応力の解法を理解し,反力・応力を計算できる.応力度に関する照査ができる.静定構造物の反力・応力の解法を理解し,反力・応力を計算できない.応力度に関する照査ができない.
評価項目3微分方程式およびモールの定理を深く理解し,梁のたわみを求めることができる. 微分方程式およびモールの定理を使って,梁のたわみを求めることができる.微分方程式およびモールの定理を使って,梁のたわみを求めることがでない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では,主として,静力学の基礎知識および静定構造物の応力について理解し,計算できることを目的とし,以下の1~4に示す内容について実施する.
1. 静力学の基礎知識として,力とその単位,力の表示,複数の力の合成および分解,力のつり合い条件式,外力と反力,応力について理解し,計算する.
2. 静定構造物の応力として,構造物の種類,構造物の静定および不静定,トラス構造の解法,静定梁の応力算定,静定構造物の応力算定について理解し,計算する.
3. 構造物の崩壊につながる基本的な問題である構造物の安定・不安定,および,安定構造物の静定・不静定を,構造物の解法理論にもとづいて判定する.
4. 曲げモーメントによる変形を求めるためのたわみ曲線の微分方程式,および,モールの定理を理解し,梁のたわみやたわみ角を計算する.
なお,本科目では,SDGsの「9.産業と技術革新の基礎をつくる」に該当する.
授業の進め方・方法:
講義を中心として進行するが,ポートフォリオ点(20点)として,レポートを5課題(4点×5課題)実施する.レポートは後日返却するので,やり直しを行うこととする.試験(80点)は4回とし,各々100点満点で採点し,20点×4回として総合成績を評価します。なお,授業では,三角定規,物差し,そして電卓を使用する.毎時間持参すること.
注意点:
三角関数や四則演算での計算が中心となるが,微積分および簡単な微分方程式の計算ができることがのぞましい.また,構造力学で学んだ内容は,材料力学にも活用するとともに,鋼構造や鉄筋コンクリート構造を理解するためにも必要となる構造系の基礎的な科目である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスおよび力1 シラバスの説明を受けて,構造力学を学ぶ意義や構造力学 I と構造力学 II との違いなどについて理解できる.力の定義および力のモーメントについて理解できる.
2週 力2
図解法により力の合成や分解ができる.
3週 力3
数式解法により力の合成や分解ができる.
4週 力4
構造物の支点と節点の種類,構造物の種類,荷重の種類および力のつりあい条件式について理解できる.
5週 構造物の安定・不安定・静定・不静定 構造物の安定と不安定および静定と不静定について理解し,判別できる.
6週 静定構造物の反力1 片持ち梁の反力が計算できる.
7週 静定構造物の反力2
単純梁の反力が計算できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 静定構造物の反力3 中間試験の解説,ラーメン・トラスの反力が計算できる.
10週 静定構造物の応力1 集中荷重の応力が計算できる.
11週 静定構造物の応力2 等分布荷重の応力が計算できる.
12週 静定構造物の応力3
等変分布荷重の応力が計算できる.
13週 静定構造物の応力4 モーメント荷重の応力が計算できる.
14週 静定構造物の応力5 ラーメンの応力が計算できる.
15週 期末試験
16週 試験の返却および解説
後期
3rdQ
1週 トラス構造物の応力1 トラス構造物における応力の種類,応力の符号および各応力間の関係について理解できる.
2週 トラス構造物の応力2 節点法を用いて,トラスの応力が計算できる.
3週 トラス構造物の応力3 切断法を用いて,トラスの応力が計算できる.
4週 トラス構造物の応力4 トラス構造物の応力が計算できる.
5週 スリーヒンジ系構造物の反力 スリーヒンジ系構造物の反力が計算できる.
6週 スリーヒンジ系構造物の応力 スリーヒンジ系構造物の応力が計算できる.
7週 合成ラーメン系構造物の応力 合成ラーメン構造物の応力が計算できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 たわみ曲線とひずみ 中間試験の解説,オイラー・ベルヌーイの仮定と中立軸が説明できる.
10週 たわみ曲線の微分方程式 曲げモーメントによる変形を求めるための,たわみ曲線の微分方程式の誘導を理解できる.
11週 たわみ曲線の微分方程式によるたわみ角の計算 たわみ曲線の微分方程式を用いてたわみ角が計算できる.
12週 たわみ曲線の微分方程式によるたわみ計算 たわみ曲線の微分方程式を用いてたわみが計算できる.
13週 モールの定理によるたわみ角の計算 モールの定理を用いてたわみ角が計算できる.
14週 モールの定理によるたわみの計算 モールの定理を用いてたわみ角が計算できる.
15週 期末試験
16週 試験の返却および解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建築系分野構造建築構造の成り立ちを説明できる。4前1,前4,前5
力の定義、単位、成分について説明できる。4前1,前2,前3,前15,前16,後16
力のモーメントなどを用い、力のつり合い(合成と分解)に関する計算ができる。4前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前15,前16,後16
骨組構造物の安定・不安定の判定ができる。4前5,前15,前16,後14,後16
骨組構造物に作用する荷重の種類について説明できる。4前4,前6,前7,前9
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。4前9,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後16
節点法や切断法を用いて、トラスの部材応力を計算できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後16
はりの支点の種類、対応する支点反力、およびはりの種類やその安定性について説明できる。4前4,前5,前6,前7,前10,前11,前12,前16,後5,後6,後7,後16
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。4前10,前11,前12,前13,前16,後5,後6,後7,後16
はり(単純ばり、片持ちはり)の応力を計算し、応力図を描くことができる。4前10,前11,前12,前16,後5,後6,後7,後16
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。4後9,後10,後11,後12,後13,後14,後16
ラーメンやその種類について説明できる。4前9,前13,前14,前16,後5,後6,後7,後16
ラーメンの支点反力、応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)をかくことができる。4前13,前14,前16,後5,後6,後7,後16
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。4前5,前16,後16

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
総合評価割合0000000
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000